ワンオフパーツ満載のキレキレ走りのHRCと信頼性と乗りやすさを武器にするJSB1000勢の一騎打ちとなる事は必至。ただ今年は、もう一台ライバルが存在します。YOSHIMURA SUZUKI RIDEWINであります。
2022シーズンのEWC仕様のままのスズキGSX-R1000R。昨年のEWCを制したこのマシンが開発も兼ねてJSB1000へ参戦です。耐久仕様のマシンとあって、カウルの留め具も脱着に工具が必要ない仕様になっています。
開発も兼ねていることからフロントブレーキキャリパーには温度センサーが装着されています。バリバリの耐久仕様で、あの走りっぷりは脅威! 完成度の高さを窺わせます。スプリント仕様のYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINの走り、見てみたくなります。
マフラーにはレゾネーターを装備。ステップ上に設置されている黄色と白色のボタンが気になるので、次回取材しておきます。
ECUはYAMAHA FACTORY RACING TEAM同様イタリア製マニエッティ・マレリ社(現マレリ社)を搭載。搭載位置にバイクづくりの考え方が現れます。
アッパーカウル内側も造りはシンプルです。白く巻かれた配線がフロントブレーキキャリパー温度センサーからの配線でしょうか。
ステップ内部にはエンジンの振動を打ち消すタングステンを装備。高価な部品のため、転倒してステップを破損した際には必ず回収してくるようにと厳命されているとのことです。
ここからは、特徴的なハンドル部分に設置されているリヤブレーキレバーを見ていきましょう。渡辺一樹選手よろしくお願いします。
上がクラッチレバー、下がリヤブレーキレバーになります。基本クラッチは発進の時以外は使用しません。リヤブレーキレバーを使用する際は、指一本で操作します。
親指で押すタイプもありますが、僕的にはレバー式がしっくりきています。一番のメリットは、右コーナーでフルバンクした際にリヤブレーキが使えることです。速く走らせるためには、コーナリング中のリヤブレーキは重要なポイントで、今後全日本ロードでも導入するチームは増えると思います。
ただやはり既製品として、そういうシステムは販売されていないので、ハンドル部分の部品構成はやや複雑になり、重量も増します。ただそれらのデメリットを上回るだけのゲインがあると思います。
フレームに必要な配線や配管が追加設置されていますが気になることはありません。
もちろんリヤブレーキペダルも装備されていることからブレーキマスターは2系統設置されています。ただ、機構上ペダルとレバーを同時に操作することは出来ません。
内側からも見てみます。ひとつひとつの造形が美しく、細やかに造られていて、いつまでも見ていられます。
ハンドル右側も見てみます。スタート時に使用する黄色のLaunchボタンが特徴的です。
こちらはYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINのピット。ヨシムラ創業者、故ポップ吉村こと吉村秀夫氏の写真が飾られていないことがちょっと寂しくもありますが、“大きいところに勝つ”の精神は、確実に引き継がれていると感じました。
YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN、いかがだったでしょうか。開幕戦では僅かにYAMAHA FACTORY RACING TEAMの後塵を拝する形となりましたがYOSHIMURA SUZUKI RIDEWINもホンダ同様、鈴鹿8耐制覇が目標のひとつだと推察されます。
RCB1000に勝った第1回鈴鹿8耐のようにホンダとのバトルを制しヨシムラの総合優勝なるのか、8時間のスプリント耐久になる事は必至、妄想は止まりません。
現地では、少しずつお客様の観戦エリアが増えてきていて、ピットウオークも開催され、バイクを近くで見ることも出来るようになっていてます。その中で密にならないように、細部を見て頂きたいと思います。
全日本ロードレース第2戦 2&4鈴鹿のJSB1000のエントリー台数は4月7日時点で61台!(予選通過は40台か)それぞれの想いが込もったバイクと走り、見逃し厳禁です。