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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.11.07 19:25
更新日: 2021.11.07 21:34

力強いレースで初優勝を飾ったHitotsuyama Audiの篠原拓朗。チームに最高の“恩返し”で応える

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スーパーGT | 力強いレースで初優勝を飾ったHitotsuyama Audiの篠原拓朗。チームに最高の“恩返し”で応える

「もう最高でしたね」

 祝福の声を左右からかけられながら、ピットへ戻ってきたHitotsuyama Audi R8 LMSの篠原拓朗は、自身のスーパーGT初優勝にまだ信じられないかのような表情を浮かべていた。2018年、Audi Team Hitotsuyamaでは将来のドライバー育成にも目を向けるべく、篠原をCドライバーに起用した。そのときBドライバーだった富田竜一郎から紹介されたときは、まだあどけなさも残るドライバーだった。そんな篠原が、川端伸太朗とともにHitotsuyama Audi R8 LMSを駆り、11月7日に行われたスーパーGT第7戦もてぎを見事制し、スーパーGT初優勝を掴んだ。

 篠原は2018年から富田やリチャード・ライアンから多くのことを学び、さらにチームからはTCRジャパンシリーズ参戦のチャンスを得た。また、スーパー耐久でD’station Racingから参戦すると、チームメイトの織戸学や藤井誠暢からも多くを吸収し成長してきた。また、2020年はエヴァRT初号機 X Works R8やPACIFIC NAC D’station Vantage GT3を駆りスーパーGTにスポット参戦。第8戦では、PACIFIC NAC D’station Vantage GT3で初めてのポイント獲得を果たしたほか、TCRジャパンでもチャンピオンを獲得してみせた。

 そんな成長が、Hitotsuyama Audi R8 LMSの2021年のレギュラードライバー獲得に繋がった。ただ予選ではチーム2年目の川端伸太朗がQ1を担当し、Q2を任される役割だったが、アタック後チームに無線で「すいません」と伝えることが多かった。なかなか歯車が噛み合わず、Hitotsuyama Audi R8 LMSは第6戦まで無得点。苦しいシーズンが続いていたのだ。

 しかし今回は、「今年はフィーリングが良いときもあったのですが、エンジンが不調になったり、悩ましいシーズンでした。でも今回は路面温度とコース、タイヤがすごくマッチしていましたし、セットアップもかなりワガママをさせてもらいました」という川端が施したセットも奏功し、予選で5番手を獲得する。

 レースでは川端がスタートドライバーを務めると序盤から5番手につけ、UPGARAGE NSX GT3のストップで4番手に浮上。27周を終えピットに戻るとタイヤ2本交換が奏功し、ピットインを終えた組のなかでは2番手につける。前には、序盤トップを快走していたARTA NSX GT3がいた。

「前に追いつくことができ、伸太朗くんが無線で『5コーナーしかないよ』と教えてくれましたが、たまたま3コーナーでプッシュしたら4コーナーでワイドになり、5コーナーでオーバーテイクすることができました」とトップに浮上する。

2021スーパーGT第7戦もてぎ Hitotsuyama Audi R8 LMS(川端伸太朗/篠原拓朗)
2021スーパーGT第7戦もてぎ Hitotsuyama Audi R8 LMS(川端伸太朗/篠原拓朗)

■「これからもチームに恩返ししたい」と篠原

 ただ、その後も「本当にトップなのかな?」とドライブしながらも篠原は実感がなかったのだという。しかし、「前に現れたクルマを抜いて、とにかく離すしかない」とドライブに集中。終盤ARTA NSX GT3がペースを上げるも、「ミスなくまとめきるしかない」と緊張しながらも、チェッカーまでポジションを守り切った。

 2020年に初優勝を飾ったときは「後半スティントだったので集中して走るだけだったのですが、今回は前半で、後半に拓朗が走っているときは生きた心地がしませんでした(笑)。でも、すごく強いレースをしてくれました」とピットで見守っていた川端は、フィニッシュしパルクフェルメに戻った篠原と熱い抱擁を交わした。

「チェッカーを受けたときは、もう本当に最高でしたし、まさかという気持ちでした。表彰台も遠かったくらいですから」と篠原は初優勝の感想を、まだ信じられないかのような表情で語った。

「僕は今年フル参戦が1年目で、川端選手にもチームにも、予選で不甲斐なかったり、申し訳ないレースが続いていましたが、川端選手がセットアップしてくれたクルマも本当に良くて、初めて自信をもった予選もできて。『表彰台目指せるじゃん』と言って下さる方もいましたが、内心は『大丈夫かな』と不安でした。でも走り出したらクルマもタイヤも本当に良くて、感謝しかないですね」

 2018年から加わったAudi Team Hitotsuyamaにとっても、最高の“恩返し”になったと言えるだろう。「2020年もTCRジャパンでチャンピオンが獲れて、今年はスーパーGTでも優勝を飾ることができました。これで僕を『育てて良かったな』と思っていただければ嬉しいですし、ここから先もドライバーとして頑張りたいです。とんでもなくお世話になっているので、これからもチームに恩返ししたいです」と篠原は言う。

 また、川端も「相方の成長に負けないように頑張りたいですし、来年こそふたりでシリーズチャンピオン争いをしたいと思っているんです。来年に向けても、最終戦でしっかり強く戦いたいと思います」と篠原の成長をともに喜んだ。

 レース後、ふたりは何度も喜び合い、周囲からの祝福に爽やかに応える姿が印象的だった。新たなスーパーGTウイナーの誕生を素直に祝福したい、そんなHitotsuyama Audi R8 LMSの会心のレースだった。

2021スーパーGT第7戦もてぎ GT300クラスを制した川端伸太朗/篠原拓朗(Hitotsuyama Audi R8 LMS)
2021スーパーGT第7戦もてぎ GT300クラスを制した川端伸太朗/篠原拓朗(Hitotsuyama Audi R8 LMS)
TCRジャパンシリーズのサタデーシリーズ、サンデーシリーズのチャンピオンを獲得した篠原拓朗
2020年のTCRジャパンシリーズのサタデーシリーズ、サンデーシリーズのチャンピオンを獲得した篠原拓朗


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