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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.05.07 16:13

戦力拡大のダンロップ「レベルが上がった」新構造タイヤと、FCY直後に抱えた不安【第2戦富士GT300分析】

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スーパーGT | 戦力拡大のダンロップ「レベルが上がった」新構造タイヤと、FCY直後に抱えた不安【第2戦富士GT300分析】

 スーパーGT第2戦富士、GT300クラスで長丁場の戦いを制したのはSYNTIUM LMcorsa GR Supra GT、0.7秒差の2位にはSUBARU BRZ R&D SPORTが続き、ダンロップタイヤがワン・ツー・フィニッシュを飾った。

 このほか、最終ラップに入るまではGAINER TANAX with IMPUL GT-Rも4番手を走行しており(リザルトは5位。理由は後述)、ダンロップ勢は3台がポイントを獲得。また、優勝したSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTは、2レース連続で河野駿佑が決勝ファステストラップも記録するなど、今季導入したGRスープラ+ダンロップタイヤというパッケージを、早くも手懐けているように見える。

■アンダーステア対策が奏功しロングラン性能が向上

 昨年はBRZ、GT-R、RC Fという3台にタイヤを供給していたダンロップは、今季GRスープラ、GT-Rがそれぞれ1台増え、計5台となった。これはGT300クラスにおけるブリヂストンの供給台数と同じ。そして第2戦予選では、これら10台のうち9台がトップ10入りを果たすなど、富士戦は決勝前から「ダンロップvsブリヂストン」の様相を呈していた。

 ダンロップでGT300のタイヤ開発を担う藤田将之エンジニア(FIA GT3車両=GT-R、RC F担当)は決勝前の取材に対し、今季は新構造のタイヤを投入していると語った。

「昨年は進めていたアンダーステア対策がうまくいきました。ただ、それでもアンダーがまだ残っている状態だったので、今季に向けてはそのさらなる改善がテーマとなりました。結果、アンダーはほぼ消えるとこまで行っています。それがタイムアップにつながっているというのが一点です」

「もうひとつ、これも昨年からの課題ですが、耐久面でタイヤが壊れないようにする方向にも取り組んでいて、それがどんどん良くなってきていることで、セットアップの自由度が増えていると思います」

 GT300車両(昨年までのJAF-GT車両。BRZ、GRスープラ)を担当する久次米智之エンジニアも「基本の流れはGT3と同じで、新構造を投入しています。BRZとGRスープラはほぼ同じようなスペックですが、ドライバーさんの好みなどによって、若干モディファイしているところもあります」と説明する。

 開幕戦の岡山ではGAINER TANAX GT-Rがポールポジション(PP)を獲得したが、「冬場に関してはどうしてもアブレーションの懸念があるので、岡山には通常より少し硬めのタイヤを持ち込みました。安全のためにグリップよりは耐摩耗に寄ったもの(コンパウンド)でしたが、構造面でグッとレベルが上がったこともあり、PPを獲得することができました」と藤田氏。

 岡山の決勝では硬めのゴムと新構造、その相乗効果により安定したラップタイムを刻むことができ、開発成果を感じられたという。アンダーステアが減り、スライドが抑えられていることがロングランに対して良い効果を生んでいるようだ。新規供給となったGRスープラについても、「想定よりも全然タレなかった」と久次米氏は語る。

 11号車GAINER TANAX GT-Rをドライブする安田裕信は、「去年だったらタレていたような状況でも、今年は耐えられるようになったかな。たぶん構造のおかげでグリップしてくれているから、(スライドが抑えられ)温度の上がり方が緩やかになっていると思う」と言う。

 安田は「ウォームアップ(性能)は去年よりちょっと落ちてるかも」と決勝前に語っていたが、第2戦では決勝1周目にSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTの河野がARTA NSX GT3の佐藤蓮を攻略したように、他メーカーとの相対的なウォームアップ性能はそこまで落とさずに、ロングランの部分を向上できているようだ。

■『右フロント&左リヤ』の変則2輪交換も想定

 なお、ワン・ツーを達成したGRスープラ、BRZともに決勝では4輪交換×2回というタイヤ戦略を採ったが、2輪交換もプランに無かったわけではないという。SYNTIUM LMcorsa GR Supra GTの場合、1回目のピットでは安全策として4輪を交換し、その後状況次第では2回目に2輪交換の可能性を探る計画だったと、小藤純一エンジニアは明かす。

「当初は左2輪交換かなと思っていたのですが、第1スティントを終えたら意外と右側も減っていた。なので、やるとしたら『右フロントと左リヤ』の2輪交換でした」

 結局、2度目のピットでもセーフティに4輪交換を決断した。このあたりの想定と実際の“ズレ”に関しては、今後はレースを重ねるごとに予測精度が上がっていくはずだ。

2021スーパーGT第2戦富士 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)
2021スーパーGT第2戦富士 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)

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