いよいよスタートした2021年のスーパーGTシリーズ。開幕戦となった岡山国際サーキットでは、GT500もさることながら、GT300クラスでも最後まで勝負の行方が分からないレースが展開され、今季の激戦を予感させました。
そんな今季のGT300クラスにおいて、新型マシンを投入したことで注目されるのがSUBARU BRZ R&D SPORT。戦闘力の増したクルマで、今年も上位争いに絡んでくることが予想されます。そのSUBARU BRZのステアリングを握る井口卓人選手と山内英輝選手が、オートスポーツwebにコラムを寄せてくれることになりました! ドライバーのふたりは毎レース後、交互に登場します。
初回となる今回は岡山が“ホームレース”だった山内選手。予想外の苦闘となった開幕戦の裏側を教えてくれました。
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みなさんこんにちは、GT300クラスでSUBARU BRZ R&D SPORTをドライブしている山内英輝です。今年、卓ちゃん(井口卓人)と交互に、このコラムを担当することになりました。
さっそくですが、僕たちにとって厳しい結果となってしまった開幕戦・岡山の裏側を、みなさんにお伝えしたいと思います。
ちなみに僕は兵庫県西脇市の出身なのですが、岡山国際サーキットは比較的近いということもあって家族全員が来てくれますし、昔からの知り合いも応援に駆けつけてくれる「ホームレース」です。
今季、僕たちのドライブするBRZは、新型に生まれ変わりました。“正常進化”を謳っていることもあり、正直「ここが劇的に変わった!」という部分はあまりないんです。
もちろん、空力パーツが変わっていることでの進化などは感じられるのですが、去年よりもフレーム自体の剛性を上げていることの影響なのか、よりタイヤへの攻撃性が強いイメージもあって、グリップが上がっている感覚はあるものの、路面の状態が悪いときにそれがあまりいい方向に行かないこともある感じで……。また、BoP(性能調整)により昨年よりも重い状態になっていることも、さまざまな面で影響してきているように思います。
今回、公式練習の走り出しではクルマのフィーリングもすごく良く、硬いスペック(ハード)と軟らかいスペック(ソフト)、どちらのタイヤを履いてもタイムもほとんど変わらず、「これはすごくいい方向に行っているぞ」と感じていました。おかげで公式練習ではトップタイム。幸先のいいスタートでしたね。
ただ、ソフト側のタイヤではロングランができていない状況だったんです。ダンロップさん的には、決勝で気温が上がって路面にラバーがのればもつんじゃないか、という話もあったのですが、実際にロングができていないというのがどうも不安で……。公式練習でもソフトとハードでコンマ2秒くらいしか変わらない状況だったこともあり、最終的にはハード側を選んだ方がいいんじゃないか、という結論になったんです。
でもマーキングの関係で、予選に向けてはハードの新品は1セットしか残っていなくて、Q1をハード、Q2をソフトで行くことにしました。Q1のタイヤが(スタートタイヤの抽選で)選ばれたらラッキーだな、という感じでした。
卓ちゃんがQ1に行ってくれたのですが、朝はハードでも1分26秒台前半が出ていましたし、Q1落ちにはチーム全員が「まさか」という感じで……。アタックを終えた本人は、とにかくずっと謝っていました。「あまりピークが感じられなかった」と。卓ちゃんとしても、いろいろ難しい状況だったと思います。
僕自身は、「決まったことをどうこう言ってもしょうがない」と考えるタイプなので、この状況からどう抜け出そうか、ということしか考えていませんでした。