2019年、さまざまなトピックスがあるスーパーGT GT300クラス。そのなかでもライバルが警戒しているのは、今季からホンダNSX GT3に車両をスイッチしたARTA NSX GT3だ。2018年もタイトルを争っていたチームだが、今季は車両変更によりまったく違う性格の戦いを展開することになりそう。無事にシェイクダウンテストを終えた3月7〜8日の鈴鹿メーカーテストで、ドライバーの高木真一と福住仁嶺に、NSXの感想を聞いた。
■シェイクダウンは無事終わるも……足りない“時間”
今季からエントラント名も新たに“ARTA”として参戦するチームは、2016年からGT300クラスではBMW M6 GT3を走らせてきた。ブリヂストンタイヤとのパフォーマンスも相まって、特に近年、富士スピードウェイでは無類の強さを発揮。2017年から富士では3連勝を飾ってきた。ただ、2018年はタイトルをほぼ手中に収めながらも、最終戦もてぎでまさかの逆転を喫した。
そんなチームは、今季タイヤはブリヂストンで変更はないものの、マシンをホンダNSX GT3にスイッチ。さらに高木真一のパートナーに、ヨーロッパで実績を積んできた福住仁嶺を起用することになった。経験豊富な高木とSFでも戦う福住のコンビ、さらにブリヂストンと、そのパッケージは発表された段階から多くのライバルが「ARTAは速い」と警戒するものとなっていた。
1月の東京オートサロンでの発表後、初の走行となったのが3月7〜8日の鈴鹿メーカーテスト。このときがARTA NSX GT3のシェイクダウンとなった。テスト開始後、高木のドライブで慎重にチェックを行うと、少しずつペースを上げ福住もNSX GT3を初ドライブ。2日目にはさらにペースを上げ、トラブルフリーでテストを締めくくっている。
これまで数多くのマシンを乗り継いできた高木に、まずはNSX GT3の感想を聞いてみると、「今までのM6 GT3がああいう印象のクルマでしたからね。鈴鹿は特につらいコースでしたが、ミッドシップのNSX GT3での鈴鹿は、攻め甲斐があると感じましたね」とまったく違う性格のマシンに笑顔を浮かべた。
ホンダNSX GT3は、2018年に2台がGT300クラスに登場したが、得意とするコースは富士だった。ただ、今季はエボリューションキットが組み込まれることで、リヤのダウンフォースが増加。鈴鹿のようなテクニカルなコースで速さを発揮するマシンに変貌を遂げているのかもしれない。
ただスーパーGTにおいて、重要なのはマシンだけではない。このテストでは、セットアップを進めながら、ブリヂストンのNSX GT3用タイヤの開発もスタートさせた。ブリヂストンは他のGT3カーのデータはもっていても、ミッドシップのNSX用のデータはない。
「今日は2種類のタイヤをチョイスして、イチからやっていきました」と高木。
「(開幕まで)時間がないのがいちばん大変なところですが、そこは天下のブリヂストンさんなので(笑)。今日履いたなかでも違和感はそれほどなかったですが、今は少しずつ、何をどうしたら変わるのかを見つけているところですね」