1月10日、千葉県の幕張メッセで行われた東京オートサロン2020で、新シーズンに向けた体制発表会を行ったARTA。GT300クラスのディフェンディングチャンピオンであるARTA NSX GT3には、高木真一のパートナーとして大湯都史樹が加入した。新コンビで目指すは王座防衛となるが、ふたりに新シーズンへの意気込みを聞いた。
2019年に新たにホンダNSX GT3を投入し、ブリヂストンタイヤ、そして高木と福住仁嶺というコンビで挑んだARTAは、開幕戦岡山、第2戦富士での連続2位からシリーズをリードすると、第7戦スポーツランドSUGOでは優勝。最終戦もてぎでも4位に入り、チャンピオンを獲得した。
2020年に向けては、NSX GT3とブリヂストンタイヤ、そして高木の組み合わせは変わらないが、福住は「もうGT300に乗るドライバーじゃない（鈴木亜久里代表）」とGT500クラスへ。代わって起用されたのが、全日本F3選手権で速さをみせつけてきた大湯だ。
とはいえ、福住はかつてCR-ZでGT300を一戦でも“体験”したことがあるのに対し、大湯はまったくの初めて。「ハコに乗ったことがないわけではないですが、レースはまったく初めてですし、いきなりスーパーGTですからね。分からないところだらけです。ルーキーテストもこなさなければなりません」と大湯は語る。
しかも、2019年に福住はGT300初年度ながらチャンピオンという結果を残した。当然その代わりとなる大湯にかかるプレッシャーは大きい。「去年以上のパフォーマンスが求められている……とは言われないですが、求められていると思っています。同じ展開ではみんな面白くないと思いますし、『コイツを乗せたらヤバいな』というのをみせたいです」と意気込む大湯。
「去年は仁嶺がチャンピオンを獲っているので、それ以上の成績を残さなければならないプレッシャーはあります。一戦一戦がんばらないといけないと思います」
■ひとつひとつ積み上げながら
一方コンビを組む高木は、タイトル防衛はもちろん、大湯を育てる役目も担う。その任務を果たし、大湯がトップドライバーに成長できれば、自然とタイトルも近づくはずだ。
ふだんから飄々とした雰囲気の大湯だが、このオートサロン以前に、まだ高木と大湯は数度しか顔を合わせていないという。「『僕よりヤバいですよ』と仁嶺に聞いていましたが、お前よりヤバいのがいるのかと（笑）。そのひと言から始まって、まだ数日しか会ってないので、どれくらい“宇宙人”なのか、育て甲斐があるのか楽しみです」と高木は笑う。
ただ高木にとってメリットがあるのは、2020年がNSX GT3の2年目であるということ。2019年は初年度で「毎戦セットを変えるような状況だった」という。「クルマが2年目なので、そのマージンをしっかり活かして、去年よりも一戦一戦順位を上げられたらチャンピオン争いできると思います」と意気込みを語った。
「逆に、それに昨年ドライで走れていないコースもある。2年目だからといって全部データがあるわけではないので、そこも含めてクルマ作りからはじめていきたいですね」
2年目のNSX GT3を武器に、高木の薫陶を受けながら初めてのスーパーGTを戦うことになる大湯。オートサロンではその仕事はじめだったが、「トークもうまくないですし……。ステージでもプレッシャーがすごくて、手が震えてました（笑）」とまだまだ初々しいところも。
とはいえ、「福住がひとつのラインを作ったので、そこを乗り越えなければならないし、彼の才能に期待しています。それにそういうドライバーじゃないと、次にステップアップできないですから。頑張って欲しいと思っています（鈴木亜久里代表）」と大湯にかかる期待は大きい。
今季は全日本スーパーフォーミュラ選手権への参戦も決まっており、ステップアップの一年となりそうな大湯。「まだ溶け込めていないので、ひとつひとつ積み上げていきたいです」と連覇を目指すARTAのなかで、どんな存在感をみせてくれるだろうか。
