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スーパーGT ニュース

投稿日: 2023.03.28 10:50
更新日: 2023.03.28 10:55

伊東黎明&岩澤優吾の「真逆なふたり」が駆るYogibo NSX GT3。公式テストからみせる速さに注目

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スーパーGT | 伊東黎明&岩澤優吾の「真逆なふたり」が駆るYogibo NSX GT3。公式テストからみせる速さに注目

 2023年、スーパーGT GT300クラスに参戦することになったYogibo Racingは、伊東黎明と岩澤優吾という若きふたりを起用しホンダNSX GT3を走らせ岡山公式テスト、そして富士公式テストと2回の公式テストをこなしたが、岡山公式テストでは2日目に総合13番手、富士公式テストでは総合6番手タイムを記録するなど、ルーキーふたりとは思えぬ侮れないスピードをみせており、今季注目の存在となりそうだ。

“快適すぎて動けなくなる魔法のソファ”でお馴染みのYogiboは、さまざまなプロスポーツに協賛を行っているが、2021年からスーパーGTに挑戦。2022年はカテゴリーを変え、Yogibo RacingとしてGTワールドチャレンジ・アジアに挑み、シルバーカップでタイトルも獲得した。ただ、2023年に向けては当初、GTワールドチャレンジ・アジア継続も検討しつつ、最終的にスーパーGT参戦を決断することになった。

「Yogibo Racingとしては、2021年からスーパーGTに参戦する3カ年計画を立てていました。昨年は出場できませんでしたが、一方でYogiboがグローバルに展開していくタイミングでもあったことから世界への挑戦を志し、GTワールドチャレンジ・アジアが自分たちのコンセプトにも合っていたという決断を下しました」というのは、Yogibo Racingを率いる芳賀美里監督。

「GTワールドチャレンジ・アジア参戦は結果的にすごく良かったと思うんです。チームとしても成長できましたし、私もさまざまなことを学びました。一方で、昨年の10月ごろからスーパーGTの参戦枠についてお話をいただいたんです」

 そこから話が進み、現実的にスーパーGT復帰が検討されたのは2022年10月ごろ。さまざまなプロセスを経て、車両は2022年にARTA NSX GT3として参戦していた車両を使用することに決定。セルブスジャパンのメンテナンスで、Yogibo RacingとしてのスーパーGT復帰が決断された。

2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo Racingを率いる芳賀美里監督
2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo Racingを率いる芳賀美里監督
2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo NSX GT3
2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo NSX GT3

■岡山でのNSX GT3初体験

 そんなYogibo Racingの2023年のスーパーGT参戦にあたり、ドライバーとして選ばれたのは2022年までFIA-F4で戦っていた伊東黎明と岩澤優吾のふたりだ。どちらもメーカーのスカラシップを得ているドライバーではないが、FIA-F4では印象的なスピードをみせており、初めてのスーパーGTながら、これまでのテストでは安定した速さでルーキーテストもパスしている。また富士でもウエットを走り、クラッシュ等に見舞われることなく、しっかりとタイムを記録した。

「岡山自体はたくさん経験があるので問題はありませんでしたが、公式テストではまずはマシンの習熟に努め、最初から良いところが掴めたので、ペースを上げながらアタックしてタイムが出ました。岡山ではポジティブな印象がありましたね」というのは伊東だ。

 この岡山でNSX GT3を乗る前には、FIA-F4やGR86/BRZ Raceでずっと伊東を支えてきたOTG Motorsportsがポルシェ911 GT3 Cupでテストをする機会を提供し、リヤエンジンとミッドシップという違いはあれど、パワーがあるGTカーに慣れるようにしてくれたのだとか。

「今まで乗ったレーシングカーのなかでいちばん速いのはタイムで言ったらFIA-F4なのですが、実は岡山公式テストの前に、ふだんお世話になっているOTGさんから、練習でポルシェのカップカーをお借りしてテストさせていただいたんです」

「スーパーGTではライバルチーム(LM corsa)になってしまうのですが、社長の了解も得てそういう機会を与えてくださったので、本当にありがたかったですね」

 一方の岩澤にとっては、岡山公式テストが初めてのホンダNSX GT3のドライブで、さらに言えば岩澤にとってはGTカーも、複数クラスの混走も初めての体験だった。

「岡山で乗ったときは雰囲気も含めて、今までのFIA-F4とはまったく違うと感じました。プロフェッショナルな世界だと感じましたね。クルマは感覚が慣れればしっかり走れると思っていたので、2日目にはかなり慣れることができました。ただ慣れるまでは大変でした」と岩澤。

2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo Racingの伊東黎明
2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo Racingの伊東黎明
2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo Racingの岩澤優吾
2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo Racingの岩澤優吾

■過去にはチームメイトだったふたりの性格は“真逆”

 実はふたりは、2019年にチームメイトだった経験がある。この年が活動最終年となったル・ボーセモータースポーツから、スーパーFJもてぎ選手権に参戦。チャンピオンを争った。ふたりにお互いのことを聞くと、揃って「スーパーFJのときは本当にバチバチの関係でした」という。

 そして面白いのが、こちらもふたり揃って「性格もお互い真逆(伊東)」「真逆なタイプで、性格も走らせ方も逆でした(岩澤)」ということ。ただ、こちらも揃って「お互いに補いながらやっていけると思っています(岩澤)」と言うから、タイプは逆でも、すでに息もピッタリの様子だ。

 とはいえ、もちろんルーキーがすぐにスピードをみせて勝てるかと言えば、スーパーGT、特にGT300はそんなに甘い世界ではない。ドライバーふたりもその点は理解しており、芳賀監督も今後の習熟に期待を寄せる。

「スーパーGTはふたりのドライバーで戦いますが、争う存在ではなく、ふたりで協力しなければならないので、その点は今後学んでいってほしいと思っています。またGT500の抜かせ方なども重要になりますよね」と芳賀監督。

 またこれまで参戦してきたキャリアのなかで、伊東はスーパー耐久の経験があるが、岩澤は2クラス混走も初めて。「まだ慣れているとは言えないかもしれません(苦笑)。GT500の上手な行かせかたもそうですし、混走のときにいかに自分がコントロールしながら抜かせるかの動きがまだできていないです。レースまでにはしっかり慣れたいですね」と語った。

 ただ、そんなふたりをしっかりとサポートしているのが、GT300で豊富な経験を誇る密山祥吾だ。「ドライバー目線でアドバイスをしてくれるので、すごく分かりやすいです」と岩澤は言う。

 2023年のシリーズに向け、岩澤は「スーパーGTはもちろんそんなに甘い世界ではないと思っているので、まずはしっかりとポイントを獲り、その次は表彰台、そしてデータをチームで積み上げ、今シーズン1勝を目指していきたいです。一歩一歩頑張っていきたいですね」と意気込みを語った。

 そして、伊東も「性格もお互い真逆なのですが、そこを補えていると思うので、しっかりチャンピオン争いに絡めるようにしたいです。まわりの皆さんの協力もあってこうしたチャンスをいただけているので、しっかり結果で恩返ししたいですし、自分の力を示さなければと思っています」と力強く語った。

「一発の速さはありますし、すごく吸収力が高いふたりです。今後、すごく面白い存在になると思います!」と芳賀監督も期待を寄せるふたり。2021年とも、22年とも違うチャレンジに挑むYogiboブルーのNSX GT3の走りに開幕からぜひ注目を。

#63岩澤優吾、#62伊東黎明
2019年にスーパーFJで戦った岩澤優吾と伊東黎明
2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo NSX GT3
2023スーパーGT富士公式テスト Yogibo NSX GT3


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