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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.07.22 14:09

B-Max Racing Team 2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 レースレポート

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国内レース他 | B-Max Racing Team 2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 レースレポート

苦戦した富士大会、木村選手は王座獲得に向けポイントを重ねる

 B-Max Racing Team(チーム総代表・SFL チーム代表 組田龍司)は、7月15~16日、富士スピードウェイで行われた全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第10~12戦に参戦し、チームとしては苦戦する場面が多かったものの、木村偉織選手が闘志溢れる走りで、逆転でのチャンピオン獲得に向け確実にポイントを重ねました。

 マスタークラスは、前大会欠場の今田信宏選手が3連勝。DRAGON選手とのポイント差を13にまで開きました。

■第10,11戦予選(7月15日(土)8時20分~8時50分)
天候:曇り、コース:ドライ、気温:26 度、路面温度:27度

 雲が多いもののコースは完全ドライ。気温も26度とさほど高くないコンディションのなか予選がスタートしました。木、金曜日に行われた専有走行では、B-Max勢は好調とは言えない状況でしたので、やや不安を抱えての予選となりました。

 第10戦の予選は、トムス勢が34秒台前半をマークして先行し、B-Maxの各車が渾身のアタックでこれに食い下がりました。しかし、チームの最上位は、前回に続く代役参戦で53号車を駆る菅波選手の6位。木村選手7位、フラガ選手9位、ヴィダーレス選手は走路外走行でベストタイムが抹消となり12位という結果でした。

 第11戦の予選は、早めにアタックを行った木村選手が、連続アタックにより着実にタイムを縮め2位と挽回しました。しかし、他の選手は大幅なタイムアップは果たせず、菅波選手6位、ヴィダーレス選手8位、フラガ選手9位でした。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 第10、11戦予選
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 第10、11戦予選

■第10戦決勝(7月15日(土)13時5分~21周)
天候:曇り、コース:ドライ、気温:26度、路面温度:31度

 朝からのどんよりした天候は、スタート時刻が近づいても変わることなく、予想よりも過ごしやすい天候のもと決勝がスタートしました。

 4番グリッドの古谷選手がスタートで大きく遅れたことで、B-Maxの各選手はひとつずつポジションを上げますが、その後は縦に長い展開となりました。5位菅波選手、6位木村選手、8位フラガ選手、9位ヴィダーレス選手の順で、周回を重ねますが、7周目、ペースの上がらないヴィダーレス選手は、追い上げてきた古谷選手に抜かれると、ピットに入ってレースを終えました。

 13周目、菅波選手を追う木村選手が、1分35秒478と自身のベストラップを更新して少しその差を詰めましたが、ふたりペースはほぼ変わらず、その後は一定の間隔を保ったまま5位、6位でチェッカーを受け、揃ってポイントを獲得しました。フラガ選手は終盤まで古谷選手を巧みに抑え込んでいましたが、20周目に前に出られてしまい9位でフィニッシュしました。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 菅波冬悟(A-NeKT with B-MAX 320)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 菅波冬悟(A-NeKT with B-MAX 320)

■第11戦決勝(7月16日(日)8時20分~15周)
天候:曇り、コース:ドライ、気温:26度、路面温度:29度

 スタートでは前に出られなかったものの、木村選手はトップの平良選手の背後につけチャンスを窺います。ふたりが交互にファステストタイムをマークしながら、後続を引き離し迎えた10周目、ここが勝負と見た木村選手は、1コーナーのアウト側から平良選手に並ぶと、そのままコカ・コーラコーナー、グリーンファイト100Rまで並走し、アドバンコーナーで平良選手を攻略。

 手に汗握る攻防の末、ついにトップに躍り出ると、残り周回を逃げ切って歓喜の逆転優勝……のはずでしたが、木村選手にはレース後に蛇行運転をしたとして+5秒のペナルティが課されることになり、優勝は幻となってしまいました。平良選手も走路外走行で+5秒、3位フィニッシュのトゥルーリ選手も車重が足りずに失格となりました。

 また、1周目に順位を上げ、5位でフィニッシュしたヴィダーレス選手も、7周目の古谷選手との接触が危険行為と判定され+30秒のペナルティと、レース後に大きく順位が入れ替わる結果となりました。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)

■第12戦決勝(7月16日(日)16時35分~15周)
天候:曇り、コース:ドライ、気温:25度、路面温度:30度

 チャンピオン争いで遅れを取らないために、上位フィニッシュが必須の木村選手は、6番グリッドから1周目4位、6周目3位と着実にポジションアップ。

 さらに、チャンピオンを争う2位の平良選手を追い上げ、8周目に1.8秒あった差を、残り1周の時点で0.6秒にまで縮め3位フィニッシュ。ファステストラップも記録して、シリーズリーダー平良選手とのポイント差を射程圏内の7ポイントにとどめました。

