とはいえ不安要素も少なくない。その最たるものが、ルノー本社の意向だ。以前からF1活動中止の噂は出ていたが、コロナウイルスの世界的蔓延で、ルノーも大きな経済的ダメージを受けた。撤退の意思はがいっそう固まったのではないかとの予想もある。
しかし、ルノーはこれまで、どんなに業績が悪化した時でも、それを理由にF1から完全に手を引いたことはなかった。英国エンストンの車体開発部門の立て直しには予想以上の時間がかかったものの、マルチン・ブコウスキー(エグゼクティブディレクター)やパット・フライ(シャシー・テクニカルディレクター)らの逸材を得て、3強の背中が見え始めた。フランス側が担当するパワーユニットも、性能、信頼性ともに、着実にレベルを上げている。
もし年間1億4500万ドル(約156億円)のバジェットキャップが本格導入されれば、ルノー本社の負担もかなり減るはずだ。さらにアロンソの復帰で、これまでよりはるかに容易に有力スポンサーを獲得できるだろう。アロンソ獲得は、ルノーにとっていいことづくめなのである。
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