2017年シーズンは15車種30チームが熾烈なバトルを繰り広げるスーパーGT300クラス。数多くある車両から1台をピックアップし、ドライバーや関係者にマシンの魅力を聞いていく。
今回は2017年から新たに登場したマザーシャシーの1台、トヨタ・マークX MCにフォーカスする。
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トヨタ86 MC、ロータス・エヴォーラMCに続き、3車種目のマザーシャシー車両として登場したのがトヨタ・マークX MC。埼玉トヨペットのディーラーチームである埼玉トヨペットGreen Braveが、自社の専売車種であるマークXをスーパーGTで走らせるべく、マザーシャシーで参戦する道を選択した。
2017年、実に5年ぶりにスーパーGT復帰を果たした番場琢は、マークX MCが世に出る前、さらに言えばマークX MC誕生が決まる段階からチームとともにプロジェクトを進めてきた。
その番場は「他のマザーシャシーに乗ったことがないので比較はできないけど、いろいろと聞いた話を総合すると、たとえば同じ86でもセットアップによっては乗りやすかったりピーキーだったり、マザーシャシーと言っても、ひとくくりにはできないゾーンがかなりあるようですね」とマザーシャシーへの印象を語る。
番場自身、イチからクルマづくりをするのはほとんど初めての経験。当初は同じマザーシャシーの86と同じような考え方でセットアップを進めていたが、86とマークXではボディの大きさも重量配分もまったく異なる。そのため第3戦オートポリスからは、これまでと異なるアプローチで挑むようになったという。
「事前テストぎりぎりにできあがったクルマなので、(各パーツの)建て付けなども、まだまだ詰めたい部分がありますね。今は“抵抗が大きいクルマ”。それは空力も転がり抵抗も、とにかくいろいろな抵抗が大きいですね」
マシンのキャラクターについて、番場は「繊細な子」と表現。それは「ほんの少し縁石に乗っただけで動きが変わってしまう」ほどだとか。
「通常のGTマシンで言えば誤差と言えるようなレベルでも、クルマ(の挙動)が大きく変わるんです。車高やダンパーのノッチとかも、たとえば4分の1ぐらいのアジャストで(1アジャストしたのと)同じぐらいの違いが出るんです。すごく敏感なマシンですね」
ただし、繊細なことがマークX MCの特徴ではなく、これもまだマシンが生まれたてとも言える状況にあることが大きいという。マシンが持つ本来のポテンシャルに関しては未知数。現状はスイートスポットを見つけるために手探りを続けている。
「スイートスポットにはまれば、ものすごく速いでしょうから、うまくその付近に持っていければ、まったく印象が違うでしょうね。今のレベルがマークX MCが持つ本来のポテンシャルだとは思っていないです」