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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.09.03 14:44
更新日: 2021.09.03 14:45

14番手から4位入賞でランキングトップ。STANLEY NSX山本&牧野の手応えとSUGO以降の戦い【第3戦鈴鹿】

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スーパーGT | 14番手から4位入賞でランキングトップ。STANLEY NSX山本&牧野の手応えとSUGO以降の戦い【第3戦鈴鹿】

 スーパーGT第3戦鈴鹿で64kgのサクセスウエイトを搭載しながら4位に入り、ポイントランキングトップに立った昨年王者STANLEY NSX-GT。スタート直後のファーストスティントでは予選11番手からスタートを担当した牧野任祐がタイヤのマッチングの問題で順位を下げてしまったが、そこから後半スティントで躍進。一時14番手から4位まで順位を上げた。レース後の牧野、そして山本尚貴がレースを振り返った。

 予選に向けたタイヤ選択。ハード側のフィーリングがよいことは確認していたが、STANLEY NSX-GTはソフト側のタイヤを選択した。その理由は翌日の日曜日の天候が雨の可能性があり、ウエット、そしてウエットからドライに変わるダンプコンディション、さらにドライとさまざまな可能性が考えられた。

 そのなかで、STANLEY NSX-GTはリスクを回避するために、ソフト側のタイヤを選んだのだ。山本が話す。

「決勝のスタートの天候が不順だったので、もしスタートでスリックを履かざるを得ないようなウエットのコンディションだったら、ソフトを選んでおいた方がいい。牧野選手もずっと、ハード側のタイヤの方がフィーリングがいいと言っていたので、予選でハード側を履いていればもうちょっと上に行けたかもしれないですけど、スタートのことも考えないといけないので、Q1でソフト側のタイヤを選びました」

 結果として決勝はドライでスタート。さらに、前日の予選よりも路面温度は10度以上も高く40度を超えた状況だった。ソフトタイヤを装着してスタートを担当した牧野としては、走り始めてすぐにきびしい状況になった。

「とにかくピックアップとタイヤのムービングの両方があった。本当にペースを上げるのが厳しくて、普通に走っても抜けないし、後ろを押さえるのもストレートスピードが燃リスが入っているクルマ同士でもスープラに比べてもキツかったので、だいたい5km/hは違っていたのでキツかったです」

 11番手から序々に順位を下げてしまい、14番手まで落ちてしまった。牧野がそこで無理に順位を上げようとするのではなく、後半の山本に繋げることを優先した。

「ちょっと割り切ってというか、コースティング(直線でアクセルを緩める)をして燃費を稼いだり、後半スティントに向けてのインフォメーションだったり、僕が伝えるべき仕事はできたと思います。結果的に後半、前の方に行けたのでチームとしては本当によかったです」

 52周のレース周回数のミニマム周回数にあたる18周を終えた19周目、STANLEYの牧野はピットインして山本に代わった。山本は牧野のアドバイスをもとにハードタイヤを選択した。

「牧野選手には申し訳ないですけど、ソフト側でレースに行ってもうらことになった。ただ、最近はファーストスティントが短いので、仮に選択が失敗しても短い周回でタイヤを替えられる。牧野選手らしさを出させるようなレースにしてあげられなかったので彼には申し訳ないなと思うのですけど、彼のフィードバックがしっかりしていたおかげで後半の手助けになった。彼は結果以上の仕事をしてくれたと思います」

 引き継いだ山本は、コースのさまざまな場所で抜きつ抜かれつのバトルを繰り返しながら、オーバーテイクを繰り返して序々に順位を上げていく。

「ずっとバトルをしていましたね。みんなが得意な場所が3メーカーでそれぞれ違っていた。ブレーキングが僕は得意でしたし130Rも全開でいけたので、シケインで抜くことは難しくなかったんですけど、シケインで抜いたあとが問題でリスクがありました。やっぱり燃リスが絞られていてストレートが遅いので、1コーナーで抜き返される可能性が高いとなると、ストレート区間が次に控えてないコーナーで抜きたかった。抜く場所がなくていろいろ試しで行ってみて、ちょっとアクセルオンのタイミングをズラしたり、バトルのときはちょっと厳しいブロックもしてしまったのですけど、なんとかトヨタ勢を前に出させなかったことが前に行けた要素かなと思いますね」

 終わってみれば、ライバルの後退もあり4位という望外のリザルト。STANLEY NSX-GTはポイントランキングでトップに踊り出ることになった。

「驚きましたね。僕も4位まで上がってこれるなんて思っていませんでした。ただ、単純なパフォーマンスだけだと4位に上がってこれるようなパフォーマンスは今回正直、なかったと思います。当然ライバル勢、8号車とか、12号車とかタイヤのピックアップだったり、タイヤがコンディションに合っていなくて本来のパッケージングのパフォーマンスを引き出せないで後方に沈んだクルマもいたと思います。自分たちが燃リス絞られていて、ウエイトハンデが重い厳しい中でもタイヤの選択が持っている手持ちのなかでバッチリと合わせられたと思うので、相手がちょっと厳しいなかで自分たちが踏ん張って上がれた結果なのかなと思いますね」

2021年スーパーGT第3戦鈴鹿決勝STANLEY NSX-GT
後半スティントで4番手まで順位を上げてポイントランキングトップに立ったSTANLEY NSX-GT

 昨年は後半最後の2戦で大量得点を獲得しての逆転チャンピオン。しかし今年は、シーズンのまだ4戦を終えたところでランキングトップに立つことになった。

「そうなんですよね。後半に点数をたくさん獲ってチャンピオンを獲っていたので、シーズン真ん中でサクセスウエイトを積んで厳しい状況になっての後半戦突入、というのはあまり経験がない。他で同じような経験をしているクルマとドライバーのレースの仕方とか、そういうのをまた勉強し直して、また次も狙っていきたいなと思います」

「これから4戦ありますけど、次からの2戦、SUGOとAPでどれだけ踏ん張れるかだと思います。今回みたいにチャンスがあるときにどんどん前に行くレースをしていくことが一番だと思います。純粋な速さだけではなくて、チームと一緒に強いレースをしたいですね。(ウエイト係数が半減、そしてゼロになる)シーズン最後の2戦まで、それまでどれだけしぶとく強く戦えるかが僕らには求められる。今回は他の燃リスが入っているクルマの結果を見ると、パフォーマンス以上のものを引き出せたと思います」

 開幕戦、そして序盤戦のGRスープラの圧勝と安定した強さから、今年はトヨタ陣営の年になるかと思われたが、このシーズン中盤に首位の座をSTANLEY NSX-GTに渡すことになってしまった。とはいえ、ホンダNSX陣営もSTANLEYと同じブリヂストンユーザーの17号車Astemo NSX-GT、ウエイトの軽い8号車ARTA NSX-GTがそれぞれ低迷する形になり、メーカーとして強さを見せたとは言い難い内容だった。

 今回の鈴鹿ではニッサンGT-Rが強さを見せたが、自動車メーカーのサーキットとの相性に加え、タイヤメーカーの違い、そして選択したタイヤとコンディションのマッチング、そしてサクセスウエイトとさまざまな要素が今まで以上に複雑に絡み合っていることが今回の鈴鹿で見えた。今シーズンも残り4戦。まだまだ、予想するのも難しい展開が待っているようだ。


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