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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.08.03 20:50
更新日: 2023.08.03 20:51

apr 2023スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート

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国内レース他 | apr 2023スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート

ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 第4戦
Supported by BRIGESTONE
開催地:オートポリス(大分県)/4.674km
7月29日(予選)
天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:2700人
7月30日(決勝)
天候:曇りのち晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:4200人

表彰台、いや今回も優勝も見えていた。なのに、またもトラブルに見舞われ…

 2023年、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、aprは引き続きFIA-GT3によって争われるST-Xクラスに臨む。4シーズン目となる『DENSO LEXUS RC F GT3』をドライブするのは、新たに加わった永井宏明選手、そして小高一斗選手と嵯峨宏紀選手だ。

 オートポリスが舞台のシリーズ第4戦は1グループ開催に戻され、5時間レースとして競われる。アップダウンに富んだテクニカルコースは、特に上りの後半区間、セクター3でタイヤをひどく痛めつけることで知られている。スピードもさることながら、タイヤマネージメントも他のサーキット以上に重視される戦いになろう。

 前回のスポーツランドSUGOでは、『DENSO LEXUS RC F GT3』として2年ぶり、2回目のポールポジションを獲得。TEAMとドライバーの努力からセットアップも順調に進み、一発だけでなくコンスタントな速さを身につけていた。スタートから間もなくトップは明け渡したものの、展開としては順調。

 終盤にはトップに立つ、そう誰もが確信した直後にミッショントラブルが発生し、チェッカーを受けるだけのレースになってしまった。

 だが、前回からコントロールタイヤがすべてブリヂストンに代わり、スーパーGTでも使用するアドバンテージは確実にあった。手応えはある、勝つことに! まさに初優勝を目指す戦いが、ここにある。

公式予選 7月29日(土)13:45~

 オートポリスといえば、晴れれば周辺を緑が囲む、牧歌的な印象だろうが、それ以上に雨か霧、という印象が強いのではないか。山中に位置するサーキットで、その標高は800m。霧と言われるのは実際には雲だとされ、そのぐらい悪天候に見舞われやすい。

 しかし、九州北部は全国で最も遅く梅雨明けしたばかり。練習走行を行なった木曜日、金曜日は雨を心配することなく周回を重ねられた。しかし、セッションごとタイムは詰まっていくのだが、トップとの差は決して小さくはなく……。

 何か光明を見出そうとなると、Aドライバー同士の比較では永井選手が引けをとっていないこと。そのため、普段よりも入念にミーティングしセットをバックデーターに戻した後、予選に臨むこととなった。

 まずAドライバー予選において、しっかりクリアラップを取るべく、永井選手はすぐにコースインせず、2分経過してから走行を開始。高い温度に対し、計測1周目からアタックし、1分51秒121をマークし、そのタイミングでのトップに。

 さらにもう1周アタックするも、これは1分51秒147で、わずかながらも短縮ならず。その間に2名のドライバーが永井選手のタイムを上回ってきたため、3番手となった。永井選手からのインフォメーションを受け、Bドライバー予選までの1時間にも満たないインターバルでセットをアジャスト。

 やはり小高選手もすぐにはコースインせず、ほぼ折り返しのタイミングから走行を開始する。ワンアタックに賭けて1分48秒901までタイムを絞り取ってきた小高選手だったが、結果は3番手。合算タイムにおいても、『DENSO LEXUS RC F GT3』は3番手となった。

 Cドライバー予選では、決勝レース想定のセットに改め、嵯峨選手がユーズドタイヤの満タンで走行。1分53秒726のタイムは、決勝ペースに自信が持てる内容であった。

●永井宏明選手

「持ち込みから苦労して、気持ち良く走れるセットにちょっとずつ近づけていったんですけど、予選に合わせたセットが機能せず、アンダーステアがきつく僕のタイムは伸び悩みという形になってしまいました」

「それを受けて、小高くんのところではセットを変更していったんですけど、それでもポールには届かなかったので、決勝に向けてもう一回考えて。よりペースが上がるような方向性を探っていきたいと思います。まだ見えていませんけど、なんとか頑張ります。色々分析すれば、何か鍵があると思いますので」