 スポット参戦ながら堅実な走りを見せた菅波選手は5位。この週末苦戦を強いられたフラガ選手は8位、歯車の噛み合わないレースが続いているヴィダーレス選手は10位でした。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 イゴール・オオムラ・フラガ(FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAX)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 イゴール・オオムラ・フラガ(FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAX)

■50、51号車チーム監督 高木真一 コメント

「偉織選手は、予選1回目は前大会同様、上手くいきませんでした。クルマが路面状況に合っていなかった部分はありましたが、1回目の予選は非常に重要ですので、これは次に向けての課題です。2回目はきちんとアジャストできて良かったと思います」

「第10戦の決勝は7番手から堅実に走ってポイント獲得できました。第11戦は落とせないレースでしたが、前車に近づくことができるセットアップを施して、平良選手と非常に良いバトルを繰り広げることができました」

「ペナルティで2位になりましたが、これはチームもドライバーも、ルールを厳格に運用できなかったことを大いに反省しなければなりません。第12戦は冷静にポジションを上げて3位を得ましたが、優勝に匹敵する価値のある内容だったと思います」

「デビッド選手は、第10戦の接触によるペナルティで流れをつくり損ねてしまった感じです。予選結果を踏まえ、3レースを如何に組み立てるかをイメージして、レースに臨むことが必要です」

「今回、大津選手が急きょSFに参戦することになって、アドバイザー不在となってしまったのも影響したかもしれません。シリーズも終盤に入りますが、次の岡山では立て直してくれると思います」

■52号車チーム監督 松浦孝亮 コメント

「予選、決勝ともに、セクター2はトップと同等の速さを見せることができましたが、セクター3で好タイムを刻むことができずに遅れをとってしまいました。この週末はそこがすべてだったように思います」

「セットアップをいろいろ変えましたが、ドライバーのフィーリングが良くなってもタイムには結びつかず、迷路から抜け出せなかったという感じでした。やはり、特性の異なるセクションを持つ富士では、ドライバーが1周に渡って攻めきることのできるセットアップ、そしてドライビングについても工夫が必要だと思います」

「次戦はタイプの違う岡山ですので、予選で上位に入って、表彰台圏内でレースを進められるよう準備したいと思います」

■50号車ドライバー 木村偉織選手 コメント

「この週末は、専有走行からあまりペースが良くありませんでした。新しいヨコハマタイヤも去年のものとはフィーリングが違う部分があって、それに対するセットアップやドライビング面での対応が、ライバルチームに対して遅れてしまっていたように思います」

「ただ、レース2、レース3では、かなり良いセットアップも見つかり、レース内容も納得できるものでしたので、次の岡山に向けて非常に手応えを感じる終わり方ができました」

「シリーズを勝ち抜くためには、個人としてはもちろんですが、チームとしてももっとレベルアップをしなければならないと感じました。ポイント差は最小限に抑えることができましたので、残る6レースでベストを尽くします」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 木村偉織(HFDP WITH B-MAX RACING)

■51号車ドライバー デビッド・ヴィダーレス選手 コメント

「結果だけ見ると難しい週末でした。以前からクルマのバランスが悪かったので、佐々木選手にもチェックしてもらい、金曜日にシャシーを交換しました」

「ただ、交換後もすぐにすべてを上手く機能させることは簡単ではありませんので、予選では十分なパフォーマンスを発揮することができませんでした。後方グリッドからのスタートでは結果は望めませんでしたが、決勝のペースが良かったことは明るい材料です。ようやく勝負できるクルマになりましたので、次の岡山に向け最大限の努力をします」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 デビッド・ビダーレス(B-MAX RACING 320)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 デビッド・ビダーレス(B-MAX RACING 320)

■52号車ドライバー イゴール・オオムラ・フラガ選手 コメント

「今大会は、専有走行からリアのグリップ不足に悩んでいて、特に中低速コーナーの続くセクター3でタイム差が生じていました。この改善ができないままに予選を迎えることになり、上位グリッドを得ることはできませんでした」

「最後のレースは、リアのセットをガラッと変えて臨みましたが、やはりその差は変わりませんでした。今大会は、唯一レース2で4位を得たことがポジティブな出来事でした。次の岡山大会も中低速のコーナーが多いので、今回の課題を解決して臨みたいと思います」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 イゴール・オオムラ・フラガ(FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAX)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 イゴール・オオムラ・フラガ(FANATEC-GRAN TURISMO with B-MAX)

