そのまま土曜17時過ぎに始まったレース距離60kmの週末オープニングヒートは、スタート直後こそ昨季にもフェイスリフトを受けた“世界戦専用機”とも言うべきリンク&コー03 TCRに先行されるものの、最終コーナーでのラインクロスでポジションを奪還した新型エラントラが、そのまま15周を走破してトップチェッカーを受けた。
「スタートは簡単じゃなかったし、日陰側でターンインへのアプローチが明確に掴めないでいたんだ」と明かしたFIA TCRワールドツアー最初のウイナーとなった王者ミケリス。
「グリッドでもホイールスピンを避けるためにより慎重なアプローチを採ったが、ヤン(・エルラシェール)の背後でドライブしながら『自分のクルマの方が速そうだ』ということに気づいた」
明けた日曜のレース2は予選トップ10のリバースグリッドが採用され、前日にチームの“露払い役”を務めたことで、自身は10番手に留まっていたジロラミが先頭発進の権利を得る。
これもある程度、戦略的な動きの一環と思われるBRCの判断も功を奏し、終盤2度のセーフティカー出動にも動じず、前日のチームメイトに続く“ライト・トゥ・フラッグ”での移籍後初勝利を飾る結果となった。
「新チーム移籍を勝利で始めるなんて、どんなに素晴らしいことだろう。ヒョンデ、BRC、そしてワークショップの全員が僕に最高のクルマを提供するべく驚くほど熱心に働いてくれたんだ」と喜びを語ったジロラミ。
「背後のサンティ(サンティアゴ・ウルティア/2位)も懸命にプッシュしていたし、セーフティカーの後、彼はもっとアタックしてくると読んでいた。最後はタイヤの管理もしなくてはならず厳しかったが、夢見ていたことが現実になったね!」
そして3位表彰台には、前日のグエリエリに続きイタリア出身のティーンエイジャー、マルコ・ブティ(ゴート・レーシングチーム/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が入り、土曜にはアズコナとの接触アクシデントでペナルティ裁定を受けていたミスを挽回するとともに、自身世界戦での初ポディウムを獲得している。
続くFIA TCRワールドツアー第2戦は、前述のとおり5月2~4日にモロッコ・マラケシュのサーキット・モーレイ・エル・ハッサンで争われる。