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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.09.28 15:13
更新日: 2022.09.28 20:04

スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.33 千代勝正さん

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スーパーGT | スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキング Vol.33 千代勝正さん

 ファンのために熱いレースを展開してくれるスーパーGTドライバーたち。SNS等でも散見されますが、所属するチームやメーカーによって差はあれど、多くのドライバーが“繋がり”をもっています。そんなGTドライバーたちの横の繋がりから、お悩みを聞くことでドライバーの知られざる“素の表情”を探りだす企画をお届けしております。今回はKONDO Racingの佐々木大樹選手から、NDDP RACINGの千代勝正選手に繋がりました。

 しばしばSNS等でも見られる、気になる2ショット。「へえ、あのドライバーたち、仲良いんだ」とファンの皆さんも驚くこともあるのでは。そんなGTドライバーの繋がりをたどりつつ、ドライバーたちの“素”を探るリレートークがこの企画です。これまでの連載は、まとめページを作りましたのでぜひご参照ください。

スーパーGTドライバー勝手にお悩み相談ショッキングの連載まとめページです。
まとめページは画像をクリックorタップ!

 連戦続きで筆者の余裕がなく、少し間が空いてしまい恐縮ですが、佐々木大樹選手から「流れが悪いときにはどうすべきか?」という質問が千代選手に届きました。いったいどんな回答が出てくるでしょうか……?

* * * * *

■さっそく次が決まりそう……!?

──そんなこんなでよろしくお願いします。
千代勝正さん(以下、千代さん):前回の記事を読んでないんですけど、大丈夫ですか?

──大丈夫っす。逆に先入観がなくていいかなと思います。あるドライバーから紹介してもらって、次のドライバーを紹介してほしいのですよ。その紹介してもらったドライバーに千代さんのお悩みをぶつけていただくコーナーです。
千代さん:GT500ドライバーだけですか?

──スーパーGTに現在参戦していれば誰でもいいですよ。
千代さん:じゃあ(大草)りきにしよう。

──もう次が決まった(笑)。
千代さん:安田(裕信)さんはまだ登場してないですか?

──まだだね。
千代さん:それなら安田さんにしますか。そこからりきに行きそうですし。

──え〜、まずは佐々木大樹くんからのお悩みを解決してほしいのですが、大樹くんのお悩みが『レーシングドライバーは誰しもそうだと思うけど、調子がすごく良いときもあれば、何をやってもうまくいかずにどツボにはまるときもある。そんな負のスパイラルに入ってしまったときに、みんなはどう立ち直っているのか』というのが気になると。大樹くん的には『千代さんが負のスパイラルから立ち直った経験があるから』と言いたいわけではなく、『千代さんほどの経験の持ち主ならば、何か知ってるんじゃないかな』ということで聞いてみたいらしいです。
千代さん:負のスパイラルから抜ける方法ですか……。

──ちなみに今までのキャリアで『このときは負のスパイラルだった』というときはありました?
千代さん:え〜、あったかな? いっぱいありすぎて(苦笑)。

──例えば『今回は勝てそうだったけどトラブルが……』とかあるじゃない。
千代さん:うまくいかないときは、自分のせいではないということを主張したり、そういった発言や行動だったり、他の責任やモノのせいにしていると、やっぱりどんどんと良くない方向になってきます。だから、そのダメなときでも『もっと自分にもできることはあったんじゃないか』など、“他責”ではなく“自責”に持っていくマインドチェンジをしていくと、だんだんと状況が改善されていくんだと思います。

 もちろんプライドもありますし、自分の立場を守らなきゃいけないという部分もあるので、どうしても『自分は悪くない』という方向に持っていってしまいがちですけど、そうするとなかなか状況は改善されません。みんながそういう感じで責任のなすりつけ合い、犯人探しみたいになってしまうと、どうしても『何が悪いか』ということを見つけたがりますけど、まずはそれぞれが『もっと自分に何ができたか』を考えないと状況は改善されていかないかなという気はしています。

──なるほど。でも、それでもどうにもならないときもありますよね。
千代さん:そのときは、もうその現実を受け入れるしかないんじゃないですかね(苦笑)。

──ちなみに千代くんはお祓いなどには行くタイプ?
千代さん:お祓いはまだ行ったことないですね。でも昔からしっかりお参りやお墓参りには行くようにしています。

 自分の場合、心の問題が大きいのですが、お参りに行ったおかげで『今回はうまくいった!』と思えたら、また次も上手くいく気がしますし、うまくいかなかったら『お参りに行かなかったからかな……』と思うので、安心のためにお祓いやお参りは必要かなと思います。『お参りに行ってうまくいったから今回も行こう』というのもいいと思います。

