終わってみれば、優勝したGAINER TANAX AMG GT3と2位に入ったFerrari 488 GT3が77周。3位のVivaC 86 MCは76周という周回数で、スーパーGT第4戦SUGOは幕を閉じた。先に言っておくと、GAINER TANAX AMG GT3の予選順位は17番手。Ferrari 488 GT3は16番手だった。
VivaC 86 MCがポールポジションだったのだが、いったい何がどうなってこの順位になったのか。荒れに荒れたSUGOのGT300の戦いは、関係者に聞くとなんとなくその全体像が見えてきた。
■序盤のBS勢の躍進。何もなければLEONがウイナーだった!?
今回勝負のキモとなったのは、フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rと植毛GT-Rが最終コーナーでクラッシュしたために導入された、2回のセーフティカーだ。これは実はGT500クラスも同様だ。レースはスタート直前まで、多くのGT300車両がスリックを履いていたが、パレードラップ開始直前に降り出した雨により、ほとんどのマシンがウエットタイヤに換装。序盤はウエット路面のなか、タイヤのキャラクターが出るレースとなった。
序盤から激しい戦いが展開したように見えたGT300だが、これはコース上の水量によるものだった。水量が多くなり、タイヤが温まったときに素晴らしいスピードをみせつけたのは、ブリヂストン勢。JMS P.MU LMcorsa RC F GT3、LEON CVSTOS AMG、そしてTOYOTA PRIUS apr GT、ARTA BMW M6 GT3が序盤大きく順位を上げている。また、ダンロップ勢もやや水量が減ったときに速く、GAINER TANAX AMG GT3がここで大きく順位を上げた。また、表彰台圏内をSUBARU BRZ R&D SPORTが争っている。
「セーフティカーが出なければ、65号車(LEON CVSTOS AMG)のレースだったんじゃないかな」というのは、VivaC 86 MCの土屋武士監督。フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rのクラッシュによるアクシデントの際、トップを走っていたのはLEON CVSTOS AMG。次いでJMS P.MU LMcorsa RC F GT3が続いていた。
この直前のタイミングで、路面は急速に乾いており、B-MAX NDDP GT-Rを筆頭にD’station PorscheやGULF NAC PORSCHE 911がピットイン。スリックタイヤに交換した。当然、早めにスリックに替えれば取り分が大きい。こういったウエットからドライになるレースではセオリーだ。グッドスマイル 初音ミク AMGの河野高男エンジニアや、土屋監督、さらに優勝したGAINER TANAX AMG GT3の福田洋介エンジニアも「タイヤを替えよう」とジャッジした。
ただ、グッドスマイル 初音ミク AMGはピットの準備の関係で遅れた。また、土屋監督は「このタイミングで入れたかったけど、ひょっとするとセーフティカーが出る可能性があった」と、一瞬ピットインをためらった。そうして、このレース2回目のSCが出たのだ。