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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.09.06 18:40
更新日: 2023.09.06 18:45

apr 2023スーパー耐久第5戦もてぎ レースレポート

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国内レース他 | apr 2023スーパー耐久第5戦もてぎ レースレポート

ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE
第5戦もてぎ(5hレース)
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県)/4.801km
9月2日(予選)
天候:晴れ/コースコンディション:ドライ/観客数:2000人
9月3日(決勝)
天候:晴れ/コースコンディション:ドライ/観客数:3700人

DENSO LEXUS RC F GT3がポール・トゥ・ウィンで、悲願の初優勝飾る!

 2023年、全7戦で争われるスーパー耐久シリーズに、aprは引き続きFIA-GT3によって争われるST-Xクラスに臨む。4シーズン目となるDENSO LEXUS RC F GT3をドライブするのは、新たに加わった永井宏明選手、そして小高一斗選手と嵯峨宏紀選手だ。

 モビリティリゾートもてぎを舞台とするシリーズ第5戦は、1グループ開催の5時間レースとして競われる。ストップ&ゴーの繰り返されるコースレイアウトは、特にブレーキを酷使することで知られている。9月に入っても猛暑が続くだけに、決勝におけるブレーキのマネージメントは、勝敗の鍵を大きく握る。

 前回のオートポリスでは予選で3番手を獲得。スタートドライバーを務めた永井選手が、プロドライバーを相手に一歩も引かぬ走りを見せると、交代した小高選手がトップにあと一歩まで迫るまでに。嵯峨選手にも激走が期待されたが、交代してわずか8周でステアリング系統のトラブルが発生。ピットでの長い修復を余儀なくされたが、完走だけは果たすことができた。

 戦列復帰後には、今回のレースに向けたテストも兼ねて走行。そこから活かされることは、間違いなくあるはずだ。今や結果への渇望感は頂点にも達している。解放の時は、今だ!

公式予選9月2日(土)13:29〜

 今回は木曜日からサーキット入りして、走行を金曜から開始。まずは小高選手から走り始め、早々とセッションベストとなる1分57秒501を記録した後は、永井選手、嵯峨選手の順でロングをかけて、決勝に向けた強さの磨き上げが進められていく。午後からの全クラス混走のセッションでも、決勝に向けたセットアップを進め、小高選手が1分56秒387を、そして永井選手が1分57秒217を記すまでとしていた。

 ただし、どのチームにも当てはまることだが、気温、路面温度ともに高過ぎて、路面状態が絶えず変化していたことに対し、不安がなかったと言ったら嘘になる。いかに温度レンジの広いブリヂストンのタイヤといえど、限界近くに達しているのは明らかだ。だが、スーパーGTでタイヤの特性を、ST-Xクラスのどのチームより理解しているという自負もある。そのことが、後々の展開の伏線ともなっていった。

 土曜日午前のウォームアップでもセットアップは続き、ここでは永井選手から走行。しばらく1分59秒台で走り続けていたが、セットを大胆に改めた後、小高選手が確認を兼ねて1周だけ走ると1分58秒017をマーク。その状態で再びDENSO LEXUS RC F GT3に乗り込んだ永井選手は一気に1分56秒724にまでタイムアップを果たす。続いて走行の嵯峨選手も、1分57秒913を記していた。

 そして迎えた予選では、まず永井選手がAドライバー予選に臨んだ。曇りというまでではないが、上空にはいわゆる“夏の雲”が浮かんで、やや強い日差しを遮ってくれた感も。コンディションの向上は、先に行われたグループ2で全体的にタイムアップしていることからも明らかだ。まさに自信を持って挑んだ、永井選手のアタックは計測2周目から。すると1分55秒689をマークして、いきなり3番手に! 

