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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.09.03 07:00
更新日: 2021.09.02 19:20

「勝ったからいいと思ったらダメ」最多勝男、松田次生が進化し続ける理由と“23勝目”に込めた想い

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スーパーGT | 「勝ったからいいと思ったらダメ」最多勝男、松田次生が進化し続ける理由と“23勝目”に込めた想い

 年を跨いでの鈴鹿3連勝。2014年オートポリス以来の表彰台独占。そして歴代最多勝であるスーパーGT23勝目を、23号車で飾った松田次生。2021年のスーパーGT第3戦鈴鹿は、ニッサンGT-R陣営にとってこれ以上は望めないほど喜びに満ちた結末となった。

 久々に獲得した勝利、あるいは表彰台に、ドライバーもチームスタッフも皆笑顔だったが、同時に安堵の雰囲気も漂っていた。絶対に勝たなくてはならない鈴鹿、勝って当然と思われた鈴鹿で、結果を残すことができたからだ。

 昨年は2戦開催された鈴鹿戦を、MOTUL AUTECH GT-Rはいずれも制した。そのことからも分かるように、GT-Rと鈴鹿の相性は基本的には良い。ダウンフォース重視でデザインされた空力パッケージが、もっとも効力を発揮するのが鈴鹿のコースレイアウト。

 そのぶんどうしても増えやすいドラッグが富士のロングストレートでは足かせになるが、一方でもっともロードラッグだと考えられているGRスープラが、総じて鈴鹿をあまり得意としないことを考えれば、その空力コンセプトが正しくないとは言えない。直線スピードの伸びについては、エンジンパフォーマンスの差もあると、多くのニッサン系ドライバーが言う。

 空力的なマッチングがよく、加えて今年からサクセスウエイトと呼ばれるようになった、バラストのハンデが全体的に少なかったGT-Rは、鈴鹿で有利な条件がそろっていたと言える。予選では、一撃に優れ重量も軽いダンロップタイヤを履く2台のNSX-GTに先行を許したが、ポールポジションスタートのModulo NSX-GTは序盤マシントラブルによるクラッシュで姿を消し、Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTもタイヤのデグラデーションにより、予選での速さを決勝に活かすことができなかった。結果的に首位争いは主にGT-R勢のなかで繰り広げられることになったが、まずはその展開を改めて検証していきたい。

■戦略的には失敗だった

 レースはポールポジションスタートのModulo NSX-GTが5周目にクラッシュした結果、セーフティカーが10周目まで入り、隊列がリセットされた。そこにチャンスを見いだしたのは、その時点で4番手につけていたCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rだった。鈴鹿でのアンダーカットの有効性を確信していた彼らは、ドライバーミニマムに近い20周でピットイン。素早いピット作業で、千代勝正から代わった平手晃平がアウトラップから攻めた。

「もともとアンダーカットを狙っていましたが、ちょうどGT300の集団に追いつくタイミングでピットに入り、遭遇しないタイミングで出ることができました。タイヤの温まりも良かったので、アウトラップからプッシュすることができたし、結果的に実質トップで後半スティントをスタートすることができました」と平手。

 一方、トップに立つもCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rより4周遅くピットに入ったMOTUL AUTECH GT-Rは、トラフィックに飲み込まれた。

「僕はスーパーフォーミュラで監督もやっているので、何であのタイミングで入らなかったのかなと思いましたが、結果的に入る前も入った後もGT300に引っかかってしまいました。タイムを見ると、先に入ったクルマは1分51、52秒くらいで走っていましたが、トラフィックに引っかかった僕は53、54秒とかで、これは大きくロスしたな、やばいなと思いましたね」とロニー・クインタレッリからステアリングを受け継いだ次生。MOTUL AUTECH GT-Rがコースに戻ったとき、順位は実質4番手までドロップしていた。作戦ミスは、明らかだった。

 次生の前を走るのは、Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTの笹原右京、カルソニック IMPUL GT-Rの平峰一貴、そしてトップを快走するCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの平手。次生は冷静にオーバーテイクの可能性を探った。

「僕もけっこうタイヤを使っていましたが、早く目の前の笹原選手を抜かないとトップの晃平が逃げてしまう。だから、最後までタイヤが持つかどうか分かりませんでしたが、とにかく晃平を抜くまではタイヤを使いきろうとフルプッシュしました。タイヤがなくなったら、それは後から考えればいいやという気持ちでね(笑)。笹原選手はデグナーふたつめのブレーキングが甘く見えたので、あそこなら多分警戒しないだろうと思い、結構強引に抜きに行きました」

Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTを追うMOTUL AUTECH GT-R
Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTを追うMOTUL AUTECH GT-R

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