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 優勝を飾ったCRAFTSPORTS MOTUL Zの千代勝正と高星明誠
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 優勝を飾ったCRAFTSPORTS MOTUL Zの千代勝正と高星明誠

■サウナはいいぞ。

──ちなみにお参りはいつ行くの?
千代さん:シーズン前や、あとは一年の終わりにお礼参りに行きます。あと僕はけっこうサウナが好きなので、レース前に行ったりして心身ともに整えています(笑)。自分の体調とメンタルのバランスを取ることは難しくて、気合を入れすぎてもダメですし、気合を抜きすぎてもダメ。そこでちょうどいい自分のバランスを保つという意味では、もちろん体のケアもしていますし、そういった意味では心も乱れないようにはしています。

──サウナではちゃんと“ととのえる”人?
千代さん:はい。サウナはルーティンがあって、けっこうひとりでボーっとできるので考える時間にもなります。それでいろいろと頭の中を整理したりできるので好きですね。めっちゃオススメしたいです。

──では大樹くんには『サウナに行け!』ということにしときましょう。
千代さん:サウナに行くのもいいですけど、大樹は水風呂とかが苦手だと思います。

──苦手そうな気がする(笑)。
千代さん:「冷たい! もうムリ!」とか言いそうじゃないですか(笑)。ヒラノさんはサウナ好きですか?

──好き。
千代さん:水風呂は最初冷たいですけど、その限界を超えないと気持ちよさは分からない。

──あの感じに耐えて、その先に気持ちよさがあるからね。
千代さん:そうですそうです。水風呂がぬるく感じるくらいまでいかないとダメなので、ちょっと大樹にはムリかな〜(笑)。水風呂のためにサウナに入っている感じですもん。けっこうサーキットのまわりにもいいところがいっぱいあります。以前サウナでファンの方に会いました。全裸で「応援してます!」と言っていただきました(笑)。

──でもいい気分転換になりそうだね。じゃあ佐々木さんのお悩みは解決ということで。
千代さん:解決してるのかな?

──結局負のスパイラルを解決するのは自分だからね。
千代さん:そうですね。ある程度は起きたことを受け入れて、あとは自分でその状況を変えていくしかない。そこはもう吹っ切るしかないですね。

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 CRAFTSPORTS MOTUL Z
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 CRAFTSPORTS MOTUL Z

■もっと若い人たちにもモータースポーツに興味をもってほしい!

──分かりました。そんなこんなで千代さんはお悩みありますか? プライベートのことでもいいですよ。
千代さん:あるかな〜? う〜ん。いざ悩みと聞かれると……。そういった意味では僕はあまり悩まない性格なんですかね。寝ると忘れちゃうからな(笑)。

……僕はもっといろいろなことをしたいんです。今はレーシングドライバーをやりながら、他のカテゴリーでは、チームやジェントルマンドライバーさんのコーチングやコンサルティングをさせてもらったりしています。あと、ほかにも観光大使(大分県別府市の特別観光大使)もさせてもらいながらお話をいろいろと聞いたり、経営者の方からSDGsやカーボンニュートラルのことを勉強させて頂きながら、僕も『もっといろいろなことしたいな』と思うようになりました。

 具体的にはまだ固まってないですが、先輩方がやってきたように、新しいチームを作ったり、もっと大きなプロジェクトをしたいなと考えています。どうしても今の自動車業界は年齢層が上がってるので、若い子たちにもっと興味を持って欲しいです。メカニックやモータースポーツに関わる仕事が、やっぱり憧れの職業になって欲しいと思ってます。

 そこでまずどうしたらいいかというと、全体がもっと儲かる業界にしてほしいです。スポンサーももっと増えてほしいですし、それによっていろいろな分配金などでチームの財政が潤い、チームスタッフにボーナスを出せるよう、業界全体を変えていきたいなと思っています。

 以前、タレントのマギーちゃんと話したんですけど、同じことを思っていて『モータースポーツはこんなに素晴らしいコンテンツで、知らない人が初めて見たらものすごく特別なことをしている憧れの業界なのに、その業界で働いている方の待遇が良くないというのは矛盾している』という話をしました。

 なので、もっと業界全体的に仕組みを変えて、『この業界で働きたい』と思ってくれるように変えたいというのが、僕の今の悩みといいますか、願望です。

──壮大なお悩みが出てきましたね。
千代さん:けっこう真剣に考えています。この前スーパーGTに『ミスターヤバタン(https://www.tiktok.com/@mr_yabatan)』というTiktokフォロワー170万人の有名動画クリエイターの方をGTAさんに招待していただきました。

