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スーパーGT ニュース

投稿日: 2020.07.18 23:25
更新日: 2020.07.18 23:29

スーパーGT、3メーカー首脳に聞く新型車両開発。歴史的1年の最初の勝利はどのメーカーに!?

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スーパーGT | スーパーGT、3メーカー首脳に聞く新型車両開発。歴史的1年の最初の勝利はどのメーカーに!?

 国内最高峰レースの先陣を切って、スーパーGT第1戦富士がいよいよ開幕した。新型コロナの影響で約4カ月遅れの開幕、変則の日曜日のワンデー開催、そして無観客での開催といつもとは違う2020年のスーパーGTシリーズ。練習走行が行われた初日、各陣営の手応え、そして新しく開発されたクラス1規定下での2020年新型車両について聞いた。

2020年のスーパーGT、GT500クラスのまず最初の注目はホンダ、トヨタ、ニッサンの3メーカーがクラス1規定に則した新型車両の出来映えだ。2013年以来となる3メーカー同一駆動方式のマシンで、モノコックやECU(電子制御)、サスペンションなどが共通化され、開発エリアは空力面、ラテラルダクトと呼ばれるボディサイド部下とフロント両端のカナード部の空力、そしてエンジン性能に限られる。

 3月に行われた岡山公式テスト、そして6月末にメディアシャットダウンで行われた富士公式テストでのタイムとリザルト、そして下馬評では、クラス1規定に則りミッドシップから今年フロントエンジン・リヤドライブ(FR)化したホンダNSXの速さがライバル陣営から聞こえてきていた。

 まずは2020年のFR化されたNSXについて、開発のコンセプトをホンダGTプロジェクトリーダーの佐伯昌浩氏に聞いた。

「今年のNSXの開発は車体、エンジンの信頼性とドライバビリティを中心に進めました。開発で苦労したのは、フロントにエンジンを納めるスペースが厳しいことです。補機塁を含めて、エンジン、ギヤトレーンをすべて新規で開発しました」と佐伯氏。

車体開発担当の徃西友宏氏が「スペースがなくて、冷却系の開発にも苦労しました。ダクトをどの位置で通すのか、ダクトのスペースの奪い合いのような形になりましたね」と付け加える。

 目指した車両特性としては「これまでのNSXのミッドシップのイメージを崩したくなかったですし、ドライバーからもやはりミッドシップのような挙動を求めるニーズが出てくるので、そのような特性を目指しました」と徃西氏。実際、FR化されたNSXはすでにかなりのダウンフォースが出ているようで、コーナリングの速さでアドバンテージがあるようだ。

 ホンダとしては新型コロナの影響で開幕が延期された約4カ月の期間、まったく新しいFR車両を開発をしていたホンダとしては時間が延びたことはメリットとなった。エンジン面でも「数か月分に見合った正常進化、性能向上が得られた」と佐伯氏。「これまでは車両の開発を重視して信頼性に振ったエンジンを搭載していましたが、この開幕に向けて重量的にも軽くなったエンジンを投入することができました」と、今季型のNSXの開発に手応えを感じているようだ。

 一方、トヨタGRスープラ陣営も、コロナの延期期間は有意義な時間を過ごせた様子。GT500のGRスープラ開発プロジェクトを率いるTRD湯浅和基氏が話す。

「実走ができないだけで、エンジンのベンチテストや風洞テストの開発は止めずに続けていました。いつもなら開幕直前までテストをして、すぐに開幕になだれ込むような形でしたが、今年は時間があったのでいろいろな検証や解明、確認を進めることができました」と湯浅氏。

 GRスープラの開発について苦労した点については、「クラス1規定での共通パーツの部品強度などがわからなくて未知な部分があったり、エンジンECUの制御方式の変更があって、これは3社共通して苦労している部分だと思います。そこに加えて、他社さんと違うところでは我々としてはクルマの形が変わっているので、空力の変更、開発が一番大きいですね。空力パーツの立て付けや交換性、表面の強度なども開発要素に入ってきました」と説明する。

2020年スーパーGT第1戦富士土曜日
2020年型ニッサンGT-Rのラテラルダクト

2020年スーパーGT第1戦富士土曜日
2020年型ホンダNSXのラテラルダクト

2020年スーパーGT第1戦富士土曜日
2020年型トヨタGRスープラのラテラルダクト

■3メーカーの2020年新型車両、コロナ期間で分かれたGT500クラスの開発状況


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