これで走行を終えるかと思われたが、次の周は2分10秒台のスローペースで戻ってくる。一瞬、トラブルがよぎったものの、そこには永井選手の狙いがあった。計測4周目のアタックも不発に終わるも、さらにタイムを詰めようとしていたのだ。永井選手も3番手となるが、合算タイムではなんとトップとなり、第3戦SUGO以来となるポールポジションを獲得した。

 Cドライバー予選では嵯峨選手がユーズドタイヤで決勝セットの確認を行い、1分58秒173を記録し万全の構えとした。

永井宏明選手

「良かったと思います。なんとかうまくまとめることができたので、小高くんにつなげて。小高くんがいい走りをしてくれたので、ポールポジションが取れました、ありがとうございます。(計測3周目のスローダウンは)ちょっと内圧が高くなり過ぎて、もう一度アタックするのに内圧下げようとクールダウンしていたんですが、ちょっと合わせきれなかったですね。うまくいっていれば、もう少しタイムは出たかもしれないですが、タラレバですけど。クルマはだいぶ乗りやすいバランスになったと思います」

小高一斗選手

「総合でトップになれたので、良かったです。個人的には3番手なので(苦笑)。今年2回目、SUGO以来のポールなんですね。このところ、ちょっと決勝であんまり結果が出ていないので、今回こそ結果を出せるように頑張ります」

嵯峨宏紀選手

「とりあえず大きなトラブルなく、レースウイークはうまくまとまっていると思います。基本的にロングラン担当をやってますが、比較的RC Fはこのコースを苦手としている中で、できることをやりながら、まとめているような感じで。データを見ていても基本的に悪くはないと思うので、このままの流れで明日を。前回、トラブルで落としているので、今回はトラブルなく終わってくれたらいいな、って思っています」

金曽裕人監督

「もてぎでポールが獲れるなんて、そもそも夢にも思っていませんでした。ここはミッドシップの方が速いし、やっぱりオールマイティなメルセデスが速いし、そうは言いながら過給機のついているGT-Rが速いというのが定番で、実は僕らは決勝で前に行くことしか考えていませんでした。それを目指してセットアップを進めてきたわけですが、実際のところで言うと、ポールポジションは獲れたけれど、Aドライバー、Bドライバーともトップとの差が少なかっただけ。本当の速さで言ったら、まだまだまわりの方が速くて、これが5時間走ったらどうなるかという不安要素も確かにあります。でもドライバーが粒揃いというのが我々の強みなので、ドライバーのアベレージで上に持っていきたい。さらにRC Fとブリヂストンタイヤのマッチングも良くなってきて、やっとチームも歯車が合い始めているので、歯車を欠けさせることのないよう、明日は気を引き締めていきます。とりあえず良かったです!」

2023スーパー耐久第5戦もてぎ DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)
2023スーパー耐久第5戦もてぎ DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)

決勝レース9月3日(日)11:10〜

 朝から行われたピットウォークの後に15分間のウォームアップが設けられたが、これを永井選手は2周で走行を終了。確かな手応えをつかんでいたからだ。今回もスタートを担当するのは、その永井選手。自身は決勝がスタートすると、確信に変わった。鋭いダッシュを決め、1コーナーへのホールショットに成功。1周目を終えると、早くも2番手に1秒2の差をつけた。このリードが6周目には3秒2にまで広がるが、プロドライバーが2番手に上がると、そこは完全に意地を見せてきた。

 徐々に差を詰め、14周目には背後に迫られるも、永井選手はすんなり道を開けず。この後に構えるチームメイトのために必死の抵抗を見せ、18周目までトップを守り抜く。20周目には3番手に退くも、トップを射程圏内に留めたのは作戦どおり。Aドライバーに義務づけられた走行時間、75分を満たした38周目に上位3台が同時にピットイン。交代した小高選手はわずか4周で2番手に浮上し、その時点で25秒ほどの差はあり、相手もプロではあったが、じわりじわりと差を詰めていく。7秒を切ったところでトップはピットイン、これでDENSO LEXUS RC F GT3はトップに返り咲く。

 スタートから2時間34分経過した76周目に、小高選手から嵯峨選手に交代。ピットロードを後にした瞬間にトップを奪われるも、S字で早くも逆転する。そこから後続を引き離し続け、ほぼ50秒のマージンを小高選手に渡す。残り1時間12分、112周目からゴールまで突き進むのみ。嵯峨選手の冴えた走りが蘇ったのも、嬉しい限りだ。

