更新日: 2024.05.16 14:26
ブリヂストン TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2024 第1戦レースレポート
TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2024 第1戦 プロフェッショナルシリーズ
ディフェンディングチャンピオンの強さを見せた井口卓人 最終ラップ最終コーナー、奇跡の逆転劇で開幕戦を制す
開催場所:スポーツランドSUGO
開催日:2024年5月11日(土)〜2024年5月12日(日)
全8戦で競われるTOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup 2024シリーズが、5月11〜12日に宮城県のスポーツランドSUGOで開幕した。3シーズン目を迎えたGR86/BRZ Cupは、マシンもドライビングも熟成し、これまで以上の激しい戦いが期待される。
ここSUGOのコース前半は、アクセルを踏みながら走るリズミカルなコーナーが連続する。一方で、上りながら回る最終コーナーは、国内で最も横Gがかかると言われる。まさに典型的なテクニカルコースだ。それでいて、コース幅やランオフエリアは狭く、極めてチャレンジングな特性を持つ。
金曜日の午後に行われた専有走行では、気温が24度まで上がったにも関わらず、#123松井孝允(DL)が1分35秒401のトップタイムをマーク。非公式ながら、昨年#293岡本大地(ブリヂストン)が予選で記した1分35秒437のレコードタイムを上回ってきた。2番手は1分35秒490の#10菅波冬悟(DL)、そして3番手が1分35秒584の#7堤優威(ブリヂストン)だった。今回のエントリーは31台で、そのうち21台がブリヂストンのPOTENZA RE-09Dを装着する。
予選
土曜日のSUGOは、前日に増して天候に恵まれ、気温はさらに高くなっていた。これまでは前半と後半に分かれてアタックが行われることが多かったが、今回はほとんどのドライバーが計測開始と同時にコースイン。
ピットの待機場所が1コーナー寄りだったディフェンディングチャンピオンの#1井口卓人(ブリヂストン)、チームメイトの#87久保凜太郎(ブリヂストン)、#18中山雄一(ブリヂストン)、堤の順でアタックを開始する。
このなかで最初にトップに立ったのは、1分35秒495を記録した堤だったが、間もなく#504冨林勇佑(DL)が新たなレコードタイムとなる1分35分495を記録しトップに。さらに菅波と松井が2番手、3番手タイムを記録した。堤は走路外走行があったとして、先のタイムが抹消され、自身にも自覚があったことから、もう1周アタックするもタイヤはすでにピークを過ぎており、27番手につけるのが精いっぱいだった。
ブリヂストン勢の最上位となったのは井口で、1分35秒624のタイムで4番手に。これに1分35秒741の#121蒲生尚弥(ブリヂストン)が続き、8番手に中山、9番手に#160吉田広樹(ブリヂストン)、10番手に#700地頭所光(ブリヂストン)がつけていた。
予選4番手を獲得した#1井口卓人のコメント
「トップのタイムは正直見えない部分はありますが、ノーミスでうまくまとめられたと思います。フィーリングはとても良くて、タイヤの限界までうまく使えました。僕のなかではすごくいい感じで走れたと思います。相手は一発がいいですが、僕らはロングが悪くないので、諦めずに虎視眈々と上を狙いたいと思います」
決勝
直前に行われたクラブマンシリーズで赤旗が出され、中断があったため、当初の予定より10分遅れの10時50分からスタート進行が開始された。スタートを決めたのは2番グリッドの菅波で、ポールシッターの冨林をかわしてコーナーへのホールショットに成功。そして、この2台に続いたのが予選よりひとつポジションを上げた井口だった。
1周目を終えた時点で、菅波、冨林、井口、松井、蒲生、#80伊東黎明(DL)、そして中山の順になっており、この展開が4周目まで続いたが、真っ先に動いたのが井口だった。5周目の最終コーナーで並び、ストレートで冨林を抜いて2番手に浮上。
その間にトップ菅波がやや間隔を広げたものの、井口の勢いは止まらない。7周目にはコンマ3秒差にまで迫り、最終コーナーで菅波に迫っていく。何度もこのアクションを見せた井口ではあったが、抜き去るまでには至らず。そのときは最後の最後に訪れた。
最終ラップの最終コーナーで並んだ井口は、脱出スピードに優ったことで、ストレートでの一伸びにも優った。その差わずかコンマ053秒! コントロールラインに菅波より早く飛び込み、連覇へ弾みをつける今季1勝目を挙げた。
そして、その後方で気を吐いていたのが中山だ。あらかじめ後半勝負と考えて施していたセットが大成功。9周目に伊東を、11周目に蒲生を、いずれもヘアピンでかわして5番手に浮上。さらに12周目の最終コーナーで松井を抜いて、4位でチェッカーを受けていた。最終ラップには蒲生も松井を抜いて5位に。一方、後方からのスタートとなった堤は21位にこそ甘んじたものの、2周目にファステストラップを記録し、貴重な1ポイントを獲得していた。
第1戦ブロフェッショナルシリーズ決勝レースで優勝した#1井口卓人のコメント
「正直、こんなにうまくいくとは思いませんでした。菅波選手と1対1になってからレースを組み立てていって、最後の1周ぐらいで動いていければと思っていましたが、本当にそのとおりになりました」
「最後の最終コーナーで本当にうまく、偶然決まってギリギリで並んで、サイドスリップも使いながら、ちょっと伸びたので前に出られたのですが、あんなにうまくいくとは、自分でも『えっ!』って感じでした」
「タイヤは予想していたとおり最後まで落ちが少なくて、僕のクルマも去年からトラクションあるようにセットしていたので、その強みが決勝で出たと思います。最後まで保ってくれて、非常にいい印象でした。開幕戦から勝てて、かなり気持ちいいですね。次もこの調子でいきたいです!」