MotoGP第16戦日本GPで、マルク・マルケス（レプソル・ホンダ・チーム）は復帰後2戦目にしてイタリアGP以来初めてレースディスタンスを走り、今季の自己ベストリザルトタイとなる4位でゴールした。まだ完全な状態ではないとしても、マルケスにとって腕の痛みなく走れたレースだった。
雨の予選でポールポジションを獲得したマルケスは、今季初めてフロントロウから決勝レースに挑んだ。「明日（決勝レース）では本来のポジションに戻ると思う」と、予選後の会見で語っていたマルケス。スタート直後にはブラッド・ビンダー（レッドブルKTMファクトリー・レーシング）やホルヘ・マルティン（プリマ・プラマック・レーシング）にかわされ、さらに後退して1周目を5番手で通過する。
ただ、これはちょっとしたトラブルが原因だったそうで、マルケスは「マッピングを変えたらその問題は消えた」と、レース後に説明していた。確かに、2周目以降はポジションを落とすことはなかった。
マルケスは残り3周で前を走るミゲール・オリベイラ（レッドブルKTMファクトリー・レーシング）を9コーナーでオーバーテイク。4位でチェッカーを受けたのだった。優勝したジャック・ミラー（ドゥカティ・レノボ・チーム）から約7.7秒差の4位だったが、前戦アラゴンGPで復帰して2戦目でありながら、仕事を果たしたと言えるだろう。
4位という結果とともに、マルケスにとっては24周の決勝レースにおけるフィジカルコンディションが収穫だった。6月上旬に4度目の右上腕骨の手術を受けて以降、レースを欠場していたマルケスは、9月上旬のミサノ公式テストでMotoGPマシンを走らせた。その後、日本GP直前のアラゴンGPでレースに復帰している。ただ、テストでもアラゴンGPでも、マルケスは10周以上の周回、つまりロングディスタンスを走っていなかった。アラゴンGPの決勝レースでは、1周目でリタイアとなったからだ。
「堅実なレースができたので、すごくうれしい。コンスタントで堅実なレースだった。最も大事なことは、レース中ずっと、痛みを感じなかったってことなんだ。腕の動きが遅いようには感じたし、最後には疲労を感じたけど、痛みは感じなかった。だから残り3周でオリベイラに仕掛けることができたんだよ」
「レースの終盤で誰かを抜くようなフィーリングはしばらくなかった。痛みがあるものだから、以前は集中力をキープするのが難しかったんだ。でも今日は疲れただけで痛みはなかった。すべてがうまくいっていた」
己の状態についてポジティブな印象を抱きつつ、マルケスは今回のリザルトを楽観的に受け止めていない。
「僕たちのバイクの弱点は、このサーキットではあまり影響しない。だからフリー走行1回目から速く走れたんだ。アラゴンとおおむね同じようなバイクなんだけどね。でもライバルたちとの差が詰まっていた」
天候もある意味でマルケスのフィジカル面の負担を軽くした。雨によってウエットコンディションでの走行となったからだ。また、天候によるセッション中断の影響でフリー走行3回目がキャンセルとなったことも、今のマルケスにとっては好材料だったのかもしれない。
「土曜日のレインコンディションのおかげで（腕の）フレッシュさをキープできたし、ポールポジションからスタートすることもできた。通常の週末なら、4位じゃなくて7、8、9位くらいだろうね」
確かに、日本GPは様々な状況が通常のレースウイークとは違っていた。とはいえ、レースを重ねるにつれ、マルケスは万全の状態に近づいていくはずだ。