●小高一斗選手

「永井選手の後でアジャストして、気持ちよくアタックできました。悪くはなかったですね。ベンツの2台に勝てTURBO車両のGT-R2台に負けましたが高地でNAエンジンには不利な事を加味しても、順位としても、タイムとしても、あんなに出るとは思いませんでしたから満足。練習走行から車をいろいろ変えて、まだ完全に決まったという感じではないですけど」

「いろいろやったので、練習で。決勝に向けて最後にもう一回チェックする時間があるので、明日は。タイヤに厳しいサーキットですし、ロングランに向いた車に煮詰めたいです。今年は、まともに決勝レースができていないんで、ちゃんと表彰台争い、トップ争いできるよう頑張ります」

●嵯峨宏紀選手

「レース向けたテストを主体に走行していましたが、今週ちょっと持ち込みのセットを外したところがあって、若干出遅れたところがあったので、その結果が予選に反映されてしまったかな、という感じですね」

「でも、そうは言いながら、間違った部分はこうだろうなっていうのは分かっていて、それを修正する方向にしていたんですけど、ここが持ち込みセットだったらよかったのにね、っていうところで終わっちゃっているので……。チームとミーティングして、良い状況を作れればと思っています」

●金曽裕人監督

「SUGOよりも速くしたいと、良かれと思って持ち込んだんですが、机上の理論で終わってしまいました。やってきたことに対して、何が問題かが分からず時間がかかって、金曜日の時間を無駄に費やしてしまい予選に響きました」

「SUGOのデータを解析しドライバー、エンジニアと方向性を定めて持ち込んだつもりでしたが、思いのほか難しい領域だったというのが現状です。トライしたことに関して、そっちはないんだなというのが分かってよかったというのはありましたが、時間の使い方に対して、非常に反省しています」

「本当はもっとパフォーマンス上げられたはず。明日は決勝に車をいかに合わせ込めるかというのを努力します。明日のウォームアップで確認です!」

2023スーパー耐久第4戦オートポリス DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)
2023スーパー耐久第4戦オートポリス DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)

決勝レース 7月30日(日)11:00~

 このレースウィークは雨に見舞われずに済む……、そんな予想は打ち砕かれてしまった。日曜日は早朝から雨が降り、ウォームアップ時の路面を濡らしていたからだ。ここで本来ならば、決勝セットの確認が行われるはずだったが、ウェットタイヤでなければ走れず、開始からしばらくは水しぶきも上がっていたほど。ウェットセットへの変更も必要かと思われたが、途中で雨はやんでしまう。

 その後、セレモニーが行われている間に路面は乾いていき、結局ドライタイヤを全車が装着するまでとなった。ただ、最終確認ができなかったのは事実。そのあたりに一抹の不安を残してはいた。

 今回もスタートを担当するのは永井選手。ST-Xクラス6台のうち、4台が第1スティントにプロを充ててきた。今回の決勝は、1グループ開催の5時間レース。ドライバー交代を伴うピットストップの義務づけは3回で、Aドライバーには75分間の走行義務がある。

 タイヤの温まり時間に差があることもあり、オープニングラップのうちに5番手に後退した『DENSO LEXUS RC F GT3』ながら、これは想定内。いかに前を行く車両に離されず、後続の1台を離すか。そのテーマの下、永井選手は安定の走りを見せた。

 そして5番手をしっかり守り抜いたまま1時間15分経過した、38周目に小高選手にバトンタッチ。第2スティントは逆にAドライバーが大半を占めただけに、小高選手はどんどん前を行く車両に迫っていく。

 58周目にまず1台を、そして68周目にもう1台抜いて3番手に。まだ止まらない。72周目には2番手に躍り出る。そして、その時点でのトップとの差は、ほぼ30秒。これすらも詰めていき、あと12秒となったが、惜しくもタイムアップでピットイン。

