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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.09.13 17:37

KTMS 2023スーパー耐久第5戦もてぎレースレポート

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国内レース他 | KTMS 2023スーパー耐久第5戦もてぎレースレポート

KTMS KOBE TOYOPET MOTOR SPORTS

ENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE
第5戦 もてぎスーパー耐久 5Hours Race

2023年9月2日(土)〜9月3日(日)
モビリティリゾートもてぎ(栃木県)
入場者数:
9月2日 2,000人
9月3日 3,700人

今季初完走が初優勝に!
チームのたゆまぬ努力が結実

FREE PRACTICE
 今季、第2戦以降鮮烈なスピードをみせながら、第1戦からことごとくトラブルに泣かされ、レースを失ってしまっているKTMS。迎えた第5戦の舞台は、栃木県のモビリティリゾートもてぎ。2022年のレースではトラブルも起きている一戦で、KTMSはより一層のトラブル防止を意識しつつ、捲土重来を目指しレースウイークを迎えた。

 この週末は8月31日(木)に3時間行われた特別スポーツ走行から幕を開けたが、走り出しから気温は35度以上。ドライバーはクールスーツを着用し、チームのメンバーも大粒の汗をかきながら走行を重ねていった。ただ、昨年もこのもてぎではガス欠のような症状がみられトラブルに繋がっていたが、この週末も同様の症状がみられた。

 明けた9月1日(金)は、午前9時30分から専有走行1回目がスタートした。この日も酷暑のなかで迎えることになったが、KTMS GR YARISは奥本隼士からコースインし、荒川麟、一條拳吾と交代しながら周回。全クラス混走の午後は荒川、奥本、一條と交代し、最後は奥住慈英がドライブ。午前は奥本が記録した2分09秒546、午後は荒川の2分09秒407というタイムで、いずれもST-2クラスのトップタイムとなった。

 これまでのシーズン同様、ポテンシャルは十分。スピードはしっかりとある。ただ、やはりこの日も燃料残量がしっかりとあるにも関わらず、警告灯が点く症状が頻発する。

 チームはトラブルの原因特定を目指し、土曜の予選日を前にしっかりと対策を施すべく深夜まで作業を行っていった。

QUALIFY
 専有走行からガス欠症状に悩まされてきたKTMS GR YARISだが、金曜夜に深夜まで作業を行い、解決策を探っていたものの、同様の症状はライバルの#13 GR YARISなど、他車も悩まされており、この暑さやもてぎに由来するものではないかということも予想された。

 午前のウォームアップ走行を経て迎えた公式予選では、まずはAドライバー予選を一條拳吾が担当。2分09秒638というタイムを記録するが、今回の予選でもランサー勢が速い。一條は僅差の3番手につけた。Bドライバー予選でも荒川が2分08秒486を記録し2番手につけ、合算では2番手に。ポール獲得とは成らなかったが、好位置につけることができた。

 Cドライバー予選では奥住が、Dドライバー予選では奥本が決勝に向けた準備を進め予選を締めくくることになったが、燃料の不安は残ったままKTMSは決勝日を迎えることになった。

KTMS 2023スーパー耐久第5戦もてぎレースレポート
KTMS 2023スーパー耐久第5戦もてぎレースレポート

RACE
 迎えた9月3日(日)のモビリティリゾートもてぎは、朝こそやや雲があったが、次第に晴れ間が広がり、気温33度/路面温度42度と酷暑のなかでの決勝日となった。

 KTMSは専有走行から予選まで、ずっと原因不明の燃料系のトラブルに悩まされていたが、何よりの朗報とも言えるのが、決勝日を前にこの原因が分かったことだ。チーム全員の努力が実った結果となった。

 とはいえ、今季頻発している他のトラブルがいつ出るかも分からない。この日も暑さが厳しく、車体のどこに影響を及ぼすかも分からない。またドライバーにすら暑さの影響が出る可能性すらあった。

 そんな一戦のスタートドライバーを務めたのは一條。まずはスタート直後、Aドライバーハンデをすぐに消化していく。同様にハンデが必要となった#13 GR YARISも同様の戦略をこなしており、KTMSは途中ST-X車両のストップによるフルコースイエローなどもしっかりと対応しながら、2分12〜13秒台の安定したペースで追い上げを続けた。一方で、この週末トラブルに悩まされた#743 CIVICがレースでも苦戦。また序盤トップ2を占めたランサー勢も、#6 ランサーがトラブルに見舞われるなどライバルは苦しい展開となっていった。

 しかしKTMS GR YARISは33周を終え一條がファーストスティントをこなすと、奥住に交代。こちらも2分11〜13秒台での走行を続けていく。チームは今回完走を第一目標とし、しっかりと安全マージンをとり燃費も大事にしながらの走行を続けていったが、ドライバーたちもトラブルを未然に防ぐべく、余裕をもった走りを続けていった。

