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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.08.30 11:30
更新日: 2022.08.30 11:33

今季初表彰台獲得の39号車DENSO、悩みに悩んだタイヤ無交換とあうんの呼吸で狙ったピットタイミング【第5戦GT500決勝】

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スーパーGT | 今季初表彰台獲得の39号車DENSO、悩みに悩んだタイヤ無交換とあうんの呼吸で狙ったピットタイミング【第5戦GT500決勝】

 鈴鹿サーキットを舞台にして行われた2022スーパーGT第5戦の決勝。GT500クラスはレース途中に導入されたセーフティカーが明暗を分ける結果にもなったのだが、そのタイミングをうまく利用して今季初の表彰台を獲得したのが、脇阪寿一監督率いる39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supraだ。

 7番手からスタートした39号車は、関口雄飛が第1スティントで33周まで引っ張り1回目のピットストップを敢行。中山雄一に交代し、レース中盤は5番手を走行していた。そして、49周目にGT300クラスの244号車HACHI-ICHI GR Supra GTが130Rでクラッシュ。これを見て39号車陣営はすぐに動き出し、セーフティカーが出る前に2度目のピットインに成功した。

 39号車を率いる脇阪監督は、2019年にチームルマンで監督を務めていたときにも、コース上でアクシデントが発生し、セーフティカー導入を見越してピットインを決断、チームを勝利に導いた経験がある。

 今回についても「あそこは狙っていました!」という脇阪監督。しかし、判断が数秒遅れていたら39号車はピット入り口を通り過ぎ、ピットストップのタイミングを逸してしまう可能性もあったのだが、「そこは運になりますが、その運を引き寄せるための準備をしていかなければいけないです。ウチのストラテジストがたくさんの選択肢をしっかりと用意してくれて、そのなかから状況に応じ、どれを適合させるかというところでした」と、こういったことを想定し、チーム内でも事前にどう動くべきかという共有はなされていたようだ。

 実は、クラッシュを喫した244号車の数秒後方を走っていた39号車。目の前で起きたアクシデントを確認した瞬間、中山の頭のなかにも“ピットイン”という文字がよぎったという。

「目の前で砂煙がすごい見えて、130Rに行ったら(244号車が)クラッシュしていたので『これはセーフティカーが出るな』と思い、その瞬間に『ピット! ピット! ピット!』という無線のやり取りになりました。チームも準備をしていてくれて、そのままピットに入ることができて良かったです」と中山。

 まさに“ジャストタイミング”をモノにし、一気に2番手まで浮上した39号車。さらにセーフティカー導入に伴い、トップを走る17号車Astemo NSX-GTの背後につけた状態でレース再開を迎える好条件を得たのだが、タイヤ無交換で最終スティントに臨んだことが少し劣勢になってしまう結果にもなった。

「あのピットストップでは給油のみだったので、2スティント目のタイヤのままで行くことになりました。同じタイヤで45周くらい走ることになりました。けっこうキツかったですけど、最後まで(タイヤが)保って良かったです」

「(2回目のピットストップでタイヤ交換をした)12号車や23号車には前に行かれましたけど、タイヤ無交換だったライバルと比べると、ペースは悪くなかったのかなと思います」

 さらにレース終盤には、別の要因で苦しむことにもなったと中山は明かす。

「終盤にGT300の車両を避けたとき、少しはみ出してしまい芝生を拾ってしまいました。それで水温が上がってしまい、直線もゆっくり走らないといけなかったです。本当にギリギリ耐えられて良かったです」

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)

 最後は様々な原因があってのペースダウンにもなったのだが、レースを終えた脇阪監督は「正直、これはタラレバになるんですけど……」と、別の可能性について言及した。

「あのピットインでタイヤ交換をしても良かったんですけど、タイヤ無交換というところにメリットを感じてしまい、そうしました。ただ、結果としてタイヤ交換をしてあげられれば良かったかなと思います。そうすれば、最終的に2位もあったかもしれません」

「もともと最後はタイヤを交換しないつもりでいましたけど、換えても良かったかなと思うところもありますし、あとは(39号車がピットまで)近い位置にいたので、あのときに『(タイヤを)換えろ!』と指示を出して混乱してしまうなど、そういったところも考慮して判断させてもらいました。(レースが終わって)今から思えば、タイヤを換えても良かったのかなという思いもありますけど、あのときはいろいろなリスクも考えて『換える』という選択肢は僕には決定できなかったです。そこはドライバーに謝りました」

「実際にいろいろな問題を抱えながらレースをしていて、今回もスピードは決してあったわけではありません。そのなかで我々も様々なことを考え、余裕がないなかでやっていくということを踏まえると、そこそこの結果だったのかなと思います。ああいったタイミング(セーフティカー直前のピットイン)もなく、普通にレースを進めていたら順位はもっと後ろだったので……そこは良しとしてもらいたいなと思います」と脇阪監督は振り返った。

 39号車としては2020年第5戦富士で優勝して以来、2年ぶりの表彰台獲得となった。「昨年は1度も表彰台に乗っていなかったので、まずは表彰台に乗れて良かったと思います。今年のTGR TEAM SARDは、1戦1戦できる限りのことを行ってポジションを上げていき、今回は表彰台という結果が出て本当に良かったです」と中山は笑顔を見せた。

 脇阪監督は「作戦は別として、もう少しクルマ側にスピードと、ドライバーが自信を持って攻められるところを見出さないといけません。それが我々の課題かなと思います」と現状を語りつつも、「でも、今回はふたりのドライバーが頑張ってこのクルマを繋いでくれたので、彼らの走りには大変満足しています」と、関口と中山の走りを高く評価していた。

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 3位表彰台を獲得した関口雄飛/中山雄一(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 3位表彰台を獲得した関口雄飛/中山雄一(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)


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