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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.05.07 07:02

レースに勝つも勝負どころで苦しんだホンダ陣営。エンジン燃費効率は大きな武器に【第2戦富士GT500決勝】

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スーパーGT | レースに勝つも勝負どころで苦しんだホンダ陣営。エンジン燃費効率は大きな武器に【第2戦富士GT500決勝】

「クルマとエンジンがメーカーごとにどうだったかより、どちらかと言うとタイヤ……。それでスティントごとに『このメーカーのこのタイヤが速かった』とか、次のスティントは『これが速かった』みたいななかで、たまたま(レース距離も)110周で最後に4台になったのかな、って。見方を変えると、トヨタさんが第1スティントのタイヤを当てていたら、我々はもう全然叶わないなぁ、って」

 17号車Astemo NSX-GTが2021年初勝利を挙げ、第2戦という早い段階、そして富士スピードウェイという“敵地”を制した週末を、そんな謙虚な言葉で振り返ったのは、ホンダのGT500開発を率いる佐伯昌浩ラージ・プロジェクトリーダーだ。

 2年ぶりゴールデンウイーク開催の500km戦、2度のピット作業義務付け条件での勝負となった第2戦は、現行規定2年目を迎える2021年型では初の挑戦。昨季からFRとした新生NSX-GTとしてはもちろん、未知の耐久戦となる。

 昨季は都合4度の開催となった富士では4戦中3戦でフロントロウを獲得し、2度のポールポジションを射止めてはいたが、クルマの素性把握と持ち込みタイヤ選択の相関で「毎回手探り」の戦いを強いられてきた。

 そこから1年間の解析データを踏まえ、車両特性を整理した2021年仕様NSX-GTの開発では、車体側で「最高速で負けている部分に対して、最終コーナーからの脱出速度や誰よりもブレーキングポイントで奥までいけるような車体バランスの追求(ホンダ徃西友宏氏)」で対抗し、エンジン側では「出力向上と同じ程度の力の入れ具合で、パワーユニット全体の徹底した軽量化(佐伯LPL)」に取り組み、チリツモの努力を重ねて運動性能向上に寄与する方針を打ち出して来た。

 しかし、シーズン出だしの開幕岡山は上位4台をトヨタ陣営が占拠。最大40kgのサクセスウエイト(旧称:ウエイトハンデ)を搭載したライバルに対し、反撃を期した富士の予選日だったが、8号車ARTA NSX-GTがポールタイムまで0.003秒に迫る2番グリッドを確保したものの、1号車STANLEY NSX-GTは1コーナーでハーフスピン状態に陥り、17号車Astemo NSX-GTはトラフィックで満足にアタックできず。

 さらにダンロップタイヤを装着する2台も、16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTは午前のギヤボックストラブルが祟り、64号車Modulo NSX-GTを含め「ダンロップさんに対して予選でのパフォーマンスというのが上手く車両側で引き出し切れないという部分もあって、ほんとわずかな差ですが敗退して(佐伯LPL)」しまう。

「開幕戦でもそうでしたけど、なかなかオーバーテイクするのが難しい車両。我々が選んでいるタイヤっていうのは安定したラップタイムが刻めるように。そうなっていれば、充分順位を上げていくレースができるんじゃないかな、という風に考えてます」と、決勝前に語っていた佐伯LPL。

「同じレベルであれば、なかなか抜けないというのが開幕戦でも同じことが起きてますので、なんとか我々が選んだタイヤを上手く使い切るっていうところ、そこがカギになると思います」

 その言葉を受けるかのように、フロントロウ2番手の8号車ARTA NSX-GT福住仁嶺はスタートで首位を奪うと、セーフティカーの余波で2番手に戻りながら粘りのレースを展開し、GR Supraとの間合いを詰めていくペースを披露。同じく後方では、リスタート時点で最後尾発進の1号車STANLEY NSX-GTがトップ10圏内に浮上。17号車Astemo NSX-GTも最初のピットストップウインドウ時点で今季初導入となったFCY(フルコースイエロー)の好機を捉え、第2スティントでトップへと浮上する。

スタートでポールスタートのWedsSport ADVAN GR Supraをオーバーテイクし、トップに浮上したARTA NSX-GTの福住仁嶺
スタートでポールスタートのWedsSport ADVAN GR Supraをオーバーテイクし、トップに浮上したARTA NSX-GTの福住仁嶺

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