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MotoGP ニュース

投稿日: 2018.09.13 17:50
更新日: 2018.09.13 17:56

“スポーツシティ”として経済効果を上げるタイ・ブリーラム。仕掛け人に聞くその狙い

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MotoGP | “スポーツシティ”として経済効果を上げるタイ・ブリーラム。仕掛け人に聞くその狙い

 タイ王国の北東部にある街、ブリーラム。市内の人口だけで見ると2万8000人、ブリーラム県全体で150万人ほどが住む地方都市だが、この街がいま、スポーツを通じて大きく成長しようとしている。その中核を担うのは、サッカーのタイ・リーグ1の強豪ブリーラム・ユナイテッドFC、そして国際サーキットであるチャン・インターナショナル・サーキットだ。この街はなぜスポーツを通じ発展しようとしているのか、そしてどんな効果を上げているのか、その“仕掛け人”であるネウィン・チドチョブ氏に聞くことができた。

■強豪サッカーチームで始めた地域振興

 ブリーラムは、タイの首都バンコクから410kmほど。自動車で行くと5時間ほどはかかる。決して大きな街ではないが、2011年から大きな発展を遂げてきているのだ。筆者はスーパーGT開催時に毎年ブリーラムを訪れているが、街に至る道路が片側1車線から2車線に拡大され、市内には大型のショッピングモールやホテルが建設され続けるなど、毎年のように変わる街の景色に圧倒される。

 この街の産業の中核は農業、そして観光だ。ブリーラム県にはクメール王朝時代をしのばせるパノムルン遺跡などがあるが、現在街が最も力を入れているのは、スポーツを通じた観光客誘致。その二本柱となっているのが、ヨーロッパで人気が高いふたつの競技、サッカーとモータースポーツなのだ。

 そのふたつのスポーツを通じビジネスを手がけているのが、ブリーラム出身で、政治家としてタイの国政で活躍してきたチドチョブ氏。彼は「学生のときに自分がプレイしていたんだよ。そして情熱の象徴だ」というサッカーを通じて“街おこし”をスタートさせた。自らの出身地に、ブリーラム・ユナイテッドFCという強豪チームを誕生させたのだ。

 ブリーラム・ユナイテッドFCは、1970年に創設されたタイ電力公社が前身。アユタヤに本拠地があったが、2009年にチドチョブ氏が買収。ブリーラムに本拠を移し、2012年にはもともとあったブリーラムFCと合併し、現在のチーム名となった。

 現在タイ・リーグ1では、前身のPEA.FC時代を含め6回の優勝実績があるほか、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)にも毎年のように参加。タイの最強チームのひとつとして、名前を耳にしたことがあるJリーグチームサポーターも多いのではないだろうか。

「このビジネスを始める前、ブリーラムを訪れる観光客は年間5000人程度だった。ブリーラムは“過去の街”で、泊まりがけで来るような人はいなかったものだ」とチドチョブ氏は言う。

「だから私は、自分が好きなことをベースにした事業を手がけようと思った。それがサッカーだったんだよ。タイでも皆が好きなスポーツだし、世界中で知られているから」

「私の狙いは、ブリーラム・ユナイテッドFCを強力なチームにすることだ。例えばFCバルセロナやマンチェスター・ユナイテッドのような規模でだ。そしてクラブの成功は、多くのファンをもたらしてくれたし、多くの観光客も訪れるようになってくれた」

 当然、リーグ戦ではタイの多くの地域からアウェイサポーターが訪れ、ACLともなれば国外からもサポーターが訪れる。当然遠方なので、試合後は食事も宿泊もする。こうしてブリーラム市内には、経済効果が生まれていった。

GTA坂東正明代表と握手を交わすネウィン・チドチョブ氏。着ているのはブリーラム・ユナイテッドFCのサードユニ。
ブリーラム・ユナイテッドFCの本拠地であるチャン・アリーナ(2016年撮影。当時はニュー・アイモバイル・スタジアムという名称だった)
8月に都内で行われたパーティの様子。ブリーラム県が紹介された
8月に都内で行われたパーティの様子。ブリーラム県が紹介された
8月に都内で行われたパーティの様子。ブリーラム・ユナイテッドFCを紹介するコーナー
8月に都内で行われたパーティの様子。ブリーラム・ユナイテッドFCを紹介するコーナー

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