 80周目からは嵯峨選手の番、2番手のままコースに復帰する。トップとのタイム差も縮まり、後方もじわじわと引き離しにかかり始めた。ところが、『DENSO LEXUS RC F GT3』は88周目に突然ピットに戻ってくる! ステアリング系統にトラブルが発生し、コースアウトしてしまったのだ。

 ピットでの修復を余儀なくされる間に、あと一歩だったトップ争いからは脱落。復帰なった後は、完走に向け淡々と周回がこなされていった。

 122周目からは再び小高選手が乗り込むも、いったんガレージに入れられる一幕が。もちろん、これは一大事ではなく、次回のレースを見越したセット変更を行うため。トップから9周遅れの6位ながら、完走を果たすこととなった。

 昨年までとは違い、総合的にも大幅に戦闘力があがり優勝が見える速さを見せながら、今年はどうにも流れが悪い。しかし七転び八起きの精神で、モビリティリゾートもてぎで9月2~3日に行われるシリーズ第5戦こそ、必勝体制で臨む。苦しんだ分だけ、勝った時の喜びは増すはずだ!

●永井宏明選手

「決勝前に雨天の情報もあり、WETセットそのままでスタートしたので、アンダーステアがきつく、セクター3でかなり苦戦しました。もっと速いペースで走れたはずなので非常に消化不良です」

「トラブルに関しては、表彰台は確実な展開だったので勿体ないとしか言えず。次回の茂木はRC-Fでは走ったっ事が無いので、どうなるかは分かりませんが、先ずはキッチリ走り切り結果を出したいですね」

●小高一斗選手

「僕の最初のスティントではトップとのギャップを詰めつつ、2番手まで追い上げられて、その後に嵯峨さんと僕とでどこまで詰められるかっていうレースだったと思いますが、う~ん。その後にトラブル起きちゃったので、何とも言えないですけど、今回もレースウィークの始まりから車のセットでバタバタしていて、まったく時間の使い方がうまくいかなかったので、まずそういうところを強く改善しないといけない」

「車をセットするにも、速かった状態からやり過ぎて、それが良くなってるか駄目なのか、そのへんの正確性に欠けているような感じで。もっとドライバーとエンジニアのコミュニケーションを、しっかりやらないとダメですね。永井さんが加わってから、本当ならば毎回表彰台に登っていると思うし、勝てそうなシチュエーションはあるので、残り3戦、いい結果が出せるように頑張ります」

●嵯峨宏紀選手

「どうも僕の乗っている時にトラブルが起きちゃいますね。なんででしょう? 速いマシンを作れてはいますが、結果につながらないもどかしさがあって。やっぱりタイヤが変わって、グリップも上がって、車としても良くなってきて、シャシーのいろんなところに負担がかかっているのかな、そんな気がしますね」

「ブリヂストンとの相性も良く速さはかなり出てきました。間違った方向には行ってないと思います。今年は2戦目で突然のエンジン失速や3戦目でミッショントラブル、そして今回はステアリング系と優勝を3回逃した気がして悔しいです。もう次に向けて……ていうのを言いたくありません。次で何とかしたいです」

●金曽裕人監督

「ステアリングまわりのトラブルで、またもや優勝を逃してしまいました。昨年より足のセットも決まって、車のパフォーマンスもどんどん上がっていったことで、縁石も積極的に使えるようになりましたが、想定以上の高負荷からなのか、外的衝撃があってなのか、ファクトリーに帰ってから詳細を解析します」

「トラブルを出してしまったのは事実、優勝をまたも逃したのも事実。誰よりも勝ちたく、誰よりも悔しく、誰よりも責任を感じ反省しています。何が対策になるのか考えていきます」

「最後のスティントは順位も変わらないので、小高選手にてセットアップの方向性をまた試せましたし、収穫は得られましたが、あくまで優勝を目標に来ていて、ドライバーも精一杯走ってくれたし、レース展開も悪くなかったし、これは行けるという速さもある、ここ3戦だけに、本当に残念です。うまく噛み合わないところを噛み合わせていって、次は絶対勝ちます!」

2023スーパー耐久第4戦オートポリス DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)
2023スーパー耐久第4戦オートポリス DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)


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