レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.08.28 12:26
更新日: 2022.09.01 11:10

GT500の今後の車両規定の方向は「まずは安全性を」。空力開発の自由度向上は否定

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


スーパーGT | GT500の今後の車両規定の方向は「まずは安全性を」。空力開発の自由度向上は否定

 8月28日、スーパーGT第5戦が開催されている三重県の鈴鹿サーキットで、GTアソシエイションの坂東正明代表が毎戦開催されている定例記者会見に出席した。この代表質問のなかで、今後のGT500クラスの車両規定について問われた坂東代表は、「現在の安全性とモノコックを維持したい」という考え方を示した。

 スーパーGT GT500クラスは、長年DTMドイツ・ツーリングカー選手権との車両規則統一化を目指し、2014年からモノコックを共通化。2020年には両シリーズの統一規定であるクラス1に準拠したGT500が登場したものの、2021年からDTMでは情勢の変化にともない使用車両をGT3に変更。現在はGT500だけが車両規定を使用している。

 DTMと統一した規定を使用しなくなったいま、今後の車両規定については日本独自のアプローチが可能になった状況ではある。また、カーボンニュートラルが叫ばれるなか、全日本スーパーフォーミュラ選手権では、自然由来の素材使用のテストなどの取り組みも行われている。

 今後のGT500車両規定の自由度の向上や、カーボンニュートラルへの取り組みなどについて問われた坂東代表は、「DTMと一緒に作った規定については、安全性とあのモノコックを維持したい」という考え方を示した。例として、今季第2戦富士で起きたCRAFTSPORTS MOTUL Zのクラッシュや、F1イギリスGPで起きた周冠宇のクラッシュを例に挙げた。

「車速と今のダウンフォースは維持しなければらないが、DMSB(ドイツモータースポーツ連盟)やFIAの安全性に対しあのモノコックを作っている。自由度というが、あの安全性を維持したなかでの自由度というものなら良いと思う」と語った。今後については、現在のモノコックと安全を維持しながら「プラスアルファとして考えなければならない」という考え方だ。

 カーボンニュートラルへの取り組みについては「3〜4年前だと思う」と坂東代表は、過去にGT500のリヤのフリックボックス部をDTMとともに自然由来の素材で製作したことがあると明かした。その際は重量増に繋がるなどで採用しなかったが、全体的な環境への取り組むとして、モータースポーツ界全体として取り組んでいきたいとした。

 またスーパーGTでは、カーボンニュートラル燃料のテストを進めており、当初はこの第5戦鈴鹿の後にテストも予定されていたが、予定よりも燃料の到着が遅れ、今回のテストはキャンセルされた。今後、第8戦もてぎの後にテストが予定されるという。

 なお、DTMとの規定統一がなくなったことで、かつての2009年規定のように空力を独自に開発することも可能にはなるが、自由度が増すのか、と問われた坂東代表は「増さない。やらせない」と語っている。

「お客さんが見て変わったな、と思うところはやっても良いが、見えないところにどれだけ金をかけるのか。それは自分たちが『僕が作ったクルマすごいでしょ』と言っているだけ。それが何になるのか。そういうことではなく、環境に貢献することやファンが観て分かるなら良いが、過渡な空力をやってなんなのか」と坂東代表。

「自由度というが、それが何かになるのか。今まで作った定義があって、それでやってきて、それでもコストをもっと下げなければいけない。見えない部分はやらせない。それだけのコストをかけてやっても結果が見えたり、喜んでもらえるなら良いが、速さは今求めているものではない。圧一定の範囲で空力はやってほしい」と坂東代表は無用なコスト増に繋がる空力開発については否定した。

「車両そのものについては、ひとつひとつ確実にものにして、やって実行することをやっていきたい。ひとつひとつやりながら、ステップを踏んでいきたい。オーガナイザーもJAFも一緒に考えている。業界全体でやらなければいけないことも多い」

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 GT500の3メーカーの車両
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 GT500の3メーカーの車両


関連のニュース