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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.02.01 07:00
更新日: 2022.02.01 07:19

ホンダのモータースポーツDNAに変化なし。“新生HRC”から感じられるレース活動への期待感

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スーパーGT | ホンダのモータースポーツDNAに変化なし。“新生HRC”から感じられるレース活動への期待感

 年が明けた1月12日のこと。Twitterを眺めていたら元ニッサンGTチーム総監督、現ニスモ・アンバサダーの柿元邦彦さんが、当日の日本経済新聞の紙面について「ホンダがモータースポーツ系を1社に統合! 手強そうだが、負けないぞ」とつぶやいていた。

 すでにホンダは昨年10月の段階で四輪、二輪のモータースポーツ活動を完全子会社の「ホンダ・レーシング(HRC)」に統合することを発表していたが、日本経済新聞はなぜかこのタイミングでそれについて記事を掲載しており、柿元氏はその記事を受けてツイートしたものだった。

 2日後の14日にホンダは2022年度のモータースポーツ活動について記者発表会を開く予定になっていた。そこでは四輪モータースポーツ活動がHRCに統合されることを含めて、あらためて何らかの説明があるものと期待していたので、ニスモ・アンバサダーである柿元氏の「手強そうだが、負けないぞ」というツイートは、妙に心に響いた。

“ニッサンのニスモ”が、“ホンダのHRC”を意識しはじめたことが分かって、あらめて“新生HRC”の位置づけが、より鮮明に見えてきたような気がしたからだ。

■ホンダモータースポーツの“顔”

 ホンダは昨年10月に、四輪モータースポーツ活動をこれまで二輪レース活動を行ってきた子会社のHRCに統合すると発表している。

 これを聞いたときには、昨年の『auto sport』本誌(No1562 12~15ページ)のレポートでも言及したけれど、モータースポーツ活動を本社とは別の会社に分離すれば『持続性が高まる』というポジティブな見方と、『モータースポーツ活動を切り捨てやすくなる』というネガティブな見方の両方ができると感じた。

 1970年代に入って石油危機があり排ガス規制が強まった際、日本の自動車メーカーは社会的要求に応えるため、ある意味時代に逆行している(と当時は思われていた)モータースポーツにおける活動からあっさりと手を引いた。その結果、国内モータースポーツは大きな構造転換を迫られることになった。

 いま、世界が直面している脱炭素社会への課題の重さは、そのころの比ではない。企業の存亡を賭けて大きな問題に取り組まなければならない時代、良識ある自動車メーカーが不採算性の高いモータースポーツ活動を切り捨てても不思議はない。ホンダが四輪モータースポーツ活動を子会社のHRCへ統合すると聞いたとき、僕が不安に感じた理由がここにある。

 だがHRCへの統合を発表した際、渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長は「もともとHRCが設立された際の定款(ていかん:会社を運営していくうえで必要とされる基本的な規則のこと)には二輪だけではなく四輪のレース活動も行うと書かれており、単に四輪の統合が遅れただけで、未来に向けて専門会社にモータースポーツ活動のノウハウを蓄積するとともに二輪/四輪の両方の活動を通してホンダのレースブランドを打ち出していくための前向きな決断である」と説明してくれた。

 非常に説得力ある言葉に、そのときの僕はとりあえず安心したが、その直後に2021年シーズンは終わってしまい、新しい動きは見えないままのシーズンオフだったので、どこか気持ちがすっきりしない状態で今回のモータースポーツ活動記者発表会を迎えたのだった。

2022年ホンダモータースポーツ活動計画発表会に登壇した渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長
2022年ホンダモータースポーツ活動計画発表会に登壇した渡辺康治ブランド・コミュニケーション本部長
会場内に展示された新HRCロゴのホンダNSX GT3
会場内に展示された新HRCロゴのホンダNSX GT3

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