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スーパーGT ニュース [PR]

投稿日: 2020.09.04 21:40

【今、振り返るGT500マシンの歴史/ニッサン編】GT-R──5年ぶりのタイトル奪還を狙う

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スーパーGT | 【今、振り返るGT500マシンの歴史/ニッサン編】GT-R──5年ぶりのタイトル奪還を狙う

 2007年12月に販売された現行のR35型GT-Rは翌2008年シーズンに早速サーキットに登場することになった。2008年のスーパーGTは、「GT-R復活」のひとことで表現することができる。翌年施行予定の「09規定」を一部先取りした新型GT-R=R35型デビュー戦の舞台・鈴鹿サーキットには、新たな“GT-R伝説”の始まりに期待するファンの気持ちが、弾けんばかりに膨らんでいた。デビューウイン、そしてデビューイヤーでのタイトル獲得は、GT-Rに課せられた至上命題であった。

 ニッサンのエースナンバーを背負い、この重責に立ち向かったのは本山哲とブノワ・トレルイエである。3月16日、鈴鹿のフロントロウに並んだ2台の赤いGT-Rがスタートを決めて1コーナーに飛び込むと、“伝説”の時計の針は5年ぶりに時を刻み始めた。

* * * * *

 R32型スカイラインGT-Rは、その開発段階からレース、とりわけグループA(JTC全日本ツーリングカー選手権)での勝利を目指して企画・開発された。市販車の発売開始から30年以上を経た現在でも、その中古車市場における人気は凄まじいものがある。

 R32は市販車発売開始翌年の90年にグループAデビューすると、もはや伝説となった「29戦29勝」を挙げ、勝利を宿命づけられたマシンというイメージは次第に増していった。また、94年のJGTC全日本GT選手権正式スタートに先駆けた試験的プレシーズンにあたる93年には、グループA仕様ベースのR32を駆る影山正彦が全勝でシリーズチャンピオンに輝いている。

 94年のJGTC正式スタートに際してはJTC終了により行き場を失ったGT-Rが多数参戦。一部車両の駆動レイアウトは、4WDからFRへと改められた。この年は影山が“初代”GT1(のちのGT500)クラス王者に輝いている。

 95年からは市販GT-RがR32型からR33型へと進化したのに合わせ、GT500参戦車両も順次R33型GT-Rへと切り替えられた。サスペンションはマルチリンクから、よりレーシングカーに近いダブルウィッシュボーンへと変更されるなど、進化を果たした。開幕戦鈴鹿では長谷見昌弘のユニシアジェックススカイラインが優勝し、JGTCにおける“鈴鹿戦初代ウイナー”に。シリーズを制したのは、この年も影山とカルソニックスカイラインだった。

 その後もエンジンやシャシー、エアロなど、R33GT-Rには毎年のように改良が加えられていった。98年は、ペンズオイルニスモGT-Rのエリック・コマス/影山正美が鈴鹿での開幕戦から2連勝をマークし、タイトルを獲得する。

 R34型は99年、雨となった開幕戦鈴鹿でデビュー。なかなか勝利を挙げることができなかったが、第4戦にしてようやくコマス/本山組が優勝。この年のタイトルはコマスが防衛し、見事R34のデビューイヤーを飾った。

1999年のペンズオイル・ニスモGT-R
1999年のペンズオイル・ニスモGT-R

 JGTCにおけるGT-RはR32時代より、そのアイコンでもある直列6気筒のRB26エンジンを搭載して戦ってきたが、GTマシンの急速な進化に伴い、パワー面でのメリットよりもその大きさと重さがもたらす運動性能の面でのデメリットが目立つようになってきた。そこで市販車のR34の生産が終了した02年シーズン途中、コンパクトなV型6気筒エンジンVQ30への換装を敢行する。

 R34最終年の03年は最終戦鈴鹿をカルソニックスカイラインが制し、このレースで3位となったザナヴィニスモGT-Rの本山/ミハエル・クルム組がタイトルを手にして有終の美を飾った。04年からは参戦車両がZへと改められたため、この鈴鹿で「GT-R伝説」はいったん幕引きとなった。

2003年のモチュールピットワークGT-R/ザナヴィニスモGT-R
2003年のモチュールピットワークGT-R/ザナヴィニスモGT-R

 07年末にR35型GT-Rの市販が開始されるなか、待望のGT-R復活戦となった08年開幕戦鈴鹿は、ニスモ2台の対決となった。

 僚友モチュール オーテックGT-Rの後塵を拝す形でのマッチレースを迎えた本山/トレルイエ組のザナヴィニスモGT-Rは、モチュールよりも1周早いピットインを敢行。タイヤの温まった本山がアウトラップのモチュールを急襲し、勝たなければならない一戦を見事に制した。レース後、「これほど大きなプレッシャーのかかったレースは初めて」と本山は語った。

2008年のMOTUL AUTECH GT-R/XANAVI NISMO GT-R
2008年のMOTUL AUTECH GT-R/XANAVI NISMO GT-R

 この08年は9戦中7勝をGT-R勢で占め、本山/トレルイエ組がチャンピオンに。以来GT500をR35型で戦い続けるニッサンは、その後も規定変更年となる14年に王座を奪取。「デビューイヤータイトル」を宿命づけられた陣営は、いつしか新レギュレーションをいち早くモノにする力を身につけていた(このほか、2011、2012、2015年シーズンも制している)。

 2020年、GT500に投入されるR35型GT-Rは、新規則に合わせて“新型”へと生まれ変わった。ドア下のアグレッシブなラテラルダクト形状が目を引く。エンジンにも相当なテコ入れがされているというGT-Rは、5年ぶりのタイトル奪還に燃えている。新型車両デビューイヤーに、新たな伝説を刻むことはできるだろうか。


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