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海外レース他 ニュース

投稿日: 2018.01.31 16:45
更新日: 2018.01.31 16:46

ついにDTM引退決断。二度の王者マティアス・エクストロームに聞く17年間

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海外レース他 | ついにDTM引退決断。二度の王者マティアス・エクストロームに聞く17年間

■辛口コメントも僕の個性のひとつ

──DTM引退の決断は潔く決められましたか?
ME:DTMのシートは簡単に手に入るものではないというのは十分に分かっているし、アウディや所属チームのアプトからクビを宣告されたわけではなく、自らそれを手放すという決断は容易ではなかった。結果的に絶大な信頼を寄せる、アウディスポーツ代表のディーター・ガスと何度も話し合いを重ねて、僕の考えに理解を示してくれた。今回の決断はモータースポーツを定年退職するという意味ではないよ。まだまだレースキャリアを終えるつもりはないからね(笑)! DTMと並行して、僕自身が経営し、ドライバーとして参戦するラリークロスのチーム『EKS』があるという、とても恵まれた、贅沢な環境下に身を置ける状況は、誰もが手に入れられるわけではないということも自負している。だからこそ、DTMかラリークロスかのどちらか一方に集中すべきだと考えたんだ。

──17年間のDTMのキャリアでは数々の名レースがありましたが、そのなかでもあなたがいちばん思い出に残ったレースは?
ME:やはり、初めてDTMで優勝をしたときが感慨深いね。アプトとともに歩んだ17年間、もっとタイトルを獲れれば良かった、もっと勝てたはずのレースも多々あった……。『タラレバ』も多いんだけど、良くも悪くも言葉では言い尽くせないほどに濃く、僕のキャリアを作り上げてくれたDTMに感謝しているし、すごく満たされた気持ちでいっぱいだ。レーシングドライバーの人生には『最悪な日』もつきものだし、今となってはいい思い出だ。DTMのキャリアを歩んでいるときはいつも前しか見てこなかったが、やっと過去の自分を少し振り返るときになったのかな、とこの引退でふと思ったんだ。

──DTMではインタビュー時には必ず各自動車メーカーの広報がつき、自由な発言がし難くなった昨今とはいえ、あなたの辛口で直球なコメントを、レース後に楽しみにするファンも多くいましたね。
ME:必ずしも僕の発言が世間一般的に望まれる“優等生的なもの”ではないと自覚しているし、発言によって“嫌われ者”になったのも知っているけど、それを気にしたことは一度もないんだ。ただ自分の気持ちに正直だった結果のことだよ。コメントも、ドライビングスタイルと同様に自分を表現する個性のひとつだと思っているんだ。

──あなたが17年参戦したDTMでは、さまざまな状況が変化したのではないかと思いますが、ドライバーとしての視線でどう時代の経過を感じますか?
ME:具体的な内容は自粛するけど、正直に言うといまのDTMの方向性は、自分が希望していたものとは違った方に変化した。もちろん時代とともに変化するのは当たり前のことで、それをとやかく言うつもりはないけどね。ただ、それらに身を任す、了解するということができるようになったことに、『自分が年を取ったのだ』と感じた。今も昔も、DTMはフォーミュラからステップアップしてくるドライバーが大半だ。特に今のF1ドライバーへの道は、親が大富豪かメーカーの育成ドライバーに選抜されない限り、可能性は限りなく低い。DTMのサポートレースとして開催されているFIAヨーロピアンF3に参戦するにも、一般家庭ではとてもじゃないけど支払い不可能な金額を持ち込むことが必要になってくるので、“庶民”ドライバーは皆無だ。今のレース界では、良い家庭でしつけよく育った『おぼっちゃまドライバー』があふれている。良い意味で、もっとやんちゃで面白いドライバーが出てこられる土壌があるべきだと考えるし、DTMに必要なのは、そんな個性が際立つドライバーの存在だと思う。


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