今季はブリヂストンタイヤ装着のレクサス勢のみによる争いとも見られていたスーパーGT500クラスのタイトル戦線。しかし第5戦富士を終えたところで、ドライバーズランキング首位からわずか3点差の位置にニスモの松田次生/ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)が浮上してきた。実現すればミラクルと形容される戴冠に向けては、次の鈴鹿1000kmが極めて大切になる。
以下は第5戦富士のチェッカーから間もないタイミングでの出来事だ。
レクサス勢の一角、ポイントリーダーとしてこのレースに臨んだ大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ(WAKO’S 4CR LC500)はトップハンデの状態ながらも9位に入り、上位大接戦となったドライバーズランキングで首位から1点差の2番手と好位置をキープした。
手元計算でそれを確認した脇阪寿一監督は、「今日のレースに関してはもう少し上に行きたかったですけどね」とコメント。そしてニスモコンビが首位と3点差の5番手(4番手タイ)にいる状況を把握すると、「不気味ですね」との印象を付け加えた。
「違う道具(ミシュランタイヤ)を使っていることもありますから、不気味です。それに今季はこれだけの(マシンの)スピード差があるなかで、彼らはこの位置に来ている。ニスモがニスモたる所以(ゆえん)だと思いますね」と脇阪監督は続け、新たな展開に一層、気を引き締めているように見えた。
たしかにこの状況からは、ニスモのチーム力の高さが強く実感される。
もちろん、マシン性能優位なレクサス勢がかなり拮抗した争いをしている結果として、抜け出すチームがなくポイントが割れていることもニスモ台頭の背景にはあるだろう。
とはいえ、レクサスがトップ6を独占した開幕戦で7位、レクサス2戦連続表彰台独占の第2戦で4位など、ニスモが望み得る最上の結果を積み重ねてきていることは事実であり、驚異的ですらある。