 これだけのマージンがあれば、もう小高選手は無理をする必要もない。抑えて走っても差は一向に縮まらず。最終的に48秒もの大差をつけて圧勝。aprがDENSO LEXUS RC F GT3を走らせて3年半、マシンそのものがスーパー耐久にデビューして以来、実に6年半にして待望の初優勝を飾った。

 続くシリーズ第6戦は、岡山国際サーキットで10月21〜22日に行われる。これでランキングは3位に浮上、しかもトップとの差はわずか15ポイントに! 初優勝の感動を味わったからには、今度はシリーズランキングでの感動を目指していく。

永井宏明選手

「ありがとうございます。RC Fで勝ちました、祈願でしたし、やっとです! 本当にペース良く走れたので、もっと苦労するかと思いましたが、ペース落とさず走ることができました。後ろのドライバーふたりも、すごくいい走りをしてくれて、やっぱり頼りになるふたりだと思いました。本当にゴールまで、みんなでハラハラしながら応援していましたけど、チームもミスなく、すごく嚙み合ってきましたし頑張ってくれ、勝利に向けて全部揃ったなっていう、そんな思いですね。最終戦まで、このいい流れを持っていきたいです」

小高一斗選手

「スタートから、永井選手のスティントから展開がすごく良くて、快走からできたマージンは最後の僕のスティントまで2番手と差の開いた状態。監督の作戦もセットも良かったし、さらに今回はピットでもミスなく、マシントラブルなく終われたので良かったです。チームは体制やオペレーションを変えてすごく雰囲気も良くなり、勝つための意識の強さを感じられました。S耐でもGTでも今年勝てそうなレースが数回あったのに、全部落としてしまったのを、うまく取り返しました。やっと本来の、チーム実力を出しきれたと思います。これでGTも含め、流れが変わっていければと思っています」

嵯峨宏紀選手

「最初のスティントで、永井選手が40分以上1番手で居続けてくれたのが大きかったと思います。僕のスティントはその貯金で淡々と、一斗につなぐだけという状態だったので、すごく楽をさせてもらいました。これまでチームの統制感も曖昧で、マシンだけが速くなってきても勝てないし最後の一歩がなかなか乗り越えられずに居ましたが、チーム体制を見直した結果、チームも今回は何事もなく。僕らのペースがすごく速かったというわけではなく、3人のペースが平均して良かったから、勝てたと思っています。RC Fはもてぎを得意としていなかったのに勝てたことによって、もう一歩上のステージに行くことができたかな? RC FがS耐初勝利ということで、歴史の一歩を刻むことができたのは、自分にとっても価値のあることだと思っています」

金曽裕人監督

「いつでも勝てる状態だったのを、ここ数戦チームのエラーで取りこぼしていました。それに対して、TCDの信頼できる旧友からオペレーションの不備を指摘いただいたり、セットアップの指摘をいただいたりと、この間、関係者の皆様が力を貸してくださった。ブリヂストンタイヤを我々がいちばん知っているのに、うまくそこに行けないのが、心の底から悔しかった、パッケージが揃っているのに結果が出ないし、ドライバーも一生懸命やっているのに、何かが噛み合わない。それがGTも含めてaprにはここ数年あったので、今日これでひとつ明るい方向に進めばと思っています」

「レクサスの首脳陣からRC Fを託され3年半、なかなか勝てずに心から申し訳なく感じていました。言い訳に聞こえますが、海外製タイヤはRC Fには合っておらず、僕の能力ではセットアップを出し切れませんでした。そのような状況下、今年途中からハイパフォーマンスのブリヂストンタイヤに変更となった瞬間に『絶対、RC Fのもんや』って思っていたのに、ここ3戦うまく結果が出せなかった。チームをまとめ切れていなかった自分が一番の責任を感じていましたし悔しさも一番でした。だから、勝つべくして勝てるレースに、全員ミスせずに本気で勝ちに行けたことが今回の勝因でしたし、今後もこの流れで、連勝も行けると思います。だから、『勝ち癖と波がこっちに来たぞ』という感じ。本日をもってチームの目標は初優勝からチャンピオン獲得に切り替えます!」

2023スーパー耐久第5戦もてぎ DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)
2023スーパー耐久第5戦もてぎ DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀)


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