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スーパーGT ニュース

投稿日: 2019.04.26 12:44
更新日: 2019.04.26 12:45

スーパーGT:NSX同士討ちまでの伏線と争点。山本尚貴「誰も得することのないレースだった」

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スーパーGT | スーパーGT:NSX同士討ちまでの伏線と争点。山本尚貴「誰も得することのないレースだった」

 4月13~14日に行われた2019年のスーパーGT第1戦岡山。雨が降りしきるなか行われた決勝レースで、悲劇は起きた。トップを走るRAYBRIG NSX-GTと2番手のKEIHIN NSX-GTが接触したのだ。

 これによりRAYBRING NSXはグラベルにはじき出され戦線を離脱。KEIHIN NSXにはレース後、タイム加算のペナルティが課され、目前まで迫っていた“NSX表彰台独占”が同士討ちによって露と消えた。autosport本誌では、この同士討ちが起きるまでの伏線を検証する。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 

 その瞬間、岡山国際サーキットが悲鳴に包まれた。セーフティカー(SC)スタートで始まり、度重なるクラッシュとSC導入を繰り返しながら迎えた24周目。14時30分のレース開始から、もっとも雨脚が強まったそのときだった。トップを走るRAYBRIG NSX-GT(山本尚貴)と2番手KEIHIN NSX-GT(塚越広大)が1コーナーで接触。KEIHINはすぐにレースへ復帰できたものの、姿勢を乱したRAYBRIGはコースオフ。グラベルに埋まった前年王者は、この瞬間に勝てるレースを失った。

■『悪夢の接触』までの伏線

 22周目にファステストラップをたたき出した塚越は、23周目に入った時点で山本の約0.7秒後方にまで迫っていた。その後も、セクター通過ごとにRAYBRIGとKEIHINのギャップはみるみる縮まっていく。

 コーナーではウエット路面攻略の定石どおり、RAYBRIGより1~1.5車身ほどアウト側を走るKEIHIN。タイヤラバーによる目詰まりが少なく水はけの良い路面と大きな旋回半径から得られるトラクションを活かす塚越は、バックストレートエンドのヘアピンやダブルヘアピン、さらに接触直前の最終コーナーでもワイドなライン取りに徹し、山本の背後に迫っていた。

 昨年、同じブリヂストンタイヤを履く3台のNSXのなかにあって、RAYBRIGはタイトルを獲得し、ARTA NSXは年間2勝を挙げた。一方のKEIHINは開幕戦で優勝こそしたものの、その後は苦しい戦いが続いていた。クルマの仕上がりも、1年前の岡山を除けば年間を通して他の2台に水を開けられていた印象は拭えない。

 そうした背景を踏まえると、チームを牽引する塚越としては是が非でも山本の前に出て、この開幕戦から今季に向けた良い流れを構築したいという思いがあったと想像できる。

 さらに、いつレースが中断してもおかしくないコンディションのなかでは、たとえ3番手のARTAを引き離していた状況でも、一刻も早くトップの座を確保しておきたい思惑があったはず。こうしたさまざまな事情が塚越の本能を覚醒させたのだろう。

 一方、前を走る山本が驚異的なペースで猛追してくる塚越を意識していたことも間違いない。コーナーの立ち上がりで迫られることは承知のうえで、塚越よりも小回りのラインをトレースする様子は「ポジションを譲らない」という明確な意思表示のようにも見えた。

 さらに言えばあの接触が起きた瞬間も山本がディフェンスラインを取ろうとしたように見えたが……。

■“0点”ではなく“マイナス”

上のグラフは“悪夢の瞬間”の2周前(22周目)からトップ2台(RAYBRIGとKEIHIN)のギャップをまとめたもの。セクターを通過するごとに2台の差が縮まっていき、雨を得意とする塚越の驚異的な速さをあらためて知ることができる
上のグラフは“悪夢の瞬間”の2周前(22周目)からトップ2台(RAYBRIGとKEIHIN)のギャップをまとめたもの。セクターを通過するごとに2台の差が縮まっていき、雨を得意とする塚越の驚異的な速さをあらためて知ることができる

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