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スーパーGT ニュース

投稿日: 2017.05.25 10:20
更新日: 2018.08.16 16:38

「50台のフルグリッドを目指す」鈴鹿10hに懸ける新たな挑戦。モビリティ山下社長インタビュー

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スーパーGT | 「50台のフルグリッドを目指す」鈴鹿10hに懸ける新たな挑戦。モビリティ山下社長インタビュー

 3月頭に発表された、2018年からの『鈴鹿10時間耐久レース』の開催と、これまでの夏の風物詩、『鈴鹿1000km」の今年限りの終了。駆け足に新しいレースフォーマットへの転換を進めているように見える鈴鹿サーキット。サーキットを運営するモビリティランドの山下晋社長に、その真意と今後について聞いた。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆

──『世界的なGTシリーズの統一戦という夢のステージを鈴鹿から発展させていく』をコンセプトとして開催される『鈴鹿10時間耐久レース』ですが、先日のスーパーGT第2戦の開催中、インターコンチネンタルGTチャレンジのポイントが付与されることが発表されました。改めまして、この『鈴鹿10時間耐久レース』の開催に至った経緯を教えて下さい。

山下晋(以下、省略)「10時間耐久レースを始めるに至った出発点としまして、まずは当社のモータースポーツを代表するものは何かというのが出発点でした。鈴鹿サーキットには4輪ではF1、2輪は8耐がありまして、ツインリンクもてぎには2輪はMotoGP、トライアル世界選手権、4輪はWTCCがあります。現在、5つの世界選手権を開催していますが、その5つを眺めてみると、8耐だけが違う構造になっています。他の4イベントは既存の世界選手権を誘致しているという構造ですが、8耐は開催当時から世界選手権としてスタートしたわけではなく、当時の2輪を取り巻く日本の環境であったり、エントラントのみなさんやパーツメーカーのみなさんを含めた周囲の環境から、『こういうレースをやったら参加する人も観る人も面白いと思うんじゃないか』というのでスタートしたイベントなんですね。それが後々、世界選手権になったのです」

1億円という賞金を設定して臨む「鈴鹿10耐」山下社長とモビリティランドの挑戦は果たしてどんな結果となるのか。
1億円という賞金を設定して臨む「鈴鹿10耐」山下社長とモビリティランドの挑戦は果たしてどんな結果となるのか。

「鈴鹿では他にもさまざまなレースを開催していますが、今年で46回目を迎える鈴鹿1000kmは8耐よりも長い期間開催してきた、鈴鹿サーキットにとってはもっとも歴史の長いレースなんです。その鈴鹿1000kmも、開催当時は8耐と同様に、当時の4輪メーカー、エントラント、パーツメーカーの環境の中で、『さまざまなクルマが参加する日本で最長クラスの耐久レース』としてスタートしました。途中で世界選手権のいちカテゴリーになったり、それがまた変わったり、さまざまな変遷を経て今日に至ってきましたが、数年前から鈴鹿サーキットならでは、モビリティランドならではの4輪レースを8耐を参考にできないかなと考えていました」

「今の鈴鹿1000kmはスーパーGTのシリーズの一戦として、ビジネスとしては十分に成立しています。ですので、スーパーGTの一戦を外してまで考えるというのはビジネスとしてはリスクがあります。でも、鈴鹿1000kmの1000kmという距離は、始まった当時はそれなりの長距離レースで、当時は8時間くらい掛かっていましたが、今のスーパーGTでは天候さえ良ければ6時間を切るくらいになってきている。耐久レースである以上、もう少しレースを長くしたいなあと考え始めたんですね」

「ただ、スーパーGTのカテゴリーでやっている以上、今の1000kmでもチームのみなさんには十分に負担になって大変で、タイヤやパーツの問題を考えるとGT500クラスはこれ以上距離を伸ばすのは難しいといいますか、ほとんど不可能に近い。じゃあどうしようと考えている中で、世界的なトレンドを見てみるとGT3というカテゴリーがある。GT3マシンで24時間レースをやっているところもあれば、ブランパンGTシリーズではスプリントと耐久があって、そこにはさまざまなメーカーさんが参加されていて、ワークスに近い形態のチームもあれば、純粋なプライベーターもいらっしゃって、GT3マシンでレースをしている。8耐に近い印象を受けました。そこで、このGT3と鈴鹿1000kmを夏の4輪のお祭りとして融合できないかと考えて、去年、GTAに相談させてもらいました。そこで坂東(正明)代表にSRO代表のステファン・ラテル氏を紹介して頂いて協力を得て、ある程度の大枠で詰めて発表に至りました」

──世界的に盛況のGT3マシンを使用してのレースというよりも、鈴鹿サーキットにあってほしい4輪の耐久レースという出発点からGT3のカテゴリーを選んだということですね。

「そうです。鈴鹿サーキットならではのレースを開催する、というのが出発点で、それはGT3ありきではなかった。その理想に一番適しているカテゴリーが、今現在ではGT3なのかなという順番です。この言葉が適しているのか、こう言ったら乱暴で誤解される方もいるかもしれませんが、要するに『4輪の8耐』を作りたかったわけです。ただ、将来に渡ってGT3がすべてだとは思っているわけではありません。キーワードとしては『より多くのメーカー、より多くのエントラント、より多くのプライベーターが参加できる4輪カテゴリー』のレースをお客様にお楽しみ頂きたいということです」


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