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スーパーGT ニュース

投稿日: 2020.08.27 08:15
更新日: 2020.08.27 08:19

クインタレッリの一撃とタイヤで“攻めた”モチュールGT-R。逆襲は続くか【第3戦GT500勝因分析】

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スーパーGT | クインタレッリの一撃とタイヤで“攻めた”モチュールGT-R。逆襲は続くか【第3戦GT500勝因分析】

 そのとき、ロニー・クインタレッリの闘争心に火がついた。最初のセーフティカー明けのレース5周目、日立オートモティブシステムズシケインへの飛び込みで立川祐路にインを刺され2番手を奪われた刹那、である。

 MOTUL AUTECH GT-Rのスタートを担当したロニーには、あるいは少し油断があったかもしれない。130R進入でミラーを確認したときには余裕があった。だが、130Rを立ち上がるとシルバーと赤のマシンはミラーのなかで一際大きくなっていた。

「あれ、とんでもないスピードで近づいてきてる」

 ZENT GR Supraに抜かれ「悔しかった」ロニーだったが、意外や立川についていくことができた。うしろから観察すると、どうやらS字の中ではきつそうだ。ポジション奪還のチャンスがあるかもしれない。

 ロニーと立川、GT500を代表する名手が繰り広げる久々のバトルは、見る者の胸を熱くさせるものがあった。しかし、そのバトルは長くは続かない。

 13周目、GT300をうまく絡めて、NISSINブレーキヘアピンへの進入で大外刈りを決めるロニー。「2年前も、あのアウトからうまくいけたから」と鮮やかに再逆転を果たした。

 直後にZENT立川はミッショントラブルに見舞われるが、オーバーテイクを許した瞬間は、まだミッションは生きていた。ロニーは自力で事実上の首位を奪ったことになる。

 その後Modulo NSX-GTのペースが落ちたことでトップに立ったロニーだったが、一抹の不安も抱えていた。レースに向けて前日の予選で選んでいたタイヤは、持ち込みのなかで柔らかい側となるミディアムソフトだった。

 この選択については、予選時点で決勝日が「最高気温30度程度、レース前には降雨の可能性あり」と予報されていたことも影響していた。

「(暑い)予選では柔らかすぎてちょっと苦労するかもしれないけど、気温が下がる決勝でドンピシャになるかな」(ロニー)という思惑だったのだ。

 ところが迎えた決勝日、天候は“上方修正”され気温は上昇、雨も降らなかった。スタート時の路温は49度程度にまで上昇。タイヤがどこまでもつか分からず、「熱に対するブリスターも心配」(ロニー)だった。ミニマム周回数でピットインし、後半はミディアムコンパウンドを選択することも視野に入れていた。

 だが、このミディアムソフトが好パフォーマンスを発揮する。周回を重ねてもグリップダウンがない。さらに富士で悩まされていたピックアップも少なく、トラフィックの中でも走りやすかった。これが立川を躊躇なく抜けた要因ともなった。

 24周目、まだタイヤは元気だったが、前方にGT300のパックを視認したロニーの判断で、早めのルーティンストップを敢行。後半用のタイヤも、同じミディアムソフトを選んだ。

 久々に上位でバトルを展開し、トップでマシンをピットに運んだロニーは「気持ち良かった。100点満点のスティントだった」と振り返る。代わった次生もマージンを活かし、結果的にロニーよりも長くなった後半スティントをフィニッシュラインまで逃げ切った。

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