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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.11.24 15:02
更新日: 2023.11.24 15:04

B-Max Racing Team 2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会 レースレポート

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国内レース他 | B-Max Racing Team 2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会 レースレポート

⽊村選⼿が逆転でチャンピオンに輝く
チーム、マスタークラスも制しトリプルタイトルを獲得

 B-Max Racing Team(チーム総代表・SFLチーム代表組⽥⿓司)は、11⽉18〜19⽇、モビリティリゾートもてぎで⾏われた全⽇本スーパーフォーミュラ・ライツ選⼿権第16〜18戦に参戦し、⽊村偉織選⼿が逆転でチャンピオンに輝きました。マスタークラスの今⽥信宏選⼿も3年連続チャンピオンとなり、チームタイトルと合わせ、4年ぶりのトリプルタイトル獲得という、最⾼の結果で2023年シーズンを締めくくりました。

■第16、17戦予選(11⽉18⽇(⼟)午前9時25分〜9時55分)
 前⽇の⾬も上がり、晴れ渡った予選⽇。逆転でドライバーズタイトルを狙う⽊村選⼿はミスが許されないだけに、いつも以上に集中して予選に臨みました。第16戦の予選は、⽊村選⼿が2度⽬のアタックで全区間ベストタイムという完璧なラップを⾒せ、ポールポジションを獲得。スポット参戦の菅波選⼿が3位、フラガ選⼿が4位とチームとしても好結果で終えました。

 第17戦の予選でも、⽊村選⼿は勢いそのままに最初のアタックで1分43秒386をマークしてトップに⽴つと、2回⽬にはさらにタイムを縮めてライバル勢を突き放しました。フラガ選⼿は2位、菅波選⼿は4位と、揃って上位グリッドを確保しました。

 ダブルポールポジションを獲得し2ポイントを加えたことで、⽊村選⼿は10ポイントあった平良選⼿との差を8ポイントにし、逆転チャンピオンに向け反撃の狼煙を上げました。なお、ヴィダーレス選⼿は、電気系のトラブルで出⾛できませんでした。

■第16戦決勝(11⽉18⽇(⼟)午後1時45分〜14周)
 ポールポジションの⽊村選⼿は、トップを守ったまま1コーナーへ。菅波選⼿が⼩出選⼿をかわして2位、フラガ選⼿も1周⽬に3位に上がり、早くもチームでワン・ツー・スリー態勢を築きました。
トップを快⾛する⽊村選⼿は、序盤からハイペースを維持し、6周⽬にはレースのファステストラップとなる1分44秒823をマーク。2位菅波選⼿との差を4秒まで広げると、以降はタイヤを温存するためにペースを若⼲落として周回を重ねました。

 縦に⻑い展開となったレースは、結局そのままの順位でフィニッシュ。チームとしては初の表彰台独占という最⾼の結果に加え、⽊村選⼿は優勝10ポイントとファステストラップの1ポイントを加え、ポイントリーダーの平良選⼿に並びました。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 第16戦はB-MAX RACING TEAM勢が表彰台を独占した。
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 第16戦はB-MAX RACING TEAM勢が表彰台を独占した。

■第17戦決勝(11⽉19⽇(⽇)午前8時55分〜20周)
 シーズン最後となる⽇曜⽇も絶好のレース⽇和となりました。⽊村選⼿は、ポールポジションから好スタートを切り、フラガ選⼿、⼩出選⼿、そしてタイトルを争う平良選⼿を従えて1周⽬を終えました。菅波選⼿はスタート後の競り合いのなかでコースオフを喫し、順位を⼤きく落としてしまいました。

 トップを快⾛する⽊村選⼿は、1分44秒台のハイペースを安定して刻み、折返しの10周⽬までに2位フラガ選⼿との差を4秒にまで開きますが、その後も⼿を緩めることなくプッシュし続け、20周を⾛り切って第16戦に続く連勝を飾りました。

 レースでは上位陣に順位変動はありませんでしたが、4位フィニッシュの平良選⼿に⾛路外⾛⾏のペナルティ(+5秒)が課されて5位となりました。この結果、シリーズポイントは⽊村選⼿が逆転し106ポイント、平良選⼿97ポイントとなり、最終戦で決着することとなりました。

