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スーパーGT ニュース

投稿日: 2020.05.11 22:48
更新日: 2020.05.11 22:53

開幕までに知識を増やそう。改めて『GT3』をおさらい(1):GT3前史から誕生へ

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スーパーGT | 開幕までに知識を増やそう。改めて『GT3』をおさらい(1):GT3前史から誕生へ

 新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年は多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。この連載では、GT300のみならず、いまや世界各国のGTカーレースで使用されるGT3カーについて、不定期でご紹介しよう。超初心者向けだが、詳しい方も改めてお付き合いいただければ幸いだ。

(1)GT3の誕生から世界的な流行へ。まずは歴史をおさらい

 まず、GT3とはなんなのか、どんなカテゴリーなのかをお伝えする前に、まずはGT3についての歴史を超おおまかにお伝えしておこう。

 いまや世界中のさまざまなレースで使用されているGT3カーは、FIA国際自動車連盟の車両規定のなかでグループGT3と規定されている。初めて世の中にカテゴリーとしての『GT3』という言葉が出てきたのは、2005年、FIA GT選手権の一戦としてスパ・フランコルシャンで開催されていたスパ24時間レースでのプレスカンファレンスでのこと。FIA GTを運営していたSROモータースポーツ・グループのステファン・ラテルから、GT3という構想が語られた。

 もともとGTカーレースは、グループ3などに規定されていたものの、1980年代にはGTレース自体が下火となり、スポーツカーレースの主役はプロトタイプカーのグループC/GTPとなっていく。アメリカのIMSAではGTカテゴリーは存在したが、完全な市販車ベースではなかった。

 しかし1990年代初頭、FIAの失策や景気後退もありグループCは急速に台数を減らしていく。これに代わって1994年に生まれたのがBPR GTシリーズ。当初はさまざまなGTカーが集まったが、マクラーレンF1 GTRの性能の高さ、さらにポルシェ911 GT1やメルセデスベンツCLK GTRの登場、トヨタTS020の登場などカテゴリーの過激化もあり、GT1は消滅。GT2がGTへ変貌し、その下位カテゴリーとしてN-GTが設けられた。

 2004年にはGTがGT1、N-GTがGT2と改められたが、BPR GT創設者のひとりで『R』のイニシャルをもつステファン・ラテルが、2005年のプレスカンファレンスのなかで提唱したのが『GT3』カテゴリー。この会見のなかでは、あくまで今後GT1/GT2を拡大していく目標が述べられており、GT3はあくまで「FIAによるまったく新しいクラスで、市販車に近いレース専用車」とされ、2006年からGT3ヨーロピアン選手権を立ち上げるために制定された。

 初期のコンセプトの時点でのGT3は、チームスタッフ数、テストの制限、GT1で用いられたパワーウエイトレシオ等の性能平均化、シングルタイヤサプライヤー、ジェントルマンドライバーのみの参加がコンセプトとして導入されている。このコンセプトに加え、性能調整の厳格化、さらに車両販売価格の上限を定めたことが、後のカテゴリーの隆盛に繋がっていった。

 また当初のGT3は、『カップ・オブ・カップ』とされており、ヨーロッパのスポーツカーメーカーが開催していたワンメイクレース用カップカーが基準とされている。この発表時には、フェラーリ430チャレンジ、ポルシェ997カップ、マセラティ・トロフェオ・ライト、ダッジ・バイパー・コンペティションカップとされている。

 これらの車両は、2006年からスタートしたGT3ヨーロピアン選手権においてGT3カーとしてホモロゲートされたほか、アストンマーティンがDBRS9をGT3車両として投入することを発表した。

 こうして2006年からスタートしたFIA GT3ヨーロピアン・チャンピオンシップでは、ポルシェやフェラーリ、アストンマーティン、ダッジらに加え、アスカリKZ1や、ドイツのライター・エンジニアリング製のランボルギーニ・ガヤルド、キャラウェイ・コンペティションのコルベットZ06.Rなどが参戦。初代チャンピオンはショーン・エドワーズが獲得した。

 さらに2007年から、ドイツではGT3を使ったADAC GTマスターズがスタート。さらにオーストラリアGTでもGT2との性能調整でGT3車両が使用されはじめ、ブラジルなど世界各国で使用されていく。一方、FIA GT3ヨーロピアン・チャンピオンシップはFIA GT選手権のサポート的な意味合いが強かったが、2010年にFIA GTから発展したFIA GT1世界選手権が当初の目論見からはずれ参戦台数が伸びない一方で、2011年にスタートしたGT3の耐久レース、『ブランパン耐久シリーズ』は当初から50台以上のエントリーを集め盛況となっていく。

 2012年からは、FIA GT1世界選手権の車両がGT3に変更される現象が起き、その後FIA GT1は『ブランパンGTスプリントカップ』へ。『ブランパン耐久シリーズ』は『ブランパンGTエンデュランスカップ』となっていった。日本では、2010年にスーパーGT GT300クラスにポルシェ911 GT3 Rが登場したほか、スーパー耐久にもアウディR8 LMSが登場。日本にもGT3の波が伝わっている。

 次回は『GT3とはどんなレーシングカーなのか』について触れたい。

1998年のFIA-GT。先頭のメルセデスベンツCLK GTRやそれに続くポルシェ911 GT1など、ワークスカーがシリーズを席巻した。
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2005年のスパ24時間。当時はGT1やGT2がメインだった。
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