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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.09.14 17:15
更新日: 2021.09.14 17:21

3基目を投入したMOTUL GT-Rの背景と、明暗分かれた3メーカーのスペック2ニューエンジン【第5戦GT500決勝】

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スーパーGT | 3基目を投入したMOTUL GT-Rの背景と、明暗分かれた3メーカーのスペック2ニューエンジン【第5戦GT500決勝】

 2年ぶり開催を迎えたスーパーGTみちのく決戦。9月11~12日のスーパーGT第5戦は、続く10月開催の第6戦オートポリス(AP)を含め、昨季投入された2020年規定GT500車両にとって初挑戦という秋の“初モノ2連戦”に。その点で参戦3メーカーにとっても、2021年シーズンの行方を占う重要な1戦となった。

 後半戦開幕となるこのレースに向け、各陣営とも年間2基目のエンジン投入が計画されており、第2戦富士スピードウェイで無念のブローを喫していた23号車MOTUL AUTECH GT-Rのみ、トラブル対策で2基目を先行使用してきたニッサン陣営は、このラウンドから「3号車(CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)も12号車(カルソニック IMPUL GT-R)も、そして24号車(リアライズコーポレーション ADVAN GT-R)も2基目です」(ニッサン松村基宏総監督)と、計画どおりのアップデートを果たした。

 そしてディフェンディングチャンピオンがランキング首位浮上(山本尚貴)を遂げて臨んだホンダ陣営は「もともと計画では次のAPからというふうに準備していたんですが、今回から64号車(Modulo NSX-GT)、1号車(STANLEY NSX-GT)、17号車(Astemo NSX-GT)、この3台に2基目の方を入れています」(ホンダGT500開発統括/佐伯昌浩LPL)と、前戦でトラブルに見舞われた64号車に加えて“3基前倒し”での投入となった。

 一方、GRスープラを走らせるトヨタ勢は、実質今季4戦目となった第3戦鈴鹿終了時点で「(1基目は)お役御免のつもりで使ってます」(TRDエンジン開発責任者/佐々木孝博氏)との発言どおり、この第5戦から6台全車がニューエンジンを搭載した。

 しかし、土曜走り始めのGRスープラ勢はロングランのペースこそ悪くない雰囲気だったものの、1発の速さが試される専有走行から予選へと進むと、サクセスウエイト(SW)搭載による燃料流量リストリクターのランクダウン領域に“入らない”比較的軽量な車両でも、38号車ZENT CERUMO GR Supra、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraがともに7番手、8番手の4列目が最上位と苦しい状況に立たされた。

 そして決勝でも、ルーティンピットを終えたレース後半から立て続けに“負の連鎖”が巻き起こり、47周目の最終コーナー上りで19号車WedsSport ADVAN GR Supraがエンジンから炎を上げてイン側にストップ。58周目にはZENT CERUMO GR Supraがガレージへと戻り、63周目にはポイント圏内を走っていた14号車ENEOS X PRIME GR Supraがターン1手前でストップするなど、陣営内アクシデントにより戦列を去った37号車KeePer TOM’Sも含めると、4台ものGRスープラが姿を消す形となってしまった。

2021スーパーGT第5戦SUGO ENEOS X PRIME GR Supra/ZENT CERUMO GR Supra
2021スーパーGT第5戦SUGO ENEOS X PRIME GR Supra/ZENT CERUMO GR Supra

 レース後のパドックではエンジン関連のトラブルシューティングに追われる状況で、TRD開発陣より詳細に関するコメントを得ることは叶わなかったが、19号車を筆頭にエンジン換装の覚悟も必要となりそうな厳しい状況に追い込まれた……と言えそうだ。

 一方、そのペナルティ覚悟で日曜から『年間3基目』を投入する形となったニッサンのエースカー23号車は、前日からQ2進出を逃すなど「3号車とは(タイヤの)コンパウンド違いを試していた部分もありますが、何で調子が悪かったのかを調べないといけない」との松村総監督の言葉どおり、翌日に向けて大きな決断を下した。

「土曜に関してはエンジンをニューにしていないのもあるし、タイヤ温度の問題が非常に敏感に影響する部分もありましたが、何が起きているのかを調べた結果、2戦目の事前時点で調べたときの兆候と似たようなことがあった。本戦中に壊れるとポイントも何もないので、それで念のために換えました」

 その23号車は、代償としてレース序盤にインラップ/アウトラップ+5秒というペナルティを科されクラス最後尾からの巻き返しを強いられたものの、最終盤の81周目にはGT300クラスの車両と挟まれながら、松田次生がエアロパーツ破損をモノともしない突破劇で64号車をオーバーテイク。24号車に次ぐ7位までカムバックを果たした。

「次に向けてデータも採れたし、積み替えたエンジンが安定して動くのも確認できた。交換した割には上出来だったんじゃないかと」安堵の表情を見せた松村総監督。

 その一方で優勝した12号車と対照的に、3号車ではエンジンに「マイナートラブル」を抱えたことで、喜びとともに複雑な心境でシーズン折り返しの1戦を終えている。

「ありがたいことに、去年と比べると今年は4車とも歩留まりよく、みんな良い状態のときは走れるようになっている。12号車のふたりは伸び伸びドライビングして、終盤でもラップタイムはかなり速いタイムが刻めていた」

「一方の3号車は、途中でちょっと変な症状が出て『どうしたの』を調べるために入って来た。12号車が優勝できたのを見ると、サスペンションも空力もSUGOに合っていましたので、3号車も充分に表彰台を狙える位置にいた。そこはちょっと残念です」

2021スーパーGT第5戦SUGO MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
2021スーパーGT第5戦SUGO MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)

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