レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.05.09 11:06

【GT500車両技術詳細・ホンダ編】タイプSへのベースモデル変更で各部の最適化を狙う

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | 【GT500車両技術詳細・ホンダ編】タイプSへのベースモデル変更で各部の最適化を狙う

 GT-RからZへ、NSXはタイプSへ。新規車種の参戦にともない、空力開発の一部が解禁された。エンジン開発においても、「燃費の良いエンジンがパワー競争も制する」先進的環境のもと、日夜の進化が続く。2022年シーズン、トヨタ、ホンダ、ニッサンの勢力図は大きく動くことが予想される。

 ここでは、メーカーの開発担当者への取材から、今季の主役たる2022年型GT500車両の開発要点に迫ってみたい(取材は開幕前に実施)。前回のトヨタ編に続き、今回はホンダ編をお届けする。

* * * * *

■“タイプS化”が果たした軽量化と冷却性能の向上

 昨年のシリーズ最終戦で、NSX-GTは目前にあった2年連続シリーズチャンピオンを獲り逃し、トヨタGRスープラの逆転を許した。開発陣は今シーズンに向け「より強いNSX」を目指して、ベース車両を昨年限定販売された最終モデル『タイプS』に切り替え、ボディを全面的に作り替えた。

 このNSXタイプSは、型式こそNC1型2代目NSXのままだが、前後バンパーなどのデザインをあらためた結果、市販状態の全長が4490㎜から4535㎜へと45㎜延びている。

 開発陣としては、これを機に空力特性をさらに磨き上げた。その結果、全体のイメージは従来型を踏襲し、空力デザインも基本的なコンセプトを引き継いではいるが、延長されたフロントバンパー周囲のデザインは大きく変わった。2022年型NSX-GTの空力をデザインするにあたって、そのテーマをHRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)の徃西友宏氏はこう説明する。

「2020年、2021年と2年間開発凍結の期間があったので、従来型のクルマの特性について細かいところまで把握することができました。やはり特性が尖っていて、狙いどおり空力性能を発揮できるセットアップの幅が狭い傾向が見えました。これでは年間8戦、いろいろな季節の中でさまざまなサーキットを走るには『扱いづらい』という声がチームからありました。とはいえ、ただ単に乗りやすくして、そのぶん基本的なクルマの速さが落ちてしまうと意味がないので、乗りやすいけれども速いという特性を追求しました」

 新しいタイプSのボディについてはどのように受け止めたのだろうか。

「タイプSの新しいフロントフェイスは、特に冷却系に影響をおよぼします。空気を入れて流して出す効率を追求して昨年までのクルマよりかなりレベルを上げられたので、ラジエター、インタークーラー、ブレーキなど冷却系への空気の配分も適正化でき、搭載している冷却器もいままでより小型化することができました。たとえばこれまでホンダのラジエターは他車に比較して『大きくないか?』と言われたりしていましたが、今回のモデルチェンジに合わせて、もっと小型のラジエターで同等の冷却性能を実現しました。この結果、重量の面や他のダクトのレイアウトが楽になるなどのメリットが得られました」

■重要性が増す予測解析技術

 NSX-GTはダウンフォースが多い一方、ドラッグ過多の傾向と言われる。今季は、NSX-GTのホームグラウンドである鈴鹿サーキットでのレースが2戦に増えるが、鈴鹿はダウンフォース要求型のサーキットである。これについてはどのように受け止めているのだろうか。

「昨年の鈴鹿はGT-Rとミシュランタイヤの組み合わせが強さを発揮していたので、それをさらに超える必要があります。今年のクルマはダウンフォースを増やしていますので、あとはタイヤをどう保たすかが課題になります。ベース車両を変えたと言っても前面投影面積は変わらないので、ドラッグを減らすという方向にはなかなかいきませんし、ドラッグを減らすためにウイングを寝かせれば、タイヤへのダメージが増えます。結局レースペースが安定しなければ結果につながらないので、これまでどおりNSX-GTはダウンフォースをしっかり出して、タイヤを長く保たせられるように合わせ込んで、さらに一歩前進したクルマになっています。今年はシーズン中盤に鈴鹿戦が2回ありますので、しっかりここで成績を残すつもりです」

 近年、レーシングカーの開発やセッティングの分野でシミュレーション技術の重要性が増している。徃西氏はスーパーGTを戦うホンダ陣営も、そうした予測技術を駆使して環境を充実させ、今シーズンに臨むと言う。

「開発凍結期間だった2020年、2021年の間に大きく進歩したのがシミュレーション技術でした。GTのように開発部分の少ないレースだと、新規開発の先でどのように使いこなすかという領域で戦闘力が決まります。事前テストも少ないまま、いろいろなサーキットでいきなりレースをしますから、そこを手探りでやっているようでは戦えません。そのため事前にシミュレーションを駆使した準備が勝負を分けるようになっています。このオフ、クルマが2022年モデルになって空力特性が大きく変化しましたが、新しい空力特性をシミュレーション・モデルのなかでしっかり再現するために必要な、精度の高いデータを準備してシーズン開幕に備えました」

2022年シーズンに向けたホンダ陣営の開発全容は、5月2日発売のauto sport臨時増刊『2022スーパーGT公式ガイドブック』内にて詳しく語られている
2022年シーズンに向けたホンダ陣営の開発全容は、5月2日発売のauto sport臨時増刊『2022スーパーGT公式ガイドブック』内にて詳しく語られている

* * * * *

 この他、「エンジン開発のテーマ」など、2022年シーズンに向けたホンダ陣営の開発全容は、5月2日発売のauto sport臨時増刊『2022スーパーGT公式ガイドブック』内にて詳しく語られている。

■『2022スーパーGT公式ガイドブック』の詳細はこちらから
URL:https://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=12322

■すぐ読める! 電子版はこちら/ASB電子雑誌書店(バックナンバーもご購入いただけます)
URL:https://www.as-books.jp/books/info.php?no=SGT20220502

『2022スーパーGT公式ガイドブック』の詳細はこちら(画像クリックで商品紹介&購入ページへ移動します
『2022スーパーGT公式ガイドブック』の詳細はこちら(画像クリックで商品紹介&購入ページへ移動します


関連のニュース

本日のレースクイーン

Mobil1レーシングサポーターズ2024
小湊美月(こみなとみづき)

スーパーGT Photo Ranking

フォトランキング