 この勝利で、現シリーズの前⾝である、2019年全⽇本F3選⼿権以来のB-Max Racing Teamのチーム部⾨タイトル獲得が決まりました。ヴィダーレス選⼿は、⾞両のパーツが調達できずに、この⽇の出⾛を取り消しました。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 第17戦スタート
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 第17戦スタート

■第18戦決勝(11⽉19⽇(⽇)午後1時00分〜14周)
 午後になり気温が上がるなか、今シーズン最後のスタートを迎えました。⾒事なスタートダッシュを⾒せたのは2番グリッドの菅波選⼿。このレースのために状態の良いタイヤを残していた菅波選⼿は、1コーナーで⽊村選⼿をかわしトップに躍り出ました。チャンピオンを視野に⼊れている⽊村選⼿も、あえてリスクを冒すことはせずに、菅波選⼿の背後につけました。

 トップを快⾛する菅波選⼿は、1分45秒台を連発しながら⽊村選⼿を少しずつ引き離し、レース折返しの7周⽬には2秒以上のマージンを築きました。⽊村選⼿の1秒後⽅に平良選⼿、4秒離れてフラガ選⼿を古⾕選⼿が追うという展開になりました。

 レースは膠着状態のまま後半に⼊りますが、菅波選⼿は10周⽬にファステストを記録する快⾛を続け、狙いどおりの展開で今季2勝⽬を飾りました。そして、菅波選⼿の2秒後に、⽊村選⼿がチャンピオン決定という歓喜のチェッカーを受けました。

 この結果、チームとして、最終⼤会の3レースはすべてワン・ツーフィニッシュ。特に1レース⽬は表彰台独占、そして、ドライバー、チーム、マスターのタイトルをすべて獲得するという最⾼の結果でシーズンを締めくくりました。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 第18戦を制した菅波冬悟
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 第18戦を制した菅波冬悟
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ チャンピオンを決めた木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ チャンピオンを決めた木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)

SFLチーム代表 組⽥⿓司コメント

「ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDポイント)の育成ドライバーを預かるようになって2年⽬ですが、今シーズンは是が⾮でも結果を残さなければならないという使命感を持って臨みました。ドライバーの⽊村選⼿も背⽔の陣で臨んだシーズンでしたので、チームとしてできることはすべてやろうという思いでした」

「ドライバー部⾨、チーム部⾨、マスタークラスのタイトルを獲得する“トリプルクラウン”は、2019年の全⽇本F3選⼿権以来4年ぶり、スーパーフォーミュラ・ライツ選⼿権になってからは初めてのことです。エンジンチュナー部⾨はうちのチームの⼒だけではありませんが、これもスピースが制し、本当にこれ以上ない結果ですので、感無量です」

50、51号⾞チーム監督 ⾼⽊真⼀コメント

「専有⾛⾏は⾦曜⽇が⾬予報でしたので、⽊曜にテストメニューを詰め込むかたちになりましたが、⾛り始めからポテンシャルの⾼さを感じることができました。偉織選⼿にとって、専有⾛⾏が実質1⽇になったことは有利に働いたように思います」

「でも、それを抜きにしても今週末の偉織選⼿の速さは際⽴っていたように思います。完全勝利を飾った開幕⼤会に近い雰囲気がありました。課題となっていた予選での速さもしっかり⽰すことができましたし、タイトルのかかるプレッシャーのなかでスタートもうまく決めることができました。パーフェクトな最終⼤会だったと思います」

「タイトルはひとりにしか与えられないものですし、チャンピオンの称号を持つか持たないかは、この先⼤きな違いとなりますから、来シーズンは⼼置きなくステップアップしてくれることを願っています。偉織選⼿にとって⼈⽣を変えた最終⼤会だったと思いますし、監督を務めた⾝としても、2年間の成⻑を⽬の当たりにでき幸せでした」

52号⾞チーム監督 松浦孝亮コメント

「⽊曜⽇の専有⾛⾏が⾮常に良かったので、この勢いでいけると思っていましたが、⾦曜⽇の⾬で路⾯の状況が変わってしまったことがマイナスに働いてしまったようです。ただ、そのなかでもイゴール選⼿は持てる⼒を発揮し、岡⼭⼤会に続いて速さを⽰すことができたと思います。シリーズ終盤の速さを、もっと早い段階で発揮することができていたら、⾯⽩いシーズンになったと思います。でも、イゴール選⼿の可能性を⼗分に感じることができた1年でした」

