開幕戦の岡山では予選でQ2に進出できたのはわずか1台だったレクサス陣営。今シーズンの戦いが危ぶまれる第1戦の内容となったが、今回の第2戦富士では予選で3台がQ1を突破し、決勝では見事ZENT CERUMO LC500が優勝を果たす結果となった。シャシー、エンジンとシーズン中の開発ができない現在のGT500で、レクサス陣営はいかにしてパフォーマンスを上げることができたのか。
実はレクサス陣営は開幕戦ではエンジンに不安を抱えていた。開幕前のオフテストで開発中のエンジンが立て続けに壊れてしまったため、シーズン中に2基までと定められているうちの前半の一基を今季型のエンジンではなく、昨年型のエンジンで戦うことにしたのだ。TRDのエンジン担当、岡見崇弘エンジニアが話す。
「オフシーズン、原因不明のトラブルがエンジンにありました。何が原因が分からなかったので、エンジンの燃焼が安定しないところがありまして、性能を抑えて使用しているところがありました。アンチラグをほとんど機能させずに運用していたんです」と岡見エンジニア。
アンチラグはアクセルオン、オフ時のターボラグを防ぐシステムだが、アンチラグが使えないとタービンの回転数が下がってしまい、踏み始めのトルクが得られず、ドライバビリティが悪くなってしまう。
つまり、『アクセルを踏んでもトルクが来なくて、踏んで待っていると突然トルクが来るという状況だったのですごく乗りづらかった』というのが、開幕戦の時のレクサス陣営のドライバーの感想だったのだ。
当然、その問題の解決には当たっていたが、開幕戦ではその対策ができなかった。TRDの岡見エンジニアが話す。
「原因が分からなくて、年間2基しか使用できないエンジンを壊す訳にもいかないので、今年用にいろいろ開発してきたものを一旦、止めていたんです。その中で原因をいろいろ検証して、いろいろな不具合対策をしている中で、アンチラグのマッピングですごくいいものをベンチテストで見つけたんです」
ホモロゲーションを通して封印したエンジン本体は開発できず、今季用の開発を施したエンジンはシーズン2基目での投入となるが、制御系は変えることができる。だが、それでも第1戦岡山には間に合わず、岡山後の鈴鹿タイヤテストの際に実装して手応えを得ることができ、そこから今回の富士に向けて合わせ込んできたという。