2月2〜3日、静岡県の富士スピードウェイで、スーパーGT GT500クラスに参戦する7台の車両が参加したメーカーテストが行われた。ホンダ勢は4台が今季初テストに臨んだが、新たに8号車ARTA無限NSX-GT、16号車ARTA無限NSX-GTの2台体制となったARTAにとっても、初めてのテストとなった。今季移籍加入した大津弘樹にとっては、新体制でのテストはポジティブなものになったようだ。
大津はFIA-F4から全日本F3を経て、2018年からGT300に挑戦。2020年にはスーパーフォーミュラへのスポット参戦を果たしたほか、GT500クラスではModulo Nakajima Racingに加入。チームメイトの伊沢拓也から多くのことを吸収してきた。
迎える2023年は、新たにARTAに移籍し、福住仁嶺とともに16号車ARTA無限NSX-GTをドライブすることになった。無限のメンテナンス、そしてブリヂストンというパッケージは、大津にとっても大いに期待を寄せる体制でもある。
2日から富士で行われた初テストに臨んだ大津は「雰囲気としてはすごくやりやすいですね。無限のエンジニアもブリヂストンを履くのは初めてですが、探りながら走行をスタートさせることができたと思っています。それに2台体制なので、これから情報共有していくと思います」とチームの雰囲気を語った。
「また僕と仁嶺もずっと昔から知っている仲なので、良いコミュニケーションがとれていると思っています」
大津と福住は、鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS/現HRS)の同期。年齢は大津の方がふたつ上だが、「同じようなステップで来ていますし、いちばん気が知れた間柄だと思います」という。
そして大津にとっては、スーパーGTで初めて履くブリヂストンタイヤとなる。3年間Modulo Nakajima RacingでGT500のキャリアを積んできたが、今回のテストで、これまで相手にしてきたタイヤを味わった。
「タイヤ自体の動きや特性をつかむことができました。ただクルマのセッティング自体も大きく変わりますからね。まず走ったところで把握はできたので、良いところ、悪いところをこれから開幕までに詰めていきたいです」
これまでGT300ではModulo Drago CORSEで2年、そしてGT500では3年と、5年間戦ってきた。GT300でもGT500でも表彰台は獲得してきたが、優勝はまだない。大津は心機一転迎える2023年を「結果にこだわる一年にしたい」と語った。
「僕はGT500で4年目ですがまだ勝てていないですし、ポールポジションも伊沢(拓也)さんが獲ってくれたので、自分では獲れていない。今年は“成長の一年”とかではなく、とにかく速さを突き詰めて、同じNSX-GTとブリヂストンの4台のなかでも速さをみせられる年にしたいと思っています」
GT500でも、もちろんスーパーフォーミュラでもみせてきたとおり、大津の速さには疑いの余地はない。新たな武器となるARTA無限NSX-GT、そして新チームメイトの福住とともに、“勝負の一年”でどんな活躍をみせてくれるだろうか。