50号⾞ドライバー ⽊村偉織選⼿コメント

「6歳で始めたカート時代から数多くのレースに出て優勝はしてきましたが、実はチャンピオンは獲ったことがなく、それが⾃分としてはコンプレックスでした。最⾼のかたちで殻を突き破ることができて本当に嬉しいです」

「この週末、チャンピオンのことはできるだけ意識しないようにしていました。⾃分⾃⾝でやれることはすべてやり切って臨んだ最終⼤会でしたので、緊張するというより集中することができていたと思います。とにかくシンプルにポールをふたつ獲って3連勝しようと、それだけを考えていました」

「2年⽬の今年はチャンピオン獲得が使命でしたので、ファクトリーの近くに住まいを移すなど環境を変え、私⽣活でも⽇々のトレーニングや⾷事などで⾃分を律してきました。それだけに、最後のチェッカーを受け、チャンピオンが決まった瞬間は、サポートしていただいた⼈の顔が浮かんで涙が出てきました。年末までは⾃分に課した制限を少しだけ解放して、また来年に向け精進しようと思います」

2023年のスーパーフォーミュラ・ライツチャンピオンを獲得した木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)
2023年のスーパーフォーミュラ・ライツチャンピオンを獲得した木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)

52号⾞ドライバー イゴール・オオムラ・フラガ選⼿コメント

「今シーズンは、参戦が決まったのが開幕直前で慌ただしかったのに加えて、事前のテスト⾛⾏も⾬に⾒舞われるなど⾛り込みが⼗分にできないまま開幕を迎えました。序盤の数戦はほとんどぶっつけ本番でしたが、逆にそれが他の選⼿との差を⽣まずに、⾃分にとっては有利に働いて予選でも好位置につけることができました」

「シリーズ中盤、各⾞のセットアップが進むと徐々に遅れを取るようになってしまったので、前⼤会の岡⼭から体制を強化しました。専有⾛⾏も天候に恵まれ⼗分⾛り込みができたので、岡⼭では3レースともに表彰台、今回も2レースで表彰台を得ることができました。できれば優勝がほしかったですが、終盤2⼤会は⼤きな進歩を遂げることができたと思います」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ イゴール・オオムラ・フラガ(FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAX)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ イゴール・オオムラ・フラガ(FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAX)

53号⾞ドライバー 菅波冬悟選⼿コメント

「最終戦で優勝することができて、本当に嬉しいです。SFライツへの参戦は、昨年1シーズンだけのチャレンジのつもりでしたが、結果が振るわずに終わってしまいました。今年も何とか参戦したいと組⽥代表に相談をして、今⽥選⼿にも快諾をいただき鈴⿅で参戦することができました。天候による運もありましたが、そこで優勝と2位を獲得して、次の富⼠⼤会での参戦に繋がりました」

「富⼠ではトムス勢にやられてしまいましたが、最終⼤会でまたチャンスをいただけることになりました。今回は、関⼝雄⾶選⼿にアドバイザーとしてついてもらい、内間エンジニアとのコミュニケーションも良く、すべてがうまくハマったという感じです」

「昨シーズンは結果が出せなくて、⾃信を失いかけていたことも含めて、うまく噛み合っていない状態でした。それが、今年は巡ってきたチャンスのなかで、実⼒どおりの結果しか出ないのだからと、気負わずにいけたことが良かったと思います。⾃分の実⼒をいかに底上げするかを考えて、⼩さなことを積み上げる努⼒をしましたし、他のカテゴリーで⾃分の速さを再認識することができ⾃信も取り戻すことができました。組⽥代表をはじめ、多くの⽅の協⼒で結果を残すことができ、感謝しています」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 手荒い祝福を受ける菅波冬悟
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 手荒い祝福を受ける菅波冬悟

