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スーパーGT ニュース

投稿日: 2020.11.21 12:00
更新日: 2020.11.20 21:17

GT300マシンフォーカス:NSX GT3 EVO”マイスター”が語る『ふたつのキーポイント』

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スーパーGT | GT300マシンフォーカス:NSX GT3 EVO”マイスター”が語る『ふたつのキーポイント』

 スーパーGT300クラスに参戦する注目車種をピックアップし、そのキャラクターや魅力をエンジニアや関係者に聞く”GT300マシンフォーカス”。その2020年第2回は、18号車『UPGARAGE NSX GT3』が登場。2019年は55号車(ARTA NSX GT3)を担当して見事チャンピオン・エンジニアに輝き、今季はヨコハマタイヤ装着車両で奮闘する一瀬俊浩エンジニアに、隅々まで知り尽くしたホンダNSX GT3″EVOモデル”の素性を聞いた。

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「昨年はARTAで55号車を担当させてもらいましたが、そのときはもう(NSX GT3が)EVOモデルになっていたので、それ以前の仕様に関しては、じつはちょっと知らないんですよね」。そう語り始めたのは、レース車両のメンテナンス業務を請け負うセルブスジャパン所属の一瀬俊浩エンジニア。

 このNSX GT3自体も異色の出自を持つ車両であり、日本側で初期開発が進められたのち、本格的なGT3ホモロゲーション取得作業と仕様決定、カスタマーデリバリー前の性能向上テストを北米のホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)が主体となって進めてきた。そして最終的な車両製作とグローバルな販売は、イタリアのJASモータースポーツが担当する(日本ではM-TECが販売窓口に)。

 そのプログラムにより、2017年シーズンは長年にわたり北米アキュラのモータースポーツパートナーを務めるリアルタイム・レーシング(RTR)が、当時の『SCCAピレリ・ワールドチャレンジ』に参戦。同じく『IMSAユナイテッド・スポーツカー選手権(USCCウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ)』には、名門マイケル・シャンク・レーシング(MSR)がエントリーして、実戦での開発テストが続けられてきた。

 カスタマーへの本格デリバリーが開始された2018年から、日本では道上龍率いるModulo Drago CORSEがGT300クラスに34号車(Modulo KENWOOD NSX GT3)を投入(同年はCARGUY Racingも777号車で参戦)。翌年、EVOモデルへと更新された車両3台がシリーズに挑戦する形となった。

 そのうちの1台となった18号車は、TEAM UPGARAGEが長らく使用してきた86マザーシャシーからスイッチしてのチャレンジだったが、チームは2020年からメンテナンス体制を一新すると同時に、昨季ARTAでタイトルを獲得した一瀬氏をチーフエンジニアに招聘。

 NSX GT3を知り尽くす人物の起用でタイトル戦線浮上を狙い、第3戦鈴鹿では予選9番手から2位表彰台へ。同じく鈴鹿の第6戦ではセカンドロウ4番手グリッドを獲得するなど、明らかな効果が現れた。そんな一瀬氏から見て、このNSX GT3 EVOは「最高速はありながらも、どちらかと言うとコーナーで勝負するクルマ」の印象だという。

「初期型の印象は道上さんですとか、大津(弘樹)からちょっと聞いた情報でしか知らないのですが、ARTAでは長く(BMW)M6を担当したこともあって、NSXは中間加速はないけどドラッグが少ないので最高速は速い。でもそこは(最高速)トラップの数値だけで、イメージはコーナーの速さ。とくに中高速コーナーのダウンフォース(DF)が効いてるところで速い印象を持っています」と一瀬氏。

 その背景には、EVO化されたこのモデルからフロントスプリッター、リヤディフューザー、リヤバンパーが新設計となり、ドラッグの低減と空力バランスの最適化が図られたことが良い影響を及ぼした、と考えられる。

「DFはある程度、出ているとは思います。M6と比べても……まあ過重計が付いてるわけではないですが、たぶんNSXのほうが上で、特にリヤは出ていますね。ただそれは『EVOモデルになってから』だと聞いているので、どちらかと言うとみんなフロントが足りなくて困ってます」

TEAM UPGARAGEは2020年からメンテナンス体制を一新すると同時に、昨季ARTAでタイトルを獲得した一瀬氏をチーフエンジニアに招聘した

2019年からEVO化されたモデルからフロントスプリッター、リヤディフューザー、リヤバンパーが新設計となり、ドラッグの低減と空力バランスの最適化が図られた


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