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スーパーGT ニュース

投稿日: 2018.09.13 18:49
更新日: 2019.04.22 18:08

GT300マシンフォーカス:UPGARAGE 86 MC/思想を変えた足回り。「思い切ってタイヤを優しく使える方向に」

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スーパーGT | GT300マシンフォーカス:UPGARAGE 86 MC/思想を変えた足回り。「思い切ってタイヤを優しく使える方向に」

 2018年シーズンは14車種29チームがアツいバトルを展開しているスーパーGT300クラス。そのなかから11台をピックアップし、ドライバーや関係者にマシンの魅力を聞いていく。今回は2014年にGTデビューを果たし翌年から本格参戦を開始したGT300マザーシャシー。そのなかでも2018年シーズン第1戦岡山で優勝したUPGARAGE 86 MCにフォーカスする。

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 FIA-GT3カーが最大勢力を占めるスーパーGT300クラスで、JAF-GT車両と同じく改造範囲が残されているマザーシャシーを選択して戦うTEAM UPGARAGEは2018年でスーパーGT参戦4年目。ただし、今年はチーム創設時からジョイントしてきたレーシングプロジェクトバンドウとの提携を解消し、単独でのエントリーへとステップアップしている。そして新体制初戦となった第1戦岡山では見事にチーム初勝利を飾った。

 その裏には、3年間にわたるUPGARAGE 86 MC改善の努力と、チーム力向上にまい進するエースドライバー、中山友貴の努力があった。

 現在、シリーズに参戦するマザーシャシーのうち86MCは3台。そのなかでもこの18号車は14年にプロトタイプとして製作され、同年のタイ戦にもスポット参戦した個体そのものであり、他のマシンより約2000km程度もマイレージの進んだ状態でシリーズに本格参戦を開始した。

 その初年度を筆頭にこれまでも幾度か信頼性の問題に悩まされ、2017年の鈴鹿1000kmでも首位走行中に足回りにクラックが入るなど、惜しいところで栄冠を逃してきた。

 体制を一新して4年目のシーズンを迎えた86MCは、このオフシーズンで懸案事項を徹底的に見直し、これまで散発的にトラブルを抱え、悩みの種となってきた電装系もメインハーネスを含めすべてが入れ替えられた。

UPGARAGE 86 MC
UPGARAGE 86 MC

 さらにフロント周りではマザーシャシー製造元の童夢主導で新形状のアーム類が投入されるといったアップデートも施されている。

「このクルマは基本的にコーナリングに優れるマシンで、車重が軽い分、同じタイヤメーカーを使っているGT3勢よりはタイヤへの攻撃性が低い。だから同じラップタイムなら磨耗がいいというのは1年目から分かっていたこと」と語るのは、チームで不動のエースを務める2013年GT300クラス王者の中山友貴。

 初年度の15年は富士の2ラウンドともにマシンの不具合で落とし、2年目、3年目も信頼性の対応に追われつつ、パートナーだったルーキードライバー育成にも尽力してきた。

 ただ、マシン開発を行いながらのルーキードライバー育成は簡単なものではなく、マザーシャシーではお家芸とも呼べるタイヤ無交換作戦時には、チームメイトのためにタイヤをマネジメントしてピットに戻ってきたとしても「レースが終わたあと『どうだった?』と聞くと『バランスが悪くて』と言われて自信がなくなったり」と、自身のパフォーマンスに対しても疑心暗鬼に駆られることもあったという。

「タイヤを持たせている自信はあるんですけど『それでも使いすぎてたのかな』とか。『タイヤ(のグリップ)がドロップする見通しが足りなかったのかな』とか。それが今回の開幕勝利で改めて自信が持てた。小林(崇志)がクルマから降りてきてすぐ『いやぁ、タイヤすごい残っていて楽だった』とコメントしてくれて。それがすごくうれしかった」

■マザーシャシーは「軽さからくるコーナリングスピードとタイヤへの優しさをどう伸ばすか」が鍵


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