マスタークラス
■第16、17戦予選

 最終⼤会前のシリーズポイントは、今⽥選⼿が116ポイント、DRAGON選⼿が105ポイントと11点差。エントリー台数の少ないマスタークラスではこの差を逆転するのは⾄難の業という状況のなか、ふたりは予選に臨みました。第16戦予選では、今⽥選⼿がウォームアップを1周、DRAGON選⼿は2周の後にアタックをするという異なる作戦を取ったふたりでしたが、3周連続のアタックで1分46秒017までタイムアップした今⽥選⼿に軍配が上がりました。

 第17戦予選も、両者は同様のアタック⽅法を取りましたが、セッティングを変えて1分45秒台にタイムアップした今⽥選⼿が、DRAGON選⼿を抑えてクラスポールポジションを獲得しました。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 今田信宏(JMS RACING with B-MAX)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ 今田信宏(JMS RACING with B-MAX)

■第16戦決勝

 スタートを決めた今⽥選⼿が、1分47秒台のラップタイムを刻んでDRAGON選⼿を引き離そうと試みますが、DRAGON選⼿も⾷い下がり、その差は5周⽬で約2秒。ところが、6〜7周⽬に、スタートで遅れ最後尾から追い上げてきた若⼿の⼩川選⼿を挟んだことで、両者の差は開くことになり、終盤は今⽥選⼿がマージンを築いてゴールしました。

■第17戦決勝

 タイトル争いでは、今⽥選⼿にリードを広げられたDRAGON選⼿ですが、スタートから7周⽬までは今⽥選⼿から1秒以内につけ、プレッシャーをかけ続けます。しかし、8周⽬以降はタイヤが厳しくなり、1分46秒から47秒台のラップタイムを刻む今⽥選⼿に対し、DRAGON選⼿は47秒から48秒台へと徐々にタイムが落ち込み、15周⽬にはその差は5秒にまで広がりました。

 安定した⾛りを⾒せる今⽥選⼿は、そのまま逃げ切ってクラス優勝。シリーズポイントを140ポイントに伸ばし、この時点でDRAGON選⼿が逆転する可能性は消え、今⽥選⼿の3年連続チャンピオンが決定しました。

■第18戦決勝

 三タテは⾷らうまいと、スタートから先⾏する今⽥選⼿に⾷い下がるDRAGON選⼿でしたが、今⽥選⼿もチャンピオンらしくミスのない⾛りで、つけ⼊る隙を与えることなくレースは進みました。1分48秒台前半のラップタイムで安定して⾛る今⽥選⼿は、終盤になってもペースを落とすことなく、フルプッシュしたままチェッカーを受け、最終⼤会を3連勝という最⾼のかたちで終えました。

 前に出るチャンスを⾒いだせなかったDRAGON選⼿は、最後は根負けしたようにやや引き離されてフィニッシュ。⼀⽮報いることはできませんでしたが、ファステストラップを僅差で奪い、意地を⾒せました。

4号⾞ドライバー 今⽥信宏選⼿コメント

「今シーズン序盤は、体⼒的にもかなりしんどかったです。特に暑いときのレースは倒れるかと思うほどでした。コースにもよりますが、SFライツはオジサンにはかなり厳しいカテゴリーであることは間違いないと思います」

「タイトル争いは、最終⼤会までDRAGON選⼿と2勝1敗のペースだったにもかかわらず、ファステストラップのポイントを奪われたりして、ポイント差はあまりついていなかったですね。シーズン前はもっと楽勝かなと思っていましたが、蓋を開けてみると最後までもつれてしまい、その意味でもしんどかったですね」

「来年は、ジェントルマンの参戦台数が増えるなら、引き続きやりたいと思っています。そのために、シーズンオフの間に⾝体のケアをしっかりして備えたいと思います」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ マスタークラスチャンピオンの今田信宏(JMS RACING with B-MAX)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第6大会もてぎ マスタークラスチャンピオンの今田信宏(JMS RACING with B-MAX)

30号⾞ドライバー DRAGON選⼿コメント

「今シーズンも、畑選⼿のスポット参戦はありましたが、ほとんどが今⽥選⼿との2台によるレースで、お互いに勝ったり負けたりがあって楽しむことができました」

「最終⼤会は⾃分なりに精⼀杯やりましたし、仕掛けるチャンスはあったとは思いますが、そこを巧みに今⽥選⼿に抑えられてしまいました。勝った今⽥選⼿が速かった、それに尽きると思います。素直に完敗です」


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