「予選でミスしてしまったことを自分で取り返し、トップで帰って来ることができたので、今までスーパーGTを戦ってきたなかでいちばん満足するスティントでした。優勝できて本当に最高です」という三宅、「優勝はメチャクチャ嬉しいですが、最後までヒヤヒヤするレースを作ってしまいました。でも結果は大満足です」という堤と、若きふたりがその才能を余すこと無く披露し、ついにたかのこの湯 GR Supra GTがスーパーGT初優勝を飾った。
鈴鹿サーキットレーシングスクール出身で、一度スカラシップを外れながらも、その速さでシートをつかんだ三宅、そして一度フォーミュラをあきらめながらも、ワンメイクレースからチャンスを掴み続けた堤。田中哲也監督、そしてつちやエンジニアリングの土屋武士代表が見出したふたりのGT300初優勝は、実に爽やかな光景を鈴鹿にみせてくれた。
この優勝は、2020年からスーパーGTに参戦を開始したMax Racingにとっても初優勝だ。2020年は第6戦鈴鹿で激しくクラッシュ。シャシー交換という憂き目にもあった。そんな鈴鹿での優勝は、チームにとっても嬉しいところだろう。
「GRスープラはポテンシャルがありますし、実際に他のGRスープラも勝っていましたから、タイヤとのマッチングなどがうまくいけば、勝てるとは思っていました。気温などいろんな要素があるなかで、雨が降らなかったことも含め、勝てるときに勝つことができました。レースについては、そういうポテンシャルが十分ありましたね」と田中哲也監督は振り返った。
田中監督とMax Racingとの関係は深い。チームオーナーのGo Maxと知り合ったのは2007年。オーナーがワンメイクレースに出場し、そのコーチングを務めたことから関係がスタートした。アジアン・ル・マンやスーパー耐久など、Max Racingの挑戦にずっと携わってきた。
「感慨はもちろんあります。勝ったレースにオーナーが来られていないというのはありますが(苦笑)。でも感慨というより、これだけの道具をずっと揃えてもらっていたので、ホッとした方が大きいかもしれません」と田中監督。
「資金面も含めれば、スーパーGTの大会冠スポンサーも務めていますし、どちらかといえば余裕があるチームだと思います。でも、今まで僕らだけ勝てなかった。他のGRスープラも勝っていたので、どちらかというと『良かった』という気持ちの方が大きいですね」
2020年からのスーパーGT挑戦では、これまで速さをみせるときは多かった。予選でも上位に進出したりと見せ場はあったが、それでも初年度は無得点。「結果に結びつけられず、クルマも替えてもらったにも関わらず、やっぱり結果が出ていなかった。とりあえずオーナーに対して良い報告ができますし、やっとスタート地点に立てました」