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投稿日: 2020.07.09 11:42

プレチャンバーも開発の焦点に。“燃費ターボ”NREは最新かつ最後の大技か【スーパーGT驚愕メカ大全/最終回】


スーパーGT | プレチャンバーも開発の焦点に。“燃費ターボ”NREは最新かつ最後の大技か【スーパーGT驚愕メカ大全/最終回】

 1994年に始まった全日本GT選手権(JGTC。現スーパーGT)では、幾多のテクノロジーが投入され、磨かれてきた。ライバルに打ち勝つため、ときには血の滲むような努力で新技術をものにし、またあるときには規定の裏をかきながら、さまざまな工夫を凝らしてきた歴史は、日本のGTレースにおけるひとつの醍醐味でもある。

 そんな創意工夫の数々を、ライター大串信氏の選定により振り返ってきたこの不定期連載も今回が最終回。第10回は、2014年に採用され現在まで続く2リッター直4ターボエンジン、NRE(ニッポン・レーシング・エンジン)について改めて考察し、当連載の結びとしたい。

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 2014年以降、GT500クラスの車両は全車がNRE規格に基づいて開発されたターボ過給直列4気筒エンジンを搭載している。

 ターボ直4エンジンがGT500を戦うのはこれが初めてではなく、2002年まではトヨタ・スープラが3S-GTE型ターボ直4エンジンを搭載していた。だが、そのときのターボ直4と比べると、現在のターボ直4は同じようでいてまったく異なる驚愕メカである。

 ご存じのようにガソリンエンジンは、シリンダー内の混合気をピストンで圧縮して点火プラグで点火したとき爆発的に燃焼して膨張した燃焼ガスがピストンを押してパワーを発揮するメカニズムだが、自然吸気エンジンでは排気量以上の混合気をシリンダーに吸入することはできない。

 しかし、排気ガスとして捨てていたエネルギーを流用して回したタービンでコンプレッサーを駆動し、ガソリンと空気を混ぜた混合気をシリンダーに押し込めば、排気量以上の混合気が燃焼するので、自然吸気エンジン以上のパワーを引き出すことができる。これがターボ過給の仕組みである。

 ただし、パワーが出る分、より多くのガソリンを燃焼させているのだから燃費も悪くなる。これを「出力ターボエンジン」と呼ぶ。

 これに対し、現在用いられているNRE規格のターボ直4は、名前は同じ「ターボ過給エンジン」だが、出力ではなく燃費を主体に考慮して開発された「燃費ターボエンジン」である。

 こうした「燃費ターボ」が近年になって見直され量産車にも多く使われるようになったのは、ガソリンを高圧でシリンダー内に直接噴射する直噴技術や精密な制御技術、新しい素材など、旧時代には成立しなかった希薄燃焼技術、すなわちガソリンをあまり混ぜない薄い混合気を燃焼させる技術が確立したからだ。

 旧時代の出力ターボの場合、ガソリンはシリンダー内で燃焼させてエネルギーを発生させるだけではなく、ガソリンそのものを使ってシリンダーや排気系を冷却する「燃料冷却」を行なわなければピストンや排気系が熱で壊れた。

 つまりパワーを出すために、ガソリンを燃焼以外にも流用していたのだから、パワーは出るけれども「ガソリンを垂れ流す」エンジンだった。

 燃費が悪くてもパワーが出ればいいという時代ならばそれも受け入れられたが、時代は変わって省燃費がもてはやされるようになり、ターボエンジンは徐々に時代錯誤の仕組みとして邪魔者扱いされるようになっていった。

 それでも性能優先のサーキットでは使われ続けたものの、やはり時代の波が押し寄せレースでも燃費が取りざたされるようになると居場所がなくなっていった。ところが、省エネ時代、再びターボ過給エンジンが日の目を見るようになり、まずは量産車で復活し、とうとうサーキットでも再び走るようになった。なぜならば、希薄燃焼技術に基づく「燃費ターボエンジン」が現れたからだ。

2013年以前の3.4リッターV8自然吸気エンジンからの切り替えにより、開発期間〜初年度にかけては3メーカーともトラブルが頻発。ターボ関連の熱害にも苦しめられた。写真の2014年第2戦富士で炎上したGT-Rは、直4ゆえの振動で燃料系コレクターに亀裂が入ったことが原因であった。
2013年以前の3.4リッターV8自然吸気エンジンからの切り替えにより、開発期間〜初年度にかけては3メーカーともトラブルが頻発。ターボ関連の熱害にも苦しめられた。写真の2014年第2戦富士で炎上したGT-Rは、直4ゆえの振動で燃料系コレクターに亀裂が入ったことが原因であった。

■「ガソリンを減らしてパワーを増す」新世代ターボの仕組み


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