 このレースは暑さによるトラブル等は多かったが、幸い大きなアクシデントは起きず、中盤まで一度もセーフティカーランがないままレースが展開されていった。奥住は68周まで走り荒川に交代するが、この頃には素早いピットワークもあり、#7 ランサー、#13 GR YARISに対してのリードは確実なものとなっていく。

 荒川は102周目まで走り切り、アンカーを奥本に託した。今季、まだ富士24時間以外ではしっかりとレースを戦うことができていなかった奥本だが、直後にST-Zクラスの車両火災によって導入されたフルコースイエローにも冷静に対処。チェッカーまでの1時間強を燃費、そしてKTMS GR YARISのコンディションに気をつけながら周回を重ねていった。

 残暑の日射しが注ぐなか、KTMS GR YARISは午後4時16分、長い5時間レースをノートラブルで走り切り、チェッカーを受けた。若き奥本にとっては、初めてのスーパー耐久でのチェッカーが優勝のチェッカーフラッグとなった。ようやくつかんだ今季初優勝。これまで約半年、苦労し続けたチームは喜びとともに安堵の表情をみせた。

 トラブルさえなければ、Aドライバーハンデもなんのその。KTMSが2022年チャンピオンにふさわしい戦いぶりをみせることができた。惜しむらくは、第6戦の岡山国際サーキットはST-2クラス自体の開催がないことだ。勢いを繋げるべく臨む第7戦は、11月の富士スピードウェイでのレースとなる。約2ヶ月間、チームは勝利の喜びとともに、シーズンを良いかたちで終えるべく力を蓄えていく。

KTMS 2023スーパー耐久第5戦もてぎレースレポート
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DRIVER’S VOICE
一條 拳吾  KENGO ICHIJO

やっと勝てました! 長かったです。こんなに勝つのが難しいのか……と痛感したシーズンでした。耐久レースならではの難しさもありますし、今回の優勝は別格の嬉しさですね。この週末もいろいろなトラブルがあるなかで、この4日間でチームの皆さんの頑張りが繋がってこうして結果が出たことが本当に嬉しいです。この結果でチームの士気も上がったと思いますし、勢いもついたのではないかと思います。次の参戦は富士スピードウェイでの最終戦ですが、いまいちど気を引き締めて、最後は良いかたちで締めくくりたいと思っています。

荒川 麟  RIN ARAKAWA
レース中にもクルマはすごく良い状態で、僕のスティントでもかなりペースを落として走ったつもりでしたが、それでもクルマが良すぎて速さが出ていたような状態でしたね。余裕はもって走ってはいましたが、最後までずっとヒヤヒヤしながら走っていましたね。今シーズンはスーパー耐久でもずっと勝てませんでしたし、僕自身も他のカテゴリーで勝てていないので、自身にとっても今季初優勝を飾ることができました。最終戦の富士も何事もなく完走して、結果的に優勝を飾ることができればと思っています。今年いちばんの走りをできるように僕自身も頑張りたいです。

奥住 慈英  JIEI OKUZUMI
本来の位置に戻ってきたな、という感じですね。スピードもあってチーム力もあるなかで、なぜか一年間ずっとトラブルがつきまとって来ましたが、とりあえず完走できたら結果は優勝だったので、チームの士気にも繋がる優勝だったのではないでしょうか。次に繋がる、大事な1勝だと感じています。自分のスティントでは、燃費とクルマの安全を意識しながら走っていましたが、想像よりゆっくりだったので少し不安もありました。次の参戦はもう最終戦の富士ですが、24時間のときはトラブルもありましたし、ドライバーはしっかりと仕事をして勝ちたいと思っています。

奥本 隼士  Shunji Okumoto
スーパー耐久での初優勝で、しかもチェッカードライバーを任せていただいたので、メチャクチャ嬉しかったです。富士24時間をのぞけば1スティントを走りきれたことも初めてでしたね。みんながいろいろと教えてくれたなかで、不安なく走り切ることができたので良かったです。レース中は燃費走行というのをあまりやったことがなくて、試しながら走ったら思いのほか遅かったのでチームをヒヤリとさせてしまいましが、今後やるべきことを今日たくさん経験できました。今季すごく良いチームで走らせていただいているので、最後は良い結果で終わりたいです。

神戸トヨペット エンジニア 上田 昌宏  Masahiro Ueda
シンプルに良かったです。ホッとしています。初日は問題はありませんでしたが、走行2日目からはトラブルもありました。メカニックが遅くまで頑張ってくれましたし、結果的に解決することができて本当に良かったですね。その結果がこうして優勝というかたちに結びついたのだと思っています。ドライバー、メカニックみんなに感謝したいと思います。次戦は富士スピードウェイでの最終戦となりますが、ぜひ期待していただきたいと思いますし、みんなでやれるだけのことをやって、気持ち良く終わりたいですね。


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