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投稿日: 2023.03.30 17:47
更新日: 2023.04.03 23:12

勢力図は「間違いなく、変わってくる」。“欧州移住”にメリットも【SF開幕直前インタビュー/平川亮】

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スーパーフォーミュラ | 勢力図は「間違いなく、変わってくる」。“欧州移住”にメリットも【SF開幕直前インタビュー/平川亮】

 4月8〜9日に富士スピードウェイで開幕を迎える2023年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。今季は新型車両『SF23』と新たなスペックのタイヤが導入されるほか、コロナ禍で下火となっていた海外からの参戦ドライバーも増え、昨年とは異なる戦いが展開される可能性がある。

 すでに3月上旬には、鈴鹿サーキットで2日間の公式合同テストが行われた。ただし、新型車両採用年にも関わらず開幕前の走行機会はこの2日間のみ。この短い準備期間でどれほど新型車両とタイヤをモノにできているかが、2レース制で行われる開幕ラウンドおよびシーズン序盤のポイントともなりそうだ。

 開幕直前、上位争いが期待される何名かのドライバーに現状の手応えと序盤戦の展望を聞いた。今回は、昨年開幕戦で勝利を収め、タイトル争いにも加わった平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)。引き続きWEC世界耐久選手権と並行しての参戦となる平川は、今年から拠点をモナコへと移している。そんな平川が、テストでの感触や欧州生活のメリットなどについて語った。

■SF23導入は「楽しみの方が大きかった」

──2022年シーズンを振り返り、点数をつけるとしたら、100点満点で何点でしょうか?

平川:60点ですね。良かったのは2回勝てたこと、表彰台にも何回か乗れたことです。あとはレースで挽回できる場面が多かった。レースウイークを通して、最後の決勝で前に上がれるので、感覚としては毎回「いいレースができたな」という印象があるのですが、やっぱり予選のパフォーマンスが悪くてすごく苦労したというか、そのせいでチャンピオンシップを落としたと言っても過言ではないと思います。

──決勝でのパフォーマンスという面では、チャンピオンの野尻智紀選手を上回っていたこともあったと感じますか?

平川:そうですね、それはあったと思います。ただ、予選で下位に沈むので、レースではリスクを冒さないといけない場面が多くなったり……。そこがうまく噛み合ったこともありましたし、(決勝では)比較的安定して速かったので、そこはやってきたことがレースで活きたので良かったです。

──2023年に向けては新型車両が導入されることになっていましたが、テストで乗る前の時点では、期待と不安、どちらが大きかったですか?

平川:(開幕前の)テストが1回しかないという不安要素はありましたが、クルマが変わることで新しいこともできるので、楽しみの方が大きかった気がしますね。

──その鈴鹿でのファン感とテストでSF23をドライブしてみて、どんな第一印象を持ちましたか。

平川:個人的にはすごくピーキーだなと思いました。それがクルマのボディワークから来ているのか、タイヤから来ているのか、両方なのかがまったく分からなくて。最初はこれをどう乗りこなそうか、という感じでした。どちらかと言うとオーバーステアな性格で、そこをいろいろと調整しつつ、乗りこなせるように、うまく使えるようにという作業を2日間やっていましたね。

──ロングランの良さがなくなってしまった、逆に予選一発の方がいいかもという話もありましたが、ロングランはどんな感触でしょうか。

平川:去年は比較的うまくコントロールしてマネージメントできたんですけど、それができないというか、すごい勢いでタレてしまって。予選に関しては、僅差ではありますけど、上位を狙えるようなパフォーマンスは出せそうなのですが、レースに関しては……分からないです。1周の間でも結構落ちたりしますし、ロングランが全然できないくらいタレてしまうので……。

──「2ピット作戦が必要かも」と言う人もいますが。

平川:でもそれをやってしまうと、次のレースに持ち越せるタイヤが減ってしまうので、作戦的にはすごくリスキーですよね。富士はピットロードのロスが長すぎるので無理ですが、たとえばもてぎだったらロスが少ないので、可能性としてはあるかもしれないですね。

──テスト直後は、山本尚貴選手(TCS NAKAJIMA RACING)のロングランのタイムを「すごく速かった」と評されていましたが、勢力図が変わりそうな予感はありますか?