 ミスターヤバタンは特に中高生に人気で、10〜20代の圧倒的な支持があります。その年代は今のレース界にぽっかり抜けている年代です。なので、ミスターヤバタンが来ることによって『こんな世界があるんだ』ということを子どもたちが目にするわけですよね。彼がサーキットに来て『スーパーGTはスゴイ!』と言ってくれただけで何百万人という人その投稿を見るので、かなりの宣伝効果だと思います。

 なので、そういった影響力のある人をもっとサーキットに連れてきたいです。その方たちによってモータースポーツを知らない方にも知ってもらい、さらに価値のあるものにしていきたいです。あとは、テレビやいろいろな映像の仕組みなども、今の時代にはもっといろいろな方法があると思います。現代はまさに“動画の時代”なので、そういった意味では、モータースポーツは動画に迫力があるけれど、なかなか権利の問題で表に出すことができない。その権利の問題も時代に合わせていってもらいたい。ということを、GTAの坂東(正明)さんにお悩み相談したいです。

 その根本には、みんながしっかりと儲かる業界にしたいですし、若い子が憧れる業界にして欲しいという思いがあります。もっといろいろな部分で、時代は変化するので、その変化に対してアジャストして欲しいなと思っていて、もっと柔軟になって、みんなが稼げる業界にして欲しいです。

2022スーパーGT第4戦富士 サーキットを訪れたミスターヤバタンと千代、高星(千代選手から写真いただきました!)
2022スーパーGT第4戦富士 サーキットを訪れたミスターヤバタンと千代、高星(千代選手から写真いただきました!)

■若手を増やすにはどうしたら良いですかね?

──本当に坂東さんに相談したい?
千代さん:はい、でも坂東さんに行ったらこの企画が終わっちゃいますよね。

──もうGTドライバーには戻ってこなくなるかな(笑)。
千代さん:今はJ SPORTSさんもすごく努力して下さっていて、リアルタイムオンボードが登場したり、色々と工夫してくれていますよね。またさらにドライバーとチームの無線などもリアルタイムで出せたら、もっと臨場感が増すと思います。

──そのあたりは海外との差があるよね。
千代さん:F1はアメリカのリバティメディアが買収してからすごく変わりましたよね。Netflixでドキュメンタリーを放映したりして、初心者でも入り込みやすい工夫がわかります。日本も時代の変化に対してもっと変わって行かないとと思いますが、自分個人では全く力不足なので、業界全体で協力してやっていきたいです。

──でもメディアもいまは若い人が少ない。フォトグラファーは少しは若い人は入ってるけどね。
千代さん:なので僕はNFT(非代替性トークン)もこれから進めようとしています。デジタルコンテンツに対して著作権がつくので、その映像や写真、アートなどに対して、著作権を持ってる方にしっかりと収益が分配されるような仕組みも、フリーランスの方々が多く活躍しているこの業界にピッタリだと思うので、そういったことも今勉強しています。

──ドライバーとクルマは若返っているけれど、それを取り巻いてる人たちはかなり高齢化しているのは危機感あるね。
千代さん:でもクルマが好きな人は一定数いると思うので、もっとモータースポーツの認知度を広げたいです。自分も10〜20年後は何かをしながら生きていると思いますけど、このモータースポーツ業界全体の10〜20年後を、もっといろいろと考えていきたいなと思っています。

──そのお悩みは他のドライバーに繋げられますかね?
千代さん:未来のレーサーを育てているという意味では、安田さんがいいと思います。りきは本当に若手なので。『若手ドライバーもそうですけど、若手メカニックなどをもっと増やすにはどうしたらいいですか』という感じで聞いていただければ。その切り口でいいですかね? その内容だったら次も繋がると思います。この企画が終わってしまうとヒラノさんも困ると思いますし。

──ちなみになんとなくこの連載、そろそろいいんじゃないかな……ともちょっと思ってる(編集長は反対ですが)。
千代さん:本当ですか? 終わってもいいなら坂東さんに行ってもらいたいです(笑)。

──まあここは安田さんに行っておこう。ちなみに映像のことは電波法とかも絡んできて、いろいろと難しい話が多いんですよ。
千代さん:そうなんですね……。では次回は安田さんでお願いします!

* * * * *

 というわけで、vol.30の宮田莉朋選手に次ぐ長文インタビュー(?)になりましたが、千代選手のモータースポーツの未来への真剣さ、伝わりましたでしょうか。次回は安田裕信選手に繋がりました。乞うご期待!

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 CRAFTSPORTS MOTUL Z
2022スーパーGT第3戦鈴鹿 CRAFTSPORTS MOTUL Z


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