2021年シーズンはAstemo NSX-GTでスーパーGTを戦ったベルトラン・バケット。12月1日に自身のSNSでホンダ離脱を発表したが、今後もスーパーGTへの参戦継続は強く希望しているようだ。
塚越広大とともに、トップから8ポイント差で最終戦に臨んだバケット。予選では10番手に沈んでしまい、決勝ではリスク覚悟で攻めていくと語ったが、それがレース序盤で裏目に出る形となり、3周目の最終コーナーでのバトルで、複数台が絡むアクシデントに巻き込まれた。
なんとか再スタートを切ったバケットだったが、マシンの損傷が大きく、そのままリタイアとなった。（※バゲットには「他者への接触行為」でドライブスルーペナルティが科されている）
「後方からのスタートは、どうしてもリスキーな状況になる。タイヤのウォームアップで苦労してしまい、1周目にひとつからふたつポジションを落としてしまった。トヨタ勢のエンジンパワーはすごいから、どうしてもコーナーの入り口でリスクを背負って飛び込んでいかなければならない」
「まずは12号車（カルソニック IMPUL GT-R）を攻略するために、最終コーナーでインから抜こうとしたけど、その先に19号車（WedsSport ADVAN GR Supra）がいると分かっていなかった。彼らも接近戦をしていて、インに入ってきて……もっともイン側にいた僕はスペースがなくて、どうしようもなかった」
「クルマのダメージがひどくて、そのままレースを終えることになったけど、今回は僕たちがチャンピオン争いに加われるほどの速さがなかった。トヨタ勢は速くて、そこに太刀打ちできなかった」
「こういった形でシーズンを終えることになるのはとても残念だ。僕自身、クラッシュをするのは4年ぶりくらいのこと。19号車が見えていなかったというのが僕にとっては大きなミスだ。ただ、起きてしまったことは仕方がない。また挑戦するよ」
今シーズンもコロナ禍で渡航制限がかかるなかでの開催となったスーパーGT。バケットは母国ベルギーに家族を残し、日本に滞在してレースに臨んでいた。それでも、家族と離れ離れで1シーズンを過ごすのは非常に大変なこと。レース開催の間隔が空くタイミングを見計らい、何度か一時帰国もしていた。
「今年もすごくタフな1年だった。妻と息子はベルギーにいて、僕は日本にいる状態が続いた。1年を通してほとんど会うことができなかったけど、レースに参戦するうえでは仕方がないことだ。できれば、来シーズンはコロナ禍が少しでも収束方向に向かい、制限が緩和されることを願っている」
「でも、今年協力してくれたすべての人に感謝している。こうしてスーパーGT全戦を戦うことができ、最終戦もチャンピオンをかけてレースができた。残念ながら、それを達成することはできなかったけど、素晴らしい1年を過ごすことができた」
気になるのはバケットの今後だ。ホンダからの離脱は明らかとなったが、スーパーGTを離れることは全く考えていないようだ。
「結局、僕のなかに『スーパーGTでチャンピオンになる』という目標が残った。それは将来是非とも達成したいと思っている。今よりもっと強くなって、このレースに挑戦しようと思っている」
早くも今季のリベンジに燃えている様子だったバケット。そうなると、他メーカーへの移籍というのが有力な見方となるのだが、現時点ではトヨタなのか、ニッサンなのか、詳細な情報は入ってきていない。
