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スーパーGT ニュース

投稿日: 2019.10.08 10:12
更新日: 2019.10.08 10:21

【トムス東條エンジニア特別寄稿】無念のリタイア。ローグリップでも攻めるDTM勢のレベルの高い走り《DTM×スーパーGTインサイド3》

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スーパーGT | 【トムス東條エンジニア特別寄稿】無念のリタイア。ローグリップでも攻めるDTM勢のレベルの高い走り《DTM×スーパーGTインサイド3》

 DTM第9戦ホッケンハイムのシリーズ戦に参戦するスーパーGT500クラスのマシン。初の試みにチームはどのようにメニューを進め、そして対応していくのか。日本を代表するレースエンジニアのひとりでもあるLEXUS TEAM TOM’Sの東條力エンジニアが現場からお届けします。3回目は日曜日のレース2。残念ながらLEXUS TEAM TOM’Sのニック・キャシディはオープニングラップに他車と接触してリタイアしてしまいましたが、東條エンジニアが2回のレースで感じたDTMのポイントをお伝えします。

  ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

●シンプルなセーフティカー運用と素早い車両回収
セーフティーカー(SC)の運用がシンプルで早い。スーパーGTのような2クラス混走レースではない事から、スーパーフォーミュラと同じくFIAの運用で行われます。SCのスピードが速く、コースがクリアになればすぐにリスタート。隊列に追いつかないクルマを待つことはありませんでした。

この素早いSCオペレーションに欠かせないのが、重機による吊り上げ回収にありました。コースアウトした車両の回収方法がとても合理的(大雑把とも言いますが……)。コースアウトしたクルマにドライバーを乗せたままブルトーザーがロープでつり上げ、コースサイドへ落とす。そして、すぐに出て行け的なジェスチャーでコースへ復帰させていました。SC介入によるレースのダラダラ感がほとんどないような感覚です。

●DRSを使用したときのスーパーGTとのギャップ
レース1はドライで行われました。DTMとスーパーGTの単独トップスピードを比べるとほぼ変わらないのですが、DRSを使用すると15km/h以上もスピードアップします。スーパーGT勢としてはこれではレースになりません。富士ではDRSの使用を絶対に阻止する必要があります(DRSが禁止されるスーパーGTの規定で運用予定)。

DTM勢のリヤウイング迎角は深めです。追い抜きのあるレースでは、DRSのドラッグ低減効果があるためか、トップスピードはそれほど気にしていない様子がうかがえました。ダウンフォースを稼ぐためか、車両姿勢も高レイクのHDF(ハイダウンフォース)セットアップが標準のようです。

一方、スーパーGTではDRSを使用しません。コーナーリングとトップスピードのバランスをとったセッティングが主流です。DTM車両と比べるとややダウンフォースは薄めになってしまうようなイメージです。スーパーGTでいうと、DTMのエアロバランスに近いのはNSXなのかもしれません。。

●ウエットタイヤの難しさはDTM側も同じ
BMWモータースポーツの知人のエンジニアに、ウエットタイヤのグリップに関して質問を投げかけてみたところ、快くディスカッションの場を設けていただきました。彼らもグリップを引き出すために相当苦労しているらしく、スーパーGT勢の様子を気にしていたとのことでした。

その甲斐あって、前日のウェット〜ダンプコンディションの予選で3秒6もあったトップからのギャップが、日曜のレース2予選ではより難しいヘビーレインで1.7秒差の16位。大きな進歩です。ドライバーのニックも満足なアタックだったとのこと。少しだけ理解を深めて午後のレースへ望めそうです。ドミニク、ありがとう!

【トムス東條エンジニア特別寄稿】無念のリタイア。レベルが高かったローグリップでも攻めるDTM勢の走り《DTM×スーパーGTインサイド3》
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