多くのファンが視聴し、いまや海外でも高い人気を誇っているコンテンツに成長したスーパーGT。その中継映像に、第4戦SUGOからオンボード映像が加えられることになりそうだ。
モータースポーツの場合、その臨場感を出すのに大いに役立つのが、コクピット内に設置されたオンボード映像。海外のレースの中継ではコースサイドからの映像に加えて、頻繁にオンボード映像が流され、迫力あるレース中継が実施されている。しかし、スーパーGTをはじめ国内のレースでは、なかなか生中継中のオンボード映像は配信することができずにいた。
実は、これは電波の使用が大きく影響していたという。日本国内では、電波利用の制度のなかで、広いサーキットを走行することもあり、なかなか映像の送受信を行うことができなかった。海外レースの日本開催の場合は、この制度に対して、国際イベントへの協力ということで措置が緩和され、他の国同様の中継が可能になるのだという。
ただ、携帯電話のネットワークやカメラ等の映像送受信技術の進歩により、限られた電波のなかでも安定した映像の送受信ができるようになってきたという。この技術によって、スーパーGTのレース中のオンボード映像が実現したのが、2016年の第5戦富士。SUBARU BRZ R&D SPORTに搭載されレース中も映像が使用された。
実はこのSUBARU BRZ R&D SPORTの映像は、インターネット回線を使用することもあり、数秒のディレイがあったという。中継を制作したJ SPORTSとGTアソシエイションでは、オンボードを使用するタイミングを調整し、中継内で違和感がないように使用する工夫を行っていた。
その後もGTアソシエイションでは、オンボード映像生中継の研究を重ね、6月17〜18日にスポーツランドSUGOで行われた公式テストでは、AUTOBACS RACING TEAM AGURIの協力を得て、ARTA NSX-GTにオンボード映像を搭載。0.4秒程度と、ほぼ違和感がないディレイでの映像中継に成功した。
このオンボード映像テストは鈴鹿公式テストでも続けられ、鈴鹿ではMOTUL AUTECH GT-Rにも搭載。違和感なく、美しい映像中継がパドック内でも確認することができたという。なお、SUGOではほぼコース全域で途切れない映像受信が可能。鈴鹿の場合はスプーン立ち上がりで一瞬切れることはあるが、それ以外では違和感がなかった。
テストの結果を受け、GTアソシエイションでは7月22〜23日に行われる第4戦SUGOから、セーフティカー、オフィシャルカー等に搭載してオンボード映像の生中継での使用が実現しそうだという。今後、GTアソシエイションでは最新の技術を取り入れ、生中継可能台数の増加等、ファンがスーパーGTをより楽しめるように研究を重ねているという。
オンボード映像が実現すれば、さらにレースの迫力ある映像を楽しむことができる。第4戦以降の中継は要チェックだ。また、第5戦ではJ SPORTSが予選後、決勝をうらなう新番組を企画中とのことで、こちらも楽しみなところだろう。