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スーパーGT ニュース

投稿日: 2019.11.03 19:47
更新日: 2019.11.06 20:46

スーパーGT:つちやエンジニアリングが2019年限りでの86 MC使用終了を発表。富士がラストラン

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スーパーGT | スーパーGT:つちやエンジニアリングが2019年限りでの86 MC使用終了を発表。富士がラストラン

 スーパーGT GT300クラスに参戦するつちやエンジニアリングは11月3日、スーパーGT第8戦のレース終了後、チームを支えるサポーター組織『サムライサポーターズ』とのミーティングをツインリンクもてぎ内のグランツーリスモカフェで行った。このなかで、土屋武士チーム代表は、2015年から使用し続けてきた86マザーシャシーでの参戦を、今シーズン限りで終え、来季は別の車両で参戦すると発表した。
 
 長年日本のトップガレージとして活躍してたつちやエンジニアリングは、1996年にJGTC全日本GT選手権に参戦し、1998年にはトヨタMR2でシリーズを圧倒。1999年にもチームタイトルを獲得し、2000年からGT500クラスに参戦。しかし2008年限りで景気後退のあおりを受け、チームは活動を休止した。

 チーム創設者の土屋春雄氏の息子である武士は、ドライバーとして活動する一方でガレージ再興を目指し、2013年に“3カ年計画”を立てた。2014年に土屋が期待を寄せる松井孝允を育て、2015年にGT300クラスに参戦。2016年にチャンピオンを……と描いた青写真は、果たして2016年に武士と松井のコンビで現実のものとなったが、その計画を実現に導いたプラットフォームこそ、GTアソシエイションの坂東正明代表が「日本のものづくりを大切にしたい」と導入したGT300マザーシャシーだった。

 童夢製のモノコック、GTA製V8エンジンを使用した86マザーシャシーは、つちやエンジニアリングの高い技術力によってクイックな特性と、ヨコハマとともに作り上げたタイヤのパフォーマンスも相まって、得意コースでは無類の速さを発揮。エンジニアも務める武士は、5年目となった2019年も「シャシーの“へたり”はまったくない」と語っていたが、そんなつちやエンジニアリングと86マザーシャシーの冒険は、2019年限りで終了を告げることになった。

15年のGT300復活から2年での王座獲得を達成したVivaC Team TSUCHIYA

■涙ぐみながらの『重大発表』

 11月3日、18位でレースを終えたスーパーGT第8戦もてぎのレース終了後、例年恒例となっていたグランツーリスモカフェでのサムライサポーターズミーティングが行われた。ドライバーの松井孝允と佐藤公哉とともにサポーターたちの前でマイクを握った武士は、こう切り出した。

「今年は春に『結果にこだわりたい』と言いながらも、皆さんに悔しい思いをさせてしまい、ふたりのドライバーに思いきりレースをさせてあげられず、申し訳ないです」と武士は、はじめは笑顔であいさつした。

 しかしその後、「重大発表」として話し始めた武士は、涙を交え、言葉に詰まりながら「来年度、重要な大きな変化があります。今まで使ってきたマザーシャシーから、来年は車両を替えて参戦します」とサポーターたちに切り出した。

「思い入れが強すぎるクルマなので……。すみません。僕たちはレースを戦い、勝たなければならないので……。新たなマシンとともに戦いたいと思います。その新しいクルマは、サポーターズの皆さんに最初にお知らせし、後日公にします」

「今日、あのクルマは公式戦でのラストランでした。しかし、11月のスーパーGT×DTM特別交流戦にエントリーしましたので、そのレースがラストランになります。皆さんにあのクルマが走る最後のシーンを観て欲しくて、こうして発表させていただきました」

「……正直、こんな(涙ぐむような)気持ちになるとは思いませんでしたが、だからこそ来年、しっかり結果を出していきたいと思います」

当初は笑顔で話し始めた武士だが、86 MCについて話し始めると思いがあふれた。
当初は笑顔で話し始めた武士だが、86 MCについて話し始めると思いがあふれた。
ミーティングに出席した松井孝允と佐藤公哉。松井も86 MCへの感謝を述べた。
ミーティングに出席した松井孝允と佐藤公哉。松井も86 MCへの感謝を述べた。

■武士と松井の思いがこもった86 MCは11月がラストラン

 そして武士の発表をうけ、松井は自ら発言を求め「僕もあのクルマでこうしてレーシングドライバーになることができましたし、皆さんと会えたのもあのクルマがあったからこそです」と感謝を述べた。

「このクルマでデビューできたこと、チャンピオンを獲れたことに感謝しています。またHOPPY 86 MCに会えることを僕も期待して、また戦い続けたいと思います」

 武士の発言のとおり、つちやエンジニアリングは、11月23〜24日に富士スピードウェイで行われるスーパーGT×DTM特別交流戦での『autosport web spint cup』に参戦予定で、このレースが86マザーシャシーでのラストレースとなる。

 創意工夫と“職人”の技術で、メーカー製のGT3カーたちに立ち向かったHOPPY 86 MC。その勇姿を観られるレースは、あとひとレースだ。

HOPPY 86 MC
HOPPY 86 MC
サムライサポーターズミーティングには多くのサポーターが駆けつけたが、その前で今季限りでの86 MC参戦終了が発表された。
サムライサポーターズミーティングには多くのサポーターが駆けつけたが、その前で今季限りでの86 MC参戦終了が発表された。


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