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スーパーGT ニュース

投稿日: 2019.06.10 11:35
更新日: 2019.06.07 19:26

スーパーGT:第3戦鈴鹿 K-tunes RC Fがトップチェッカー、新田と19歳の晴南が掴んだ”初優勝”

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スーパーGT | スーパーGT:第3戦鈴鹿 K-tunes RC Fがトップチェッカー、新田と19歳の晴南が掴んだ”初優勝”

 中高速コーナーが連なる鈴鹿サーキットは本来、マザーシャシー(MC)やJAF-GTといった軽いコーナリングマシンが得意とするサーキットだ。しかし昨年、K-tunes RC F GT3(96号車)がそれまでのコースレコードを2秒以上も更新し、GT3車両として鈴鹿で初めてのポールポジション(PP)を獲得すると、決勝でも優勝を飾った。その圧巻の走りを振り返り、HOPPY 86 MC(25号車)の土屋武士監督は「96号車が鈴鹿の絶対王者。今回はそれに挑む」と話していた。そして今年、25号車がPPを奪還、96号車がその隣に並んだ。果たして決勝は96号車が優勝し、“鈴鹿の絶対王者”としての力を見せつけた。

 96号車のスタートドライバーを務めた新田守男は2番手を維持。16周目にセーフティカーが導入され、22周目のリスタートと同時に25号車がピットインするとトップに立つ。同じタイミングでピットに入ったADVICS マッハ車検 MC86 マッハ号(5号車)と25号車はタイヤ無交換。

 96号車は25周目にピットインしてタイヤを4本交換。バトンを受けた阪口晴南の前には、ピットでタイムを稼いだ25号車と5号車がいた。晴南は30周目に130R立ち上がりで5号車を攻略し、42周目にはデグナーカーブひとつめで25号車をパス、トップに浮上する。

 晴南が25号車を抜き去る姿を見た新田は「興奮した」という。新田によるとこの日の96号車は、「ストレートもヘアピンも遅いんだけど、130Rが速い」と言い、晴南にもそのことを無線で伝えていた。実際、晴南が5号車を抜いたのは130R。そもそもデグナーは、ほかのコーナーに比べるとパッシングポイントではない。

「そんなところで慌てなくていいよ、130Rで抜けるんだからって感じだった」と新田。

 晴南は「その前の周の130R出口で抜いてやろうと思って、気合い入れてアクセルを踏んでいったらアウトギリギリまで行っちゃって失敗したんです。じゃあ次の130Rまで待とうと思いつつ、S字で後ろから揺さぶっていたらダンロップコーナーの立ち上がりで25号車の加速がちょっと鈍って。そのイン側にとにかくねじ込んで、デグナーへのブレーキングで25号車が引いたのが見えたのでいけるなと。フォーミュラだとデグナーで抜くのは無理ですね。ハコ車だから抜けました」と答える。

 GT300のルーキー、ハコ車のレース自体が今年初めてとなった晴南が“非常識”をさらっとやり遂げたのだ。

 晴南はレーシングカートで数々のタイトルを獲得し、2015年には鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラを首席で卒業。16年のFIA-F4選手権でシリーズ2位になる。F3には2016年から参戦し、昨年はスーパーフォーミュラにもスポット参戦した。

 かなり期待されていたと分かるが、F3でのシリーズ最高位は昨年の4位。今年はホンダの育成枠から外れてしまった。晴南は優勝会見で「年末年始に挫折したときからすれば、考えられないような成績」とコメントしている。その悔しさを見返すのに十二分の走りを魅せつけた。

 新田は今回の勝因を決勝中のこれらのパッシングに加え、「予選Q2で2番手になってくれたのがすごく大きい」と晴南を称えた。対して晴南は、「新田さんが第1スティントで2番手をキープしてくれたから」という。

 96号車が予選で使ったタイヤは、一時50℃にまで達した予選の路温にマッチするスペックだった。しかし、決勝では路温が下がり、「あと10度上がってほしかった」という状況で、新田は2番手を守り続けていた。最多勝記録22勝への更新に、新田自身も奮闘していたのだ。ちなみに晴南のスティントでは、昨年勝利したタイヤに近いスペックに履き替えている。

 開幕戦の優勝は赤旗終了により、晴南が決勝を走ることはなかった。今回はふたりで掴んだ初優勝。しかし7月9日生まれの晴南は、まだ19歳。未成年であるためシャンパンファイトには参加できない。ふたりでのシャンパンファイトは、第5戦富士以降に持ち越された。「シャンパンファイトで新田さんにかけたい」と晴南。「ふざけんな!」と言いながら、「優勝祝いと誕生日祝いをやれたらいいね」と新田は笑った。

スーパーGT:第3戦鈴鹿 K-tunes RC Fがトップチェッカー、新田と19歳の晴南が掴んだ”初優勝”
新田と55号車の高木真一が最多勝記録20勝で並んで臨んだ今季。新田は3戦で2勝と記録を伸ばし、高木を突き放した。RC F GT3は富士ともてぎを苦手としているが、いまチャピオンに一番高い位置にいる。そして晴南の存在が、その可能性を高めている。


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