平川:少なくとも彼も、NAKAJIMA RACINGとしても、パフォーマンスがあるのは間違いないですし、2日目の朝は大嶋(和也)選手(docomo business ROOKIE)が前にいたりとか、午後は(小林)可夢偉選手(Kids com Team KCMG)がトップだったりとかするので、間違いなく(勢力図は)変わってくると思います。

平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 2023年スーパーフォーミュラ公式合同テスト 鈴鹿
平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 2023年スーパーフォーミュラ公式合同テスト 鈴鹿

■ハードスケジュールの4月も前向きに

──次の走行機会は第1戦前日の90分間となりますが、まずは決勝の半分の距離を走れるクルマづくりを目指すのでしょうか。

平川:まぁ最初(スタート直後)は燃料も重いので、半分まではいかなくても、という感じです。ただ、ロングランは鈴鹿でしたのですが、どの要素を富士向けのセットアップに盛り込むかというのが難しいので、その分析をしっかりとしたいと思います。持ち込みのセットアップ次第で、かなりの割合で決まってしまうので、そこは外せないですけど、ある程度変えていかないとリヤタイヤが終わってしまうので……そこは予想外でしたね。

──改めて、開幕ラウンド富士の展望をお願いします。

平川:そうですね、昨年は優勝と2位ですごく良かったですが、今年も2レースということで、非常に大事な開幕ラウンドになります。去年以上を出せるように準備していきますし、あまり順位を気にする余裕はいまのところないので、鈴鹿テストの結果をしっかり分析して、予選でまずはしっかりと2列目以内にいけるようにしたいです。

 決勝が耐えるレースになるのか、あるいは去年のようなパフォーマンスを出せるのかというのは、この(鈴鹿テストからの)1カ月でチームとする分析にかかっているので、そこは一生懸命アイデアを出し合って、しっかりといい流れを作っていけるようにしたいですね。

平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 2023年スーパーフォーミュラ公式合同テスト 鈴鹿
平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 2023年スーパーフォーミュラ公式合同テスト 鈴鹿

──ところで平川選手は今年からモナコに拠点を置く生活がスタートしていますが、今回鈴鹿テストのために“来日”してみて、いかがですか。

平川:とくに違いはないというか……まぁ、なくはないんですけど(笑)。(日本と欧州)どちらでも仕事があって、どちらから来るかというのはそんなに大差はないので。日本でのレースウイークも少し早めに入って、時差ボケとか対策はするので、とくに変わらないというか、逆に良くなるようにいろいろと考えてやっています。

 向こうにいるとトレーニングの環境もいいですし。天気もずっといいので、そのあたりも前向きな要素ですね。個人的には、いままで以上にメリットはあると思うので、自信を持って、そこを活かして臨めればいいなと思っています。

──4月のスケジュールも大変ですね(※スーパーフォーミュラ開幕戦富士に始まり、WECポルティマオ、スーパーフォーミュラ鈴鹿、WECスパと4週連続でレース出場)。

平川:そうですね、それもどちらにベースを置いていても、(移動は)同じことですからね。そこが一番キツくなるのは間違いありませんが、あまりネガティブに考えず、リフレッシュという意味で切り替えてやれればいいですね。

2023年もトヨタGAZOO RacingからWECに参戦している平川亮。スーパーフォーミュラ鈴鹿テストの後は、日本から直接アメリカへと向かった
2023年もトヨタGAZOO RacingからWECに参戦している平川亮。スーパーフォーミュラ鈴鹿テストの後は、日本から直接アメリカへと向かった


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