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スーパーGT ニュース

投稿日: 2020.07.22 17:59
更新日: 2020.07.22 18:15

人生初の怪我入院から心身ともにアップデートしたKeePer TOM’Sの平川亮。2020年躍進の予感

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スーパーGT | 人生初の怪我入院から心身ともにアップデートしたKeePer TOM’Sの平川亮。2020年躍進の予感

 スーパーGT第1戦、開幕戦の富士スピードウェイ。2020年はGT500クラスに参戦する3メーカーがそれぞれクラス1規定のもと、新型マシンを投入するなか、トヨタGRスープラが1位ー5位を独占する圧巻の強さを見せたが、そのなかでもっとも輝いていたのがでポール・トゥ・ウインを飾ったKeePer TOM’S GRスープラと平川亮だった。今年1月に人生で初めての怪我での入院を経験した平川、2020年シーズンへの意気込みは例年以上にあったようだ。

 年明けの今年1月、体力強化などを目的としたグアムでの自主合宿に参加した平川は、トレーニング中に転倒して鎖骨を骨折して緊急帰国を余儀なくされた。

 2017年にGT500のタイトルを獲得して2018、2019年と連続ランキング2位となり、立川祐路、石浦宏明らとともにトヨタ陣営の開発ドライバーとして2GT500GRスープラの開発にも関わっていただけに、平川自身にとって大きなアクシデントとなってしまった。

「トレーニング中にランニングをしていたら躓いてしまい、転んで鎖骨を折ってしまいました。怪我をしたときは『やってしまったな』という感じでした。生まれてはじめて怪我で全身麻酔で手術をして、1週間くらい入院しました」と大怪我を振り返りながら、いつものクールな表情で話す平川。

「トレーニングを普段からしっかりとやっていれば防げたことかもしれないし、いろいろと気をつけていればな……と思いましたね」

 普段は人目ではほとんど感情を表さない平川だが、それは当然、平川の一面にすぎない。その当時はよほど悔しかったにちがいない。

「そのおかげで気持ちを切り替えて、体調管理を気をつけるようにしました。体重も落ちて、少しはそのことが活きたかなと思います。(新型コロナの)自粛期間が長かったので、その間に体調管理が余計にできるようになったということもあります」

 新型GRスープラの開発だけでなく、コロナ自粛前の37号車のシェイクダウンや2月のセパンテストでもドライブできず、KeePer TOM’S GRスープラのドライブはチームメイトのニック・キャシディが担当。キャシディと平川の乗り方は異なり、セットアップの好みも違うことで知られているが、クルマのセットアップはキャシディ中心に進められていった。

「それでも、セットアップの部分ではそこまで大きな影響はなかったです。僕は2月のセパンテストは乗れず、3月の岡山公式テストはウエットで距離も稼げず、少し怪我の痛みもあってあまり上手く走れなくて、そこから自粛期間に入ってしまいました」

「それまで(トヨタ陣営の)開発車両はドライブしていたのですが37号車はあまり乗れず、よくわからない状況で開幕戦に臨みましたね。ですが、ニックを中心にチームがクルマを良い方向に進めてくれて助かりました」

 1位から5位まで独占したGRスープラのブリヂストン陣営のなかで、予選、決勝とKeePer TOM’S GRスープラは常にトップを走り続けた。開幕戦のレースも、セーフティカーが入らなければ2番手に20秒以上のギャップをつけて勝っていた可能性が高く、GRスープラ勢のなかでもKeePerのパフォーマンスは抜けていた。その原動力はやはり平川とキャシディの力によるところが大きいのかもしれない。

「タイヤ選択やセットアップなどのチーム力もあるので、『僕らのおかげです』とは言えないです(苦笑)。もちろん今回のレースもタイヤ選択がチームによって違うので、そこの差も出たと思います」

「それに最後の20周くらいはそれなりにきつかった。セーフティカーがなければたぶん、ゲームセンターのマリオカートで勝つくらい簡単だったと思いますが(苦笑)、そんなに楽に勝てることは絶対にないなと思って走っていました」

「アクシデントやトラブルになった車両も出ていましたし、レース中盤以降、みんながピットの入るタイミングだったので何かが起きるだろうなとは思いました。それでセーフティカーが出たのですが、20秒も差がついていると逆に集中できないのですし、自分のなかで気持ちが引き締まりましたね」と、レース終盤を振り返る。
 
 一昨年に結婚、そして昨年は第一子の長女が誕生して父となった平川。KeePer TOM’S GRスープラの小枝正樹エンジニアが「亮もニックも、レースキャリア、年齢的に一番乗れているタイミングかもしれません」と話すように、1月の怪我を経て、今シーズンの平川は心身ともにさらにアップデートしたように見える。

「スーパーGTもですけれど、スーパーフォーミュラも自信があるので楽しみです」

 スーパーGTでまずは1勝を挙げたが、第2戦以降だけでなく、スーパーフォーミュラでも2020年の平川はひと味違うパフォーマンスを見せるのかもしれない。

2020年スーパーGT第1戦富士を制した平川亮/ニック・キャシディ組KeePer TOM'S GR Supra
2020年スーパーGT第1戦富士を制した平川亮/ニック・キャシディ組KeePer TOM’S GR Supra


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