4月22〜23日、2022/2023年ABB FIAフォーミュラE世界選手権シーズン9の第7戦、第8戦ベルリンE-Prixがドイツで開催され、第7戦はミッチ・エバンス(ジャガーTCSレーシング)、第8戦はニック・キャシディ(エンビジョン・レーシング)が優勝を飾った。
ドイツ・ベルリンのテンペルホーフ空港跡地に設営された特設サーキットで行われたフォーミュラEのダブルヘッダーレース。まず土曜日に行われた第7戦の決勝スタートでは、4番グリッドのダン・ティクトゥム(NIO333レーシング・フォーミュラEチーム)が好ダッシュを決めると、ターン1のアウト側から一気にトップに立つ走りを披露する。
その後は各マシンがアタックモードを使用し、トップグループの順位も目まぐるしく変化。昨年度王者のストフェル・バンドーン(DSペンスキー)が上位に進出してくるも、バンドーンはポジションを争っていたティクトゥムと交錯してしまい両者リタイアに終わる。
レースが終盤に入ると、ジャガー・パワートレインを搭載したマシンが速さを披露し、セバスチャン・ブエミ(エンビジョン・レーシング)を先頭に、サム・バードとエバンスのジャガーTCSレーシングのトップ3が順位を争う。
セーフティカー導入分のアディショナルラップ3周が追加されると3番手のエバンスが躍動。まず2番手のバードをかわすと、その勢いのままターン1進入でブエミもオーバーテイクに成功する。さらにチームメイトのバードもブエミ攻略に成功し、ジャガーTCSレーシングがチーム初のワン・ツーフィニッシュで第7戦を制した。
「少しカオスな感じで本当に難しいレースだった。2度目の優勝はとても嬉しいけど、この場所で勝てるとは思っていなかったから予想外だった。みんなのおかげだ!」とエバンスが喜ぶと、チーム代表のジェームス・バークレーも「ワン・ツーフィニッシュは私たちが本当に目指していたものだ。今回の結果はチームの努力の賜物だね。みんなを誇りに思う」と語った。
翌日の日曜日に行われた第8戦では、最前列を確保したロビン・フラインスとニコ・ミューラーのABTクプラフォーミュラEチームが決勝スタートも決めてレースをリードしていく。
各マシンがアタックモードに入ると、ABT勢はフラインスが混戦で順位を落とし11番手に後退。ミューラーは隊列の先頭をキープするも、パスカル・ウェーレインとアントニオ・フェリックス・ダ・コスタのタグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム2台から猛プッシュを受ける。
その後も順位変動は続き、レース折り返しでは集団のなかで順位を上げたジャン-エリック・ベルニュ(DSペンスキー)がトップに立つと、その後はウェーレイン、キャシディと目まぐるしくラップリーダーの座が入れ替わる。
上位勢が数珠つなぎのまま最終ラップに突入すると、キャシディ、ジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE)、ベルニュ、エバンスのトップ4台が激しく順位を競り合う展開に。しかしリーダーのキャシディは後続のプレッシャーを物ともせず冷静にラップを刻み、8番手スタートから自身2度目のフォーミュラE優勝を飾った。
レースを終えたキャシディは「自分が戦いのなかにいることは分かっていた。昨日も絶好のチャンスがあったのにミスをしてしまった。でも今日はそれをものにすることができた。僕の仲間には本当に感謝している」と優勝を喜んだ。
この優勝でキャシディは、100ポイントでランキングトップに立つウェーレインと4ポイント差の2番手に浮上している。フォーミュラEシーズン9の次戦は、5月6日に第9戦モナコE-Prixが開催される予定だ。