■53号車ドライバー 菅波冬悟選手コメント

「鈴鹿大会に続いてのスポット参戦になりましたが、まずは参戦できたことを感謝しています。今回は前回と同等の成績を通常のコンディションのなかで獲得すること、そしてトムス勢の前でフィニッシュしてチームに貢献することを心掛けて臨みました」

「予選、決勝と思い描いたような結果ではありませんでしたので、不完全燃焼というのが正直なところです。とはいえ、レース1と3は現状のなかでやり切った感があるので、ベースとなる部分……クルマを仕上げる能力やコンディションに適応したドライビングなどについて、もっと力をつけないといけないと感じました。ただ、自分自身、成長は実感していますので、また参戦のチャンスをいただけるよう頑張ります」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 菅波冬悟(A-NeKT with B-MAX 320)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 菅波冬悟(A-NeKT with B-MAX 320)

■マスタークラス

■第10,11戦予選

 前大会欠場の今田選手が戻り、今回は畑選手が欠場したことで、予選からチャンピオンを争う今田選手とDRAGON選手の一騎討ちとなりました。

 第10戦は、DRAGON選手が連続アタックで1分36秒285、今田選手は3ラップ連続でアタックして1分36秒229を叩き出し、僅差ながら今田選手に軍配が上がりました。

 第11戦は、両者ともに同様の連続アタックでタイムアップ。今田選手が1分35秒台に入れて、DRAGON選手を突き放す結果になりました。

■第10戦決勝

 スタートでDRAGON選手が前に出ますが、2周目に今田選手がクラストップの座を奪い返し、5周目まで両者はテール・トゥ・ノーズの攻防を見せました。その後は今田選手が少しずつ差を開き、10周目には2.8秒のリードを築きました。

 とはいえ、今田選手も必死に逃げており、11周目には走路外走行が複数回あったとして、警告の黒白旗が提示されました。それでも最後まで今田選手はペースを落とすことなく、最終的にDRAGON選手に4秒の差をつけてフィニッシュしました。

■第11戦決勝

 今田選手は不調だったエンジンを交換したことで、最後尾からのスタートとなりましたが、1周目にクラストップに立ち、逃げの態勢を築こうとDRAGON選手を引き離しにかかります。

 しかし、第10戦とは異なり、DRAGON選手は今田選手の背後にぴたりとつけ、6周目のTGRコーナーではインから前に出ようと試みるなど、緊迫した状態のままレースは進みました。結局、最後まで両者ともにミスを犯すことなく、僅差のままチェッカーを迎えますが、ファステストはDRAGON選手が奪いました。

■第12戦決勝

 レース序盤、両者は前2戦よりさらに白熱した戦いを見せ、3周目のTGRコーナーでDRAGON選手が先行する今田選手を抜くと、7周目には今田選手が再逆転するなど、スタートから激しく競り合いました。
 8周目以降は、速さに勝る今田選手が差を広げ、この週末3勝目、今季通算6勝目のチェッカーを受けました。

 この結果、今田選手89ポイント、DRAGON選手76ポイントとなり、マスタークラスのタイトル争いは、次の岡山大会が天王山になりそうな気配です。

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 DRAGON(TEAM DRAGON B-MAX 320)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 DRAGON(TEAM DRAGON B-MAX 320)

■4号車ドライバー 今田信宏選手コメント

「狙いどおり3勝できて良かったです。できることならレース2のファステストも欲しかったですね。でも、DRAGON選手が、同じ条件で勝負をするために、前回の鈴鹿大会を総合クラスで参戦してくれましたので、それに対する自分なりの恩返しとして、今大会は最後まで精一杯出し切りました」

「とはいえ、少しでも気を抜くとDRAGON選手にやられてしまいますので、最後まで一切手抜きはできないというのが実情です(笑)」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 今田信宏(JMS RACING with B-MAX)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 今田信宏(JMS RACING with B-MAX)

■30号車ドライバー DRAGON選手コメント

「自分としてもやり切ったレースでした。今田選手に少しずつ負けている部分があって、それが結果に表れたということです。抜きつ抜かれつの場面もありましたし、お互いに楽しんでレースができていますので、これがジェントルマンレースのあるべき姿だと思います。もちろん、楽しさのなかには、悔しさもあるわけですので、次の岡山ではやり返そうと思っています」

2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 DRAGON(TEAM DRAGON B-MAX 320)
2023スーパーフォーミュラ・ライツ第4大会 DRAGON(TEAM DRAGON